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「●洋平と明良☆番外編」
欲しかった言葉

欲しかった言葉 2

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「明良さん、ここに置いとくよ」

パソコンの前で真剣に仕事をしている後ろ姿に声をかけるが、返事はない。
さっきの喧嘩のせいじゃなく、集中し始めると周りの音も遮断されるからだ。

後ろから覗いてみると、数字を打ち込んで調整を取りながら細かな部分を設計してるようだ。

デザイン画は明良の左側にある。
平面画がパソコンの中で3Dになっていて、明良がマウスやキーを押せばクルクルと角度を変えて画面の中で動いている。

チラリと横顔を覗くと、真剣な顔。
仕事なんだから当たり前なんだけど、こういう表情は本当に格好いいんだよな。

さっきの我儘を言う顔とのギャップに吹き出しそうになるのを堪え、洋平は明良の頭頂部にチュッとキスを落として部屋を出た。

*

朝起きてみると、明良が自分の胸に顔を埋めるように丸まって寝ていた。

……こういうところが堪らない。

小さな喧嘩の原因は、ほぼ明良の我儘。
自分の言うことを聞いてくれないとプイッと怒るんだけど、朝起きる時はいつの間にかこうやってくっ付いて寝ているのだ。

だからってご機嫌が良くなってると言う訳じゃなく、起きたらまだプリプリしている時もあるんだけど。

洋平は胸元の明良を見て、これは無意識でやってるんだろうと思う。

昨日……てか、今日か。
何時に寝たんだろう。

仕事が詰まっている時は、スクールも行けないだろうし。
今日は一日部屋にこもっているはずだから、朝昼兼用の食事だけ作っておこう。

「明良さん。俺、仕事行くからね」

洋平は明良の額にキスを落として、ベッドから起き上がった。

***

明良がシャワーを浴びて冷蔵庫を見れば、皿にオムレツと野菜をソテーしたものが入っていた。
コーヒーを淹れて、洋平の焼いたカラサウ(クリスピーなピザ生地のようなパン)の上に卵と野菜を乗せてブランチ。

明良はイタリアでの食事も難なく受け入れている。
洋平がイタリアンシェフだから、日本に居る時から食べる機会が多いのもあるだろう。

日本食が食べたくなれば、リクエストすれば作ってくれる。
家に日本の調味料だってある程度は揃っているから、味付けも工夫してくれる。

柔らかな卵と、鮮やかな色味のブロッコリーやパプリカを一緒に口に含む。

「美味し……」

洋平のおかげで、偏食も随分と減った。
高校生の頃からだもんな……。苦手なモノを残すと、工夫して食べやすいようにしてくれた。

これって、あいつに完全に胃袋掴まれてるってことだ。
あいつがいないと生きていけないんじゃないかと、本気で思ってる。
それは胃袋だけじゃなく、心も体も含めて。

そんなことを考えながら食事をして、スマホで洋平にメッセージを送る。

――オムレツ、美味い

仕事中に返信が来ることはないから、明良は食器をシンクに持っていき洗って伏せた。

「さ、仕事仕事」

わざと声に出し、パソコンを起動する。
寝る前に送ったデーターの返事が来ているはずだ。

数件来ているメールに、母からのを見つけた。
デザインのやり取りはいつも諏訪としているから、気になって先にそちらを開けた。

件名は、矢倉社長からの依頼だ。

何の依頼?
明良は以前、パンフレットの写真を撮らされたことを思い出した。

ジュエリーと花のコラボレーション?

……矢倉さん、相変わらず商魂逞しいな。

花……か。

明良は想像してみる。

うん……。儚なさと硬質な煌めき。
それぞれの美しさを組み合わせるのは、面白い。

明良は母に返信を打った。

*

「ただいま~」
「おかえり」

洋平が帰ってきて、いつものように頭のてっぺんにキスを落とす。

「仕事、はかどった?」
「うん。デザインのデーターはもう送った」

昨日の喧嘩はもう、何事もなかったかのように会話を交わす。

「じゃ、夕食一緒に食べられるね」
「うん」

そう答えながら、明良はテーブルの上で小型のパソコンで文字を打つ。

送られてきたデーターをクリックして開く。
出てきた画像に、思わず目を剥いた。

「どうしたの?」

その表情を見ていた洋平が声をかけてくる。

「これ、見て」

明良がパソコンの向きを変えて見せるが、洋平は眉をしかめただけだ。

「花?」
「そーだよ」
「……これが?」

そりゃいきなり花を見せられたって、意味わかんないよな。
ふふん……と笑みを零すと、洋平は顎を前に突き出してして眉をしかめた。

「母さんから送られてきたんだ」
「だから、何で花なの?」
「矢倉社長からの依頼でさ、花とジュエリーのコラボって企画が上がってんだ」
「あぁ……なるほど」

そう言ってキッチンで手を洗い、食材を冷蔵庫から出して準備を始める。

「けど次から次に、色々企画出してくるなぁ」
「逞しいだろ?」
「明良さん、お気に入りだしね。こんな遠く離れても、何だかんだと」
「そういうなよ。俺のデザインのジュエリーかなり買ってもらってるんだし」

エステの方でタイアップして、女性客はもちろん、男性用のアクセサリーも売り上げは好調なんだ。

「なんせオーダーメイドが多いもんね」
「そう。自分だけのデザインジュエリー」

「写真撮る時、散々ゴネたくせに」

洋平が笑いながらいうけど、アレは困った。

「俺、スタジオまで着いて行かされたし」

こっちに振り返ってニッと笑う。

母さんがゴネる俺じゃラチがあかないと考えて、洋平に直接頼んだんだ。
洋平に上手く宥められて、結局スタジオまで着いてきてもらった。

「お前が母さんに頼まれたからじゃん」

ぐふふ……と変な笑いを零す洋平に何がおかしいのだと問えば、またクルリとこっちを見た。

「最後にベソかいて、よーへーが一緒に行くなら撮ってもいい。……って。可愛かったなぁ……と」
「ベソなんかかいてない!!」

抗議の声を上げたが、洋平はニヤけた顔のままだ。

「ニヤニヤすんな。気持ち悪いから」
「酷い」

軽口を叩きながら、洋平は料理に集中し始めた。
明良は新たに送られてきた、フローリストのプロフィールに目を通していく。

男で同じ年か。
それだけで不思議と少し親近感が湧く。

そしてもう一つ。母親が花屋を営んでいて、その影響で花に触れる機会が多かったという箇所。

俺も、そうだ。
幼少の頃から母に連れられて、工房によく足を運んだ。
石が削られて、磨かれていく工程が面白くて……。

明良は幼い頃を思い出して、綻ぶ。
大人になっても、工房に足を運ぶのは好きだった。

日本に帰国したら、真っ先に行こう……。

「明良さん、できたよ」

洋平の声でハッとして、お皿を出しに席を立った。



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★お知らせです
今まで11時にUPしてきましたが、今回より深夜(0時前後くらい)にUPさせて頂きます。
以前は11時がちょうどパソコンに向かう時間だったのですが、今その時間帯はパソコンから離れている時間帯なんです。
誤爆や、誤字を見つけた時に夜まで修正出来ないので(スマホでは修正出来ないkiri)
どこか間違ってないか気になりながら仕事してます(笑
勝手を言いますが、よろしくお願いしますm(__)m
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