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「●内野と浩太☆番外編」
陽だまり

陽だまり 10

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休日に美容院に行くと、光希が迎えてくれた。

「いらっしゃい」
「こんにちは」
「今日は、どんな?」
「いつもと一緒で」
「変えようよー」
「ダメ」

接客業だもんな……と鏡越しに笑う。

分かってるくせに、いつも同じことを言う。

「うん。浮気してないな」

浩太の髪を見ながら、満足そうだ。

「しないよ」
「浩太が一途だっていうのは、知ってる」

優しく微笑んで、まずはシャンプー台の方に連れて行かれた。

「盾井さん、私が」
「いいよ。俺がする」

シャンプー台に座っていると、そんな声が聞こえた。

「光希さんは、シャンプーとかあんまりしないの?」
「今もたまにはするよ」

たまにか……。

「僕の時は、いつもしてくれるよね」
「浩太は特別」

顔にガードをかけられて、見えない状態で話す。

「特別?」
「そう。真っ新の浩太を、俺色に染めるの」
「え……?」
「あれ? 最初の俺のシツコイ誘いを覚えてない?」

あ、そうか。
美容院なんて行ったことのなかった頃に、コンビニで何度か誘ってくれたんだ。
カットモデルとか何とか……そういうやつ。

「覚えてる」
「色々意地悪もしたけど、可愛いと思ってるのも本当」

何でもないことのように言われたけど、浩太は嬉しかった。

一時、嫌な感情があったし、今だって……内野さんのことをまだ好きなのかと心配する気持ちはある。

自分が内野さんに必死で好きだって伝えて、受け入れてもらえて。
そのせいで、光希さんが辛い思いをしたのか……と思っていいのかさえ、分からない。

「痒いとこありませんか?」
「ないです」

光希さんの指、気持ちいい……。

でも、この指で内野さんに触れた。

そんな嫉妬だってあるんだ。

けど、やっぱり光希さんに髪をしてもらいたい。

別に髪型に特別に拘りがある訳じゃないけど。

海外の美容師さんは、店を変わる度にお客さんも付いて行くのだと聞いた。
その気持ちが分かるくらいには、光希さんがいい。

*

美容室を出てから近所の喫茶店で遅めのランチを食べていると、光希が入ってきた。

「ミートソースのドリアか……。俺もこれで」

店の人に注文をしてから、水をゴクゴクと飲む。

予約を入れるのは大抵平日の休みの日で、たまにタイミングが合うと一緒にこの店に来る。

「美味しい?」
「うん」
「内野さんは元気?」

コクコクと頷きながら水を飲むと、光希がフッと口元を綻ばせる。

「慌てなくていいよ。こっちが勝手に質問してんだから」
「光希さんは、内野さんに会ってないの?」
「会う訳ないじゃん。……え、心配?」
「違う。バーとかでだよ」

あはは、と笑われた。

「最近はバーでも顔見てない」
「そうだよね。忙しそうだもん」
「……何、喜んでんだ」

分かり易いヤツだなんだとブチブチと言いながら、携帯を弄る。

「三十分で戻らなきゃ」
「次の予約?」
「そう。次はメイクもだから、時間かかるんだ」

指名が入る仕事って大変だけど、やりがいもあるだろうな。

「腕一本で食べて行くって、格好イイ」

成瀬さんと話していたことを思い出した。

「ありがと~。もう、体力勝負だからな」

運ばれてきたドリアを見ながら、フーフーと食べ始めた。

「忙しい時は、お昼ご飯抜きの時もあるって言ってたもんね」
「うん。けど、なるべく食べるようにしてる。五分でパンとか米、早食いの時もあるよ」

熱い熱いと言いながらも、バクバクと食べて行く。

「浩太、お酒飲める年になったもんな」
「え? ……うん」
「じゃ~、今度飲みに行こう」
「内野さんも行く、バーで?」

浩太の問いに、光希が少し考えて首を振る。

「あそこはダメだな。浩太、可愛いから餌食にされる」

餌食……?

眉をひそめると、プッと笑って水を飲んだ。

「浩太はね、モテるタイプだよ。……男に」
「……そうなの?」
「そう。今はまだ幼さが前に出てるけど、もうちょっと年取ったら内野さん心配だろうなぁ」

男にモテるって言われても……。
別に今まで、そんなこともなかったし。

「女の子にもモテるかもだけど、俺そっちは分かんないから」
「モテないよ」

背だって高くないし、毎日腹筋や背筋はしてるけど、やっぱりまだ細っこいし。
男らしい部分がないくらいは自覚してる。
それに、モテたいとかもない。

内野さんだけに、モテたい。

「まぁ、今はまだ色気があんまりないから大丈夫かな」

色気……。

内野さんにも「ない」って言われたこともあるけど。
そんなのどうやったら出るのかも、知らない。

「どうやったら出るの?」

浩太が普通に聞いたら、コーヒーを飲みながら目が細まった。

「出したいの?」
「……う~ん」

だって、内野さんが……。

「相当大事にされてるんだな」
「え……」
「凄く大事なんだよ。浩太のことが」
「まだ子供っぽいのかな」

光希が、それも無いとは言えないけど……と微笑む。

「あんまり大事にされ過ぎて、不満か?」
「不満とかじゃなくて」

不満なんて。
そういうんじゃない。

内野さんが僕を好きだって言ってくれてるのに。

「浩太が大人になって行くのを、じーさんみたいな気分で眺めてんだよ、あの人」
「じーさんは、酷い」

二人で笑って、浩太もアイスティーを飲む。

「でもしょうがないんじゃない? 浩太が高校生の時は、保護者のような役割もしてたんだし。まだどっか抜けてないんだろうな~」
「うん……」
「いい気味」
「光希さん、結構酷いこと言うよね。今更だけど」

光希は肩をすくめて、澄ました顔。


「大事にされてろ」

ボソッと言った後で眉を上げる。

「ずっと内野さんと一緒に居るんだよな?」
「居る」
「傍に居て、くっ付いて……それで充分だよ。俺だって、そういうのが一番欲しいもん」

憂いを帯びたような表情に、ドキッとした。

まだ、内野さんを……好きなのかな……。

「なーに、心配そうな顔してんだ」
「……別に」
「大丈夫。内野さんのこと諦めて、ロスに行ったんだから」
「今、好きな人居る?」

気になって聞いてみれば「内緒」と微笑むだけ。

「いいねぇ~。恋に破れた敗者が、勝者にそうやって気にしてもらえるのって」
「そんな風に言わないでよ」

「本気でムカついてたからな……あの頃」
「僕も」

二人で目を合わせて見つめ合い、どちらからともなくクッと笑った。


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昨日の龍介ですが。お仕事の時は、モチロンちゃんと喋りますよー!
それとエロの時…(。・w・。 )達也に「言葉責め禁止令」出されてますが(爆
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