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「● 勇次と隼☆番外編」
俺たちのままで

俺たちのままで 24

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「慎之介。S大の理工って浪人率高いらしいけど、どうなの?」

琴乃の問いに、A判定をもらってるのだと答える。

「じゃ、現役合格ラインってことか」
「ま、頑張るよ。てかさ、はーちゃんまだ? 俺、話聞きたいのに」
「実家で飯食ってんだろ」

その時、慎之介の携帯が鳴った。

「彼女?」
「残念ながら、男のダチ」

電話に出て、親しげに話し始める。
長くなりそうなのだろう、手を上げてリビングから出て行った。

「若いなぁ」

琴乃がその後ろ姿を眺めて、しみじみという。

「あんただってまだ若いでしょ」
「母さんから見ればね」
「大きくなってビックリしたぞ」

父が今更なことを言うが、いつものことで誰も突っ込まない。

「父さんが最後に慎之介に会ったの、いつ?」
「……小学校か?」
「何で俺に訊くんだよ」

勇次が眉をしかめても、父はう~ん……と考えている。

なんせ、一年中楽団と共にあっちこっち移動してる人だ。
家族と居るより楽団員と一緒に過ごす時間の方がずっと長い。

「慎之介の小さい時のビデオあったわよね。ほら、イギリスに居た和に送るのに撮ったのが」

母がリビングのソファー前にあるノートPCを弄り出した。

そういえば、家は写真よりビデオを良く撮っていた。
レッスンの演奏を録って後で確認するためと、離れて暮らすことの多かった家族に送るには動画の方が喜ぶからだろう。

「琴乃。どれだったっけ?」
「もー、自分のパソコンでしょ。ほんと、整理するのが苦手なんだからっ」

琴乃がブツブツ言いながら、探し当てたようだ。

「え、これ……隼だ。やだ……泣いてる。可愛い~」

その声で、勇次が飛ぶようにソファー前に行った。

「慎之介の探してたのに、遡りすぎちゃった」

止めようとする琴乃の手を退け、パソコンごと自分の方に向けた。


「ちょっとー、何よ」

母と琴乃が文句を言うが、勇次は気にとめずにパソコンの画面に見入る。

そこには隼が香苗にほっぺたをブチュッと吸われていて、ビービー泣いている姿が写っていた。

「ゆーじぃ~~」

泣きながら自分を呼んでいる。

香苗が泣いている隼を抱き上げて、しつこくほっぺにスリスリ……。
隼が物凄く嫌がって身を捩っているのを、俺が手を引っ張って助けようとしている。
……が、中学生くらいの姉に敵う訳もない自分達がそこに居た。

「香姉……鬼畜」

横にいる琴乃がボソリ。
香苗は隼が嫌がってるのに、ニヤニヤと笑いながら抱いて降ろさない。

「琴乃だって、同じようなことやってたくせに」
「いや、私は姉さんほど鬼畜じゃないわよ。それに、あんたより隼の方が反応するんだもん」

そういえば、前も同じようなこと言ってたような……。

「あはは、この勇次見て?」

母が笑うから画面を見れば、香苗から隼を助けようと足元でピョンピョン跳ねている自分が居た。

「こういうの見ると、勇次も可愛いわね」

そうだろう。
俺も自分で思う。
画面の中の俺は、泣いている隼を助けようと必死で可愛いじゃないか。

次に画面が変わり、兄と自分がギターで遊んでいる場面に変わる。

「ほら、ここ押さえてこっちの指で弾くんだ」

兄が弟の俺に弦の押さえ方を伝授している。
手が小さくて、兄の言うとおりにできないのに頑張ってる。

「母さん、時系列バラバラで繋いでるじゃない。この勇次、さっきより小さいよ」
「いいじゃない。和は、勇次よくと楽器で遊んでやってたもんね」

うん。
ギターやドラム、とにかく音の出るモノを、物心つく前から兄に教えてもらった。

次の画面は、兄が一人でギターを弾きまくってる。

「兄貴、ギター巧いな」
「そうよ。一時、ギタリストになるとか言い出して」

へぇ……そんな時があったのか。

「長男だから、いいわよとは言えなかったわね」
「次男で良かったわ、俺」
「あんた、小さい時から曲ばっか作ってたしね。まぁ、何かしらの予感はあったのよ」

ふーん。

「あの焼き芋の歌は笑ったわ~」
「あぁ、変換して作ったやつでしょ」
「なんか変な題名ばっかりだったから」
「そうそう」

二人が勇次が子供の頃に作った曲を色々と思い出して笑っているが、当の本人はマウスで早送りして、隼を探す。

「何、早送りしてんの」
「慎之介の探してんのに、後で見なさいよっ」

また横で母と琴乃が文句を言うが、無視。


……あった。

隼と一緒に風呂に入ってる映像が出てきた。

「ゆーじ、アイス食べる?」

風呂の中で隼が、風呂から上がったらアイスを食べるのかと聞いている……だけで、可愛い。
あの公園で会ったフウタくんが一瞬浮かんだ。

「食べる」
「俺、桃のがいいっ」

自分が食べたいのを決めていて、俺に取られる前に先回りして宣言。
年の近い兄弟の真ん中っ子の隼と、末っ子といえど他のきょうだいとは少し年が離れている俺との違い……かな。

「隼は桃好きだね~」

ムービーを撮っているのは母のようで、クスクス笑っている声が入っている。

「すきー」

画面に向かって言う隼の顔がまた嬉しそうで……。

「あー、もうっ」

勇次が傍にあったクッションを抱いて、ゴロッと倒れた。

「……やだ。悶絶してんの?」

琴乃が体を退いた。

次に自分で体を拭いている二人の画面。

小っせー、ちんこ。

「ゆーじ、ここちゃんとふくねんで?」

隼が耳の後ろをタオルで拭くのだと、俺に教えている。
小さい隼はイントネーションが、関西弁だ。
幼稚園で、からかわれてたもんな。

「隼はかしこいねぇ」
「俺も、お兄ちゃんみたいにいっぱい勉強するねん」

母と隼の会話をしている横で、俺は黙々と隼に言われた通り耳の後ろを拭いている。

「そっかー。隼もパパみたいにお医者さんになるの?」
「ううん、メガレンジャーになるっ。めっちゃ強いねん」

裸でバンザイをして、足を広げて……ちんこ丸出しで、自分を大きく見せようとしてる。

「すごーい、隼」

母がノせると、ニーッと笑う顔が……。

はー……堪らん。

ぐふふ、と思わず声が漏れると、琴乃が更に体を退く。

「お父さーん。弟が気持ち悪いんだけどー」

向こうに居る父に言うが、父は顔を上げただけでまた何かに没頭した。

「ちょっと、あんたショタ?」
「うるせ。穢すようなこと言うな」

こんな天使のような隼をどうこうなんか、有り得ないだろ。

「お母さーん。弟が生意気ー」
「あんたも何、ノッってんの」

姉弟を見て、母が笑いながらそこを離れた。


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ショタ隼……書くの楽しかった(´艸`*)
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