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「●内野と浩太☆番外編」
陽だまり

陽だまり 11

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内野が駅に着き、浩太にメッセージを送る。

今日は浩太の休みだ。
平日の休みの日は、用事のない時以外は家で夕食を作って待ってくれている。

遅くなって一緒にテーブルを囲めない時でも、家に帰ると食事の支度をしてくれている時も。

たまには友人と出かけることがあっても、いつも俺を優先してくれているのだ。

浩太は今も、あの部屋で一緒にご飯を食べることを喜ぶ。

そして俺も……。

内野は足取りも軽く、家へと続く道を歩いた。

*

「お帰り!!」
「ただいま」

ドアを開けたるとすぐに聞こえる浩太の声と、夕食の匂いが漂っていることへの幸せな瞬間。

「トマトソース?」
「あ、分かった? 早く早く、冷めちゃうよー」

急かされて、内野はすぐに部屋着に着替えてテーブルについた。

浩太がキッチンで、フライパンから皿に移している姿を眺める。

髪を切りに行と言ってた通り、すっきりとしてる。

高校生の時とは、随分と変わった。
何がどう……というのは分からないが、全体的に洒落て、垢ぬけた。

そしてそのことに、何故か微妙な気持ちになるのはいつものことだ。

「はい、どうぞ」
「お、チキンか」
「そう。皮もこんがり焼き目ついてるから」

鶏皮も嫌いではないが、焼き目のついていないブニャっとした食感が苦手なのも把握してくれている。

「はい、今日は野菜たっぷりのコンソメスープ」

味噌汁用の碗に入れたスープを、テーブルにコトリ。


「これは、ビーフン?」
「あ、違うよ。この間の残り物のしらたきと野菜を、まとめて炒めただけ」

あとはサラダと、いつもの漬物。

「いただきます」

手を合わせて、鶏肉に噛り付いた。

「美味い」
「うちの賄いのレシピだよ」

浩太は店の賄いで食べたモノを、こうやって作ってくれる。

「緒方くんだっけ?」
「うん。たまに寮でも試作品作って、僕が味見するんだ」

仲良くしてる様子が伺えて、微笑ましい。

「この間、イタリアン行った時のも作ってくれるのか?」
「あれは、さすがに難しいよ。でも……それっぽいのなら」

自信無げな言い方が、可笑しくてニヤけてしまう。

「浩太が作ってくれるんだったら、何でもいいいんだよ」
「じゃ~週末は、何がいい?」
「今週は休みだと思うから、先に買い物してようか?」
「早番だし、一緒に行きたいから待ってて」

それか何か食べに行ってもいいと言えば、首を振る。

「ここがいい」
「分かった。今日は帰るんだな」
「うん。明日、早番だし」

浩太は平日の休みは、大抵帰る。

寮は家族以外の「入」には煩いが、「出」の方は割と自由だと聞いている。

男ばかりで独身。
自己管理さえできていればそこまで厳しくもないにしろ、頻繁に空ける訳にもいかないだろう。

「今日、光希さんに飲みに行こうって誘われた」

嬉しそうな顔で、そんなことを言ってきた。

「……は? 二人でか」
「う~ん……多分。飲みに行くって、何か大人だよね」

単純に喜んでいる浩太に、内野は眉をひそめたままだ。

行くな……と言いたい。
でも言えば、何故だと聞き返してくる。

単純に喜んでいる顔を曇らせるのは忍びない。

成人したんだ。
大人なんだ。

外で友人と酒を飲むくらい、普通だ。

「行くのか?」
「まだ言われただけだよ」
「何処に?」

浩太の怪訝な表情に、詰問するかのような口調になってしまったことに気付く。

「内野さんと光希さんが行くバーかって聞いたら、あそこはダメだって」

当たり前だ。
あそこは、言語道断。

別に客層が悪い訳じゃない。
そういうんじゃなくて……浩太は…………ダメだ。

「僕、もうちょっと大人になったら、男にモテるんだって」

ひひ……と肩をすくめて笑い、邪気なくチキンを口に頬張る。

そうだ。
今のお前だったら、可愛いと弄られるくらいで済むかもしれない。

でも、あと五年もすれば……。

内野は目の前の浩太を見ながら、五年後を想像する。

この二、三年でも随分と男っぽくなった。
まだ幼い部分は残っているとしても、顔つきも体つきも、どんどん青年になってきてる。

女の子とのことを不安に思うのは、相手がゲイでない限り付きまとう。
そんなのはとっくに分かりきったことだ。

でも、相手が男となると冷静ではいられない。

あぁ……浩太。
俺は、心配だ。

浩太が、浮気するとは思えない。
だから余計に怖いんだ。

お前が他に行く時は、俺への気持ちから離れた時だと思うから。


「でもね、色気ないって言われた」

また、ひひ……と笑って飯を食べる。

……呑気だな、お前。
こっちはグルグル考えてるのに。

「色気なんて、どうやったら出るんだろ」

「そんなのは、必要ないんだよ」

断言するように言ってしまった……。



「モテたいのか?」
「うん。内野さんにはモテたい」

真顔で言われて、一瞬息を飲む。

だが、浩太は別に冗談を言っているようでも、駆け引きをしているようでもない。

「も……モテてるだろ、俺には」
「だって。……内野さんも、僕に色気ないって言った」

え……そんなこと言ったか?

「もう覚えてないだろうけど」

ボソッと言って、また飯を普通に飯を食べるのを見ながら、記憶を辿って頭を巡らせる。

……口に出したんだな、俺。

多分、あまりにもストレートに来る浩太に、そういうようなことを言ったような気が……する。
でもそれは、悪い意味で言ったのじゃないのに。

浩太には、案外刺さったのかもしれないな。
ただでさえ子供扱いすると、ムキになっていたんだから。

「気にしてたのか?」
「ちょっとはするよ。自分でも分かってるし」
「あ……いや、悪い意味じゃない」
「うん」

コクンと頷いて、あっさり……。

浩太……俺は、どうすればいい?

光希。
お前は何でそう、浩太に色々と吹きこむんだよ。

内野がまたグルグル考えていると「ごちそうさま」と聞こえた。

「内野さん」
「はい」
「僕を大事にしてくれてるんだよね」
「あ……あたりまえだろ」

嬉しそうな顔になって、ジッと顔を見て来る。

「ありがとう。内野さん」

思いがけない言葉に、また不意をつかれたようになって頷くしか出来ない。

「はやく食べて」

え。……何を?

「スープとか冷めちゃうよ」

……あ、ご飯ね。


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昨日はブログ5周年のお祝いのお言葉、有難う御座いましたm(__)m
いつも読者様から教えてもらって(;゜○゜)となること5年目…orz
お礼の記事も上げられず、すいません!!また、時間のある時に…(遅っ
多謝
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