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「● 龍介と達也☆番外編」
悔しがれ

悔しがれ 17

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娘……?
篠原の?

「よーへー!!」

達也が言葉を発する間もなく、すぐに再び扉が勢いよく開いた。

二人の男の子が同時に入ってきて、その後ろを女の人が入ってきた。

「もー、ほんと速いんだから。着いて行くの大変……あ、お客様だったのね。こんにちは」

その女性が達也を見て、頭を下げた。

「こんにちは。……え……ちょっと、待て。お前、結婚した? え、じゃ……あき」

明良さんは? と口にしそうになって、慌てて閉じる。

どういうこと?
お前、明良さんにあんなに惚れてたじゃないか……。

「結婚したいけど、日本じゃ出来ないし」
「は……?」

日本じゃ出来ない?
あの人は女の人だよな。
……なんで?

「あぁ、なるほど」

達也の視線を追って、篠原は何が言いたいのか理解した。

「心配ご無用。明良さんは、今もちゃんと俺のパートナー」

ニッと微笑み、膝の上の女の子の両脇に手をやって持ち上げ、クルリとこっちに向かせる。

「よく見て」

達也は言われた通りに、小さな女の子を改めて見る。

真っ白な肌に、真っ黒な髪と瞳にバサバサのまつ毛。そして小さな赤い唇……。

これは……。

「明良さん?」
「そう」

「本当に。私に似てるのは、手足とか耳の形。全部、明良さんにもっていかれちゃった」

後から入ってきた女の人が後ろから言いながら、男の子たちをカウンターの椅子に座らせる。


一体、何?
まだ頭が付いていけない。

「彩良(アイラ)、ご挨拶は?」

篠原に言われて、こっちをジッと見る。

なんて、美しい子だろう。
父親の遺伝子をそのまま受け継いでいる。
初対面で会った時、そのコントラストに見惚れたのが蘇る。

「しゅわあぃら、っしゅ」

まだかなり舌っ足らずだが、何とか聞き取れる言葉で真っすぐに見てくる。

「初めまして。一色達也です」
「この人はね、パパのお友達なんだよ」

篠原が上から彩良ちゃんの顔を覗き込むように言えば、警戒心が溶けたようで、少し恥ずかしそうに微笑んでくれた。

「え、ちょっと……滅茶苦茶、可愛いんだけど」
「だろ?」
「彩良ちゃん。いくつ?」

小さな手で指を一本立てる。

「彩良、もうちょっとしたら二歳になるんだよな」

もうすぐ二歳って……何度かやり取りしてたのに、聞いてないよ。

「ご挨拶が遅れました。諏訪都(すわみやこ)と申します」
「あ。一色達也です。篠原とは大学時代からの友人で」
「はい。篠原から聞いてます。イタリアの同じ店で修行されていた、料理人さんだとか」
「今は、自分のアパートで管理人をしながら学生たちに夕飯作ってます」

それも知っていたようだ。

「雄斗、建斗、こっち来い」

椅子に座っていた男の子ふたりが、こっちに来た。

「俺の甥っ子たち」
「双子?」
「そう。ご挨拶は?」

「しのはらけんとです」
「しのはらゆうとです」
「一色達也です」

何度目かの名前を告げて二人をよく見ると、なるほど……篠原の面影がある。

「似てるな」
「兄貴に似てるから、俺にも似てるか」

一瞬、壮介の顔が浮かんだ。
ここも、叔父と甥っ子の関係。

「彩良、お兄ちゃんたちとジュース飲む?」
「にょみゅ」

都さんが手を引いて、カウンターに連れて行く姿を見送った。
ふと篠原を見れば、ニッと笑う。

「……お前な、言えよ!!」

驚き過ぎて腹が立った。

「ホントごめん。会った時に、直接言いたくて。メールや電話じゃ、誤解生みそうでさ」

あぁ……そういえば、電話で報告したいことがあるって言ってたな。

確かに。
電話やメールでは、ちゃんと伝え難いか。

「それにしたって、遅いわ」
「タイミングが合わなくて、遅くなった」
「前に言ってた報告って、このことだよな?」
「そう。顔見て言いたかったんだ」

以前、会おうとしてくれたのに、俺が修羅場で実現しなかった。
達也はこの二、三年の内に、仕事の比重が以前より多くなっていたのを思い出す。
そういや龍介にも、文句言われたっけ。

「うん。こんな大事なこと、顔合わせてじゃないと話せないよな。ちゃんと聞くよ」

達也が姿勢を正すようにして言えば、篠原が頷いた。

「都さん。話してもいいかな」
「えぇ、もちろん。あ、ジュースもらうわね」
「オッケ」

都さんが子供三人を見て、こっちを見る。

「ジュース飲ませたら、瑞樹さんから連絡来るまで上に上がっていいかしら?」
「うん、お願い。まだ散らかってるけど、テレビはもう点くから」

篠原が上が住処なのだという。
まだ途中だけど、今月中には引っ越してくるらしい。

子供三人を見ていると、真ん中に彩良ちゃんを座らせ、椅子をベッタリとくっつけて落ちないように両脇で篠原の甥っ子が守っている。

「小さなナイトだな」
「あいつら、彩良を守る!! ってタッグ組んでるから」
「可愛いんだな」
「うちの親も女の子なんて初めてだからさ、未知の生き物みたいに最初は恐々。それがもう、今じゃメロメロ。もちろん明良さんの母親もだし、うちの兄貴夫婦も」

その時、カウンターから都さんがブッと吹き出した。

「明良さんを筆頭にね。み~んなが甘くて困っちゃう。いざという時に厳しいのは、私と洋平さんくらいかな」
「お前、あんな可愛い子に厳しく出来るの?」

達也が本気で訊くと、顔を覆う。

「俺だって甘やかせたいよ! けど、ちゃんとした大人になってもらわないと」

でも、店に入ってくるなり篠原に抱き着いていたし、膝の上に乗っていたっけ。
パパが大好きなんだってことは、伝わる。

「そうか……。そうだな」
「子供でいる間なんて人生で言えば短い。大人になった後の方がずっと長くて、庇護してくれる親は先に死ぬんだから」

……そうだな。
それが、親の役目か。

「さ、みんな上に上がりましょ」
「おやつある?」
「あるわよ」

「じゃ、少しお暇しますね」

都さんが三人を連れて行った。



「すまん、一色。伝えるのが遅くなって」

篠原がまた謝る。

「いや、もう謝るなよ。俺も忙しくて、こんな時期になったのもあるし」
「今日来てくれて、良かったわ」

それは壮介に感謝だな。

「でも、さすがにいきなり『パパ!!』にはビックリするだろ」
「だよなぁ」

苦笑いして、またカウンターに入る。

「エスプレッソをもう一杯。それ飲み終えるまでには、ちゃんと話すよ」



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