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「●洋平と明良☆番外編」
欲しかった言葉

欲しかった言葉 1

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友人宅から帰って、洋平はキッチンでココアを淹れる。
明良の前にマグカップをコトリと置き、自分も座ってココアに口をつけた。

目の前の明良はココアをジッと見つめて、口にしない。

「明良さん。冷めるよ」
「うん……」

そう返事だけをして、こっちを見つめる。


あ……、この顔。

少し上目遣いの視線に洋平は少し構えながらも、未だにこの目に弱い自分を感じる。

小さめの唇が少し開き、また閉じた。

さぁ、何を言い出す?


「あのさ」
「ん?」

またジッと見つめてくる。


「なに?」
「……ヘルガの赤ちゃん可愛かった!!」

叫ぶように言うなり、テーブルに額をゴン!とぶつけた。


あ。
悪い予感……。


「……欲しい」

小さく呟くように言うのが聞こえたが、知らないフリをしてみた。


「なぁって!!」

しばらくしても返事がないことに焦れた明良が、額をテーブルから少し浮かせて首を傾げたような位置で目線だけを上げてくる。


「何?」

わざと惚けてみれば体を起こして、キッと睨んできた。

「欲しい」

今度はハッキリと面と向かって訴えてくる。


「ダメ」
「ちゃんと世話するから」
「犬飼ったことあるの?」
「……ない」

ショボンとして、すぐにまたこっちを見つめる。

……だよな。
飼ったことがあるなら、自信満々で言ってくるはずだ。
それも上から目線で。

「無理だよ」
「ちゃんと本やネットで調べる」

そういう問題じゃないんだよ。

「あのね、明良さん。俺も、犬どころかペット自体飼ったことないんだよ」
「え……そうなの?」

ほら、困った時には俺がいると思って。
でも、そうなの?という言い方と顔が、可愛い。

「お前、飼ってそうじゃん」

そんな勝手なイメージで言われても。

「ウチは、飲食店だったからね。ペット飼うなんて、言語道断だよ」

「…………だから! ちゃんと一から調べる。ルカもいるし」

あー……、もう。
そこでルカを出しても、説得力ないよ。

「明良さん。俺の仕事も食品を扱うのわかってる? 動物の毛って、抜けるんだよ? この部屋で飼って、毛が髪や服についたまま行けないでしょ」

それだけじゃない。
日本に帰国する時、ペットも連れて帰ることになる。
気候や湿度、耳にする言語、色んな要素が動物のストレスになる。

それをとくとくと説明していると、どんどんご機嫌が悪くなってきた。
正論攻撃に、言い返せないからだ。


「じゃ、俺はお前と一緒にいる限り、ペット飼えないじゃん」

唇を尖らせて、超ご不満顔。
そんな顔さえ綺麗なんだから、ほんと困る。

「そうだね。俺と居ると、明良さんはペット飼えない」

開き直ったように告げれば、睨んできた。

だったら別れる、なんて冗談でも言わないでくれよ。
俺がどれだけ必死であんたを追いかけてきたか。

ジッと自分を見つめる目が、少し潤んできてる。
この黒目の大きな潤んだ瞳……ってので、どれだけの男を……。

イタリアに来てからも東洋人っていうだけで目立つ上に、この容姿だ。
ダリオは今でも明良のファンだし、男だけじゃなく女もだ。

洋平は思考が逸れそうになるのが、ここで折れる訳にはいかない。
自分の要望は大抵は受け入れてもらえるのだと思っている、この男に。


暫く、黙ったまま見つめ合う。

あー……、もう。
何なの、その顔?


いいよ……と言ってあげたい。

……いや、ダメダメ。

洋平は、ふと過った。
明良が我儘を言い出して困った時に、浮かぶ人の顔が。

鹿島さんなら、絶対にこの顔に負けるんだろうな。
うん。負けるな、絶対に。

あの人、いざとなるととことん明良さんを甘やかしてきてたように感じるんだ。
その結果、この我儘な男が出来上がったといっても過言じゃないように思う。
まぁ、それは俺もなんだけど。

でも、こういう時はビシッ……とね。

「そんな顔してもダメ」

ハッキリと告げて、ココアを口にする。

「……洋平、嫌い」

ブッと膨れて、ココアをやっと口にした。

嫌いって……子供かよ。
とっくに三十過ぎた男なのに。

そういうところも可愛いんだけどね。

まぁ、確かに。
ヘルガの産んだ仔犬は、めちゃくちゃに可愛いかった。
生後一か月経ったところで、お披露目も兼ねて食事に招かれたのだ。

明良がずっと抱いて離さなかった姿を見て、ルカと目を合わせて口元が綻んだが、あまりにも仔犬に夢中になっている姿を見て少し胸も痛んだりもした。

もし、この人が自分の子を持てたら。
きっとありったけも愛情を注ぎ、守るだろう。
強烈なファザコンなのを見れば、父親という存在への憧れが誰よりも強い。

「俺のこと犬って言ってたでしょ? それで我慢して」
この空気をどうにかしたくて、少々無理矢理だとは思うが冗談っぽく言ってみた。

「お前なんかデカくて、可愛くない。ヘルガの子供見た? こんな小っちゃいのっ」

手で大きさを示してくる。

産まれたのは二匹で、一匹はもう引き取り手が見つかっている。
仔犬を抱いて離さない明良に、ルカが冗談で「育ててみるか」なんて言うから……。

可愛いというだけじゃなく「育てる」という言葉に目がパッと輝いたのを思い出した。


「命、だもんな。……簡単に考えてない」

シュン……として、俯く。

「そう。可愛いだけじゃないんだよ。躾なんかも大変だし、病気だってするだろうし」

「それくらい、わかってる!!」

次は怒ったように、返ってきた。

帰り道、ずっと何か考えていたのはこれか。
俺がまるで子供に言い聞かせるように言ったから、気分を悪くしたんだな。

「俺は明良さんと、ずーーーっと一緒だよ」
「は? 何で仔犬の話からそっち行くんだよ。お前と仔犬は別だろ。誤魔化すな」

冷たい口調で返された。

「明良さ~ん……。ご機嫌なおして?」
「こういう時に、年下をアピるな」

ツンとしてそのまま立ち上がり、ココアを持って席を立った。

「ちょっとーーっ。八つ当たり!」

大きな声で訴えてみたが、扉がピシャリと閉められてしまった。


……俺、悪く無くない?

そうは思いながらも、フッと笑みが零れる。
こういう小さな衝突は、珍しくない。

今日は徹夜で仕事するって言ってたしな。
軽い夜食でも作って、後でもっていこう。

その頃には、八つ当たりもおさまってるだろうし。


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毎日のUPはちょっと厳しいと思いますので、のんびりとお付き合い下さると嬉しいです(*^^*)
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