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「●内野と浩太☆番外編」
陽だまり

陽だまり 12

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内野がバ―に顔を出してしばらくすると、光希が入ってきた。

来た……。

光希がこの店に顔を出す曜日は、一時口説かれていた時期に把握している。
定期的に誘われていたからだ。

あれからロスに行ったにしろ、同じ店に勤めていればそう変わりないだろうと。
こっちから誘うのも、何だか癪だからしなかった。



その光希は店の入り口でこっちを見た途端、手で口を押さえたままだ。

「何やってんだ」

内野が声をかけると、ブーッと吹き出した。


……はぁ?
何で俺を見て笑うんだ。

しばらく笑ってから、隣に座ってハイボールを頼む。

「何が可笑しい」
「……もう、嫌だ。内野さん、分かり易過ぎて」

まだ、くくっと笑いながらこっちを見る。

「来ると思ってた」

……それは何か?
俺の行動を読めたってことか。

急に自分が情けなくなってきて、溜息を吐く。


「俺は、おびき寄せられたのか?」
「いやいや、別にそういうつもりじゃないって」

ギロリと見れば、両手の平をこっちに向ける。

「怖いな~。ちょっと浩太に何か言ったら、コレだもん。……お父さんかっ」
「お父さんじゃない」

普通に答えると、また声に出して笑う。

「もー……内野さん、おかしー。クールなイケメンキャラ崩壊……っ」

片方の肘をカウンターに乗せて目を覆い、しばらくの間小さく笑っているのを横目に酒を飲む。


「……ゴメン。もう……ツボに入っちゃって……」


何がそんなに可笑しいんだ。


「あー、もう……。久々に腹の底から可笑しかった」
「…………」
「有難う、内野さん」

同じことを浩太にも言われたが、光希に礼を言われる覚えはない。

「ちょっとー、無視ですか?」

俺のこと待ってたくせに……とボソリ。

そうだった。
今日は、光希に要らないことを浩太に吹き込むな……と言いに来たのだ。
それに飲みに誘っていたしな。

何があるか分からないのに、放任出来ないじゃないか。
まぁ……父親じゃないし。
浩太は女の子じゃない。
それに成人してるんだから、あまり厳しいことは言えないが。

「浩太のことだろ?」
「……まぁ」
「も~、浩太も浩太だよ。何でもかんでも、内野さんに報告しちゃって」
「報告じゃない。飯食いながら、こんなことあったんだよ……って感じだ」

同じだろ……と、またくっと笑う。

「どれ? 何がダメだったの?」
「ダメとかそういうんじゃない」
「じゃ、何?」
「色気ないとか……そういうことだ」
「え、まさか。浩太が傷ついて、内野さんに泣きついた?」

違うと首を振ると、だよな~と呑気だ。

「そんなことで、一々傷つくようなタイプじゃないしね」

ふふん……と、少し意地の悪い顔をする。

「お前、まさか浩太を恨……」
「待った。俺はもう、内野さんのことはフッ切ってます。今更、浩太にどうこうなんてありませんので誤解のないように」

真面目な顔で言われて、そうだよな……と内野も素直に受け取る。
光希が浩太を可愛いと思っているのは、ちゃんと分かってるのだ。

「それともう一つ。お前、浩太を飲みに誘ったろ?」
「あー、うん」
「どこに連れて行くんだ」

「……だから、お父さんかっつーの」
「まだ成人して半年だ」

何だ、その理屈……と呆れた顔をされた。

「大人になったから、行こうかって言っただけだよ。もし行くとしても、俺を信用しろって」

そうだな……。

浩太は飲みに誘われて、嬉しそうだった。

俺が浩太の世界を狭めるっていうのは……う~ん……。

「ちょっと、大事にし過ぎじゃないの?」
「普通だろ」
「えー……。ま、いいけど」

「過保護……だと思うか?」

内野が俯いたまま問えば、光希がまた小さく笑った。

「笑うな」
「もー、ホント……内野さん、残念すぎ」

バシッと背中を叩かれる。

「痛いっ」

カウンターに前のめりになって言えば、ごめんごめんと背中を撫でてくる。

「いつまでも保護者意識が取れないでいると、浩太に嫌がられちゃうかもよ」

光希の言葉に、内野が少ししてから大きくため息を吐く。

「そう思うか?」
「ふふ……っ」

カウンターに肘をつき、頭を乗せて意味深にこっちを見る。

「わかってんのかな……」
「何がだ」
「向こうは初めての恋愛なんだからさ~、内野さんが染めて行ってんだよ?」

光希が酒をお代わりするから、内野も一緒に頼む。

「もっとドシッと構えてればいいのに」
「そんな簡単に言うな」

フラフラしないかとか、そういうことを心配してるんじゃない。

今日だって別に、光希を責めに来た訳じゃないんだ。

ただ浩太は光希に懐いてる分、冗談で言ったことでもそのまま受け止める。

「まった、グルグルしてる」

「はぁ……もう、あいつ素直過ぎて、ストレートでぶつかってくるから」
「ゴン! って体当たりされてんだ」

「あぁ……時々、眩暈がする」

「そういうとこが可愛いくせに」
「うん」

たまに困るんだけど、変わらないでいて欲しい部分だ。

「ケッ……結局、二人してノロケか」

ブツブツ言いながらも、その顔は笑っていた。


「浩太はお前に懐いてるからな」
「そう。一時はお互いにイラついてたのに。でも、やっぱり可愛いわ。俺、末っ子だからさ……もし弟が居たら、あんな感じかな」

憎たらしいけど、可愛い……そう付け加えて。


「髪切ってる時なんか、鏡越しにキラキラした目ですっごい見てくるんだ」
「尊敬の目、だろ?」
「そう。まさにソレ」

浩太に限らず、年下の同性からの尊敬の眼差しはかなりクる。
もっと頑張らなきゃと、気持ちが奮い立つもんだ。

多分、女同士でも同じじゃないかと思う。

「普段から、あぁいう真っ直ぐな目を向けられてんだよね、内野さん」
「そうだ」

ほんと可愛いんだよなぁ……と、光希がボソッと呟く。

「まぁさ、俺と浩太のことは心配しないで大丈夫だから」
「ならいい」
「それよか、俺と内野さんがこうやって二人で酒呑んでるって方が、浩太は嫌なんじゃない?」

光希にそう言われて、ギクリとした。

待ち合わせた訳じゃない。

いや……でも……やっぱり嫌だよな。



「あはは」

光希の笑い声を聞きながら、内野は額をゴシゴシと擦った。


「何も二人きりで密会してた訳じゃないし。話してる内容は、ひたすら浩太の心配でしょ? 後ろめたくなんか思わなくていいのに」

そうだよな。
……そうだ。


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