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「●内野と浩太☆番外編」
陽だまり

陽だまり 3

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内野は仕事を終えて社を後にし、急いで電車に乗る。

今日は浩太の早番で、帰りに食事に行く約束をした。
久しぶりに二人でゆっくりと外食だ。

肉でも食べに連れて行ってやろうかと思っていたが、浩太のリクエストは天ぷら。
店の近くに美味しい店があるのだと聞いたらしい。

仕事関係や他の友人達とも、時々は外食に行っているようだ。
なんでも店のメニューについてのミーティングの時に、何かの意見を言わないといけないとか。

さすがに、天ぷら……はないか。
俺と一緒の時は、甘えてくれてると思っていいんだよな。

内野は電車の中で綻ぶ口元を手で塞いだ。

*

「いらっしゃいませ」

店に入って浩太を探すが居ない。

あれ?もう上がったか?

内野は時計を確認したが、まだ二十分ほど前だ。

ま、いっか……。
俺が来るのは、分かってるはず。

内野はブレンドを注文して、携帯を取り出して浩太にメッセージを打った。

―― 店に居る。

打ち終わって顔を上げると、浩太がトイレの方から出てきた。
その手に、洗剤を持っている。

あ、掃除してたのか。

目が合って微笑むと、途端にパッと嬉しそうな顔になる。

可愛いなぁ……もう。

コンビニでバイトしている時も迎えに行くと、あんな顔をしていたっけ。
変わらない浩太に、またつい口元が綻びる。

そこへブレンドが運ばれてきて、女性店員とバチッと目が合ってしまった。

ニヤけてたの、見られたかな?

「ごゆっくりどうぞ」

バツが悪くて、小さく頭を下げた。

*

浩太が目線で合図してスタッフルームに着替えに入った後、三分程待ってから内野は席を立ちレジで会計を済ませる。

「有難う御座いました」

さっきの女性店員に微笑まれて、内野も礼を告げて店を出る。

やっぱり見られてたかな……。

浩太のことになると、顔が緩むんだよ。
気をつけないと、不気味だよな。

スーツ姿のサラリーマンが一人でニヤニヤしてる姿を想像して、頭をブルルと振る。

気持ち悪いな……。

自分で想像して、額を擦る。

「内野さんっ」

浩太の声で顔を上げると、目の前に眉をしかめている浩太が居た。

「あ、お疲れ」
「また額ゴシゴシしてたよ?」
「あ……うん。気をつけようと反省してた」
「何を?」

一緒に歩き出して、浩太が顔を覗き込むようにしてくる。

「お前のこと思うと、すぐ顔がニヤけるとこ」
「……恥ずかしいのー」

少し照れた浩太を横目で見て、また顔がニヤけそうになる。

「だから、反省」
「さっき、副店長が内野さんもカッコイイって」
「副店長?」
「あ。先月から入ってきた箭内さんっていう女の人」

あ……。
さっきの人か。

「今日ね、内野さんに似たタイプの人が店に来たんだ」
「へぇ……。まぁ、別に珍しいタイプじゃないだろ。何処にでもいる」

「珍しいっていうのとは違うけど、スラーッと背が高くてカッコイイ人は目を惹くよ」

店が何処かは知らないが、浩太がさっさと歩くのでそのまま横につく。

「ほら、あの女の人もこっち見てる」

浩太が言うが誰か分からない。

「興味ないなぁ」

俺は女にどれだけ見られても、何も感じないんだよ。

「内野さんに釣り合うように、僕もガンバローっと」

浩太がニッと笑うから、頭にポンと手を乗せる。

「あんまり急がなくていい」

あの十六の出会いから考えても、随分と変わった。

お前はお前のままでいてくれ。
八年の開きなど、年を重ねて行けば勝手に近づいて行く。



「あ、あの人たちだ。噂をすれば、ってやつだよね」

浩太が寿司店から出てきた人達を見て言うから、何がだと思う。

「さっきの内野さんに似た人」

そう言われても、少し遠いからよく分からない。
いや……遠目で見ても日本人じゃない。

「俺、外人に間違われたことないけど」
「違うよ。ほら、今出てきた人」

最後に出てきた男は、背格好は確かに……浩太がさっき言ったように、長身で細身だ。
でも、顔までは分からないから首を傾げる。

「似てるかな」
「顔とかそういうんじゃなくて、全体的な雰囲気? そーいうの」

雰囲気なんて、余計に自分じゃ分からないものだ。

「あそこのお寿司屋さん、高いので有名なんだよ」
「お前も食べたい?」

内野が問えば、浩太が首を振る。
食べたいっていうなら、高くても連れて行ってやりたいと思う自分のオヤジさ加減に笑えるけど。

「外国の人ってお寿司好きだよね。たまに、店でも聞かれる」
「うちも海外支社から来た人はそうだ。でも、天ぷらも人気だぞ」
「えへへ。今から天ぷら食べるもんね」

*

細い路地に入って行くと、店があった。

「ここ」
「いい感じだな」

店構えは、ちょっとした高級割烹だ。
だが、中に入ると客層は同年代も多い。

「いらしゃいませ」

「予約していた内野です」
「内野様ですね。どうぞ、こちらへ」

案内される席に向かう途中で、浩太が立ち止る。

「あ……池内くん」
「こんばんは」

スーツ姿の若い二人が浩太を見て、目を丸めている。

「偶然ですね」
「うん。ビックリした」

人懐こい言い方に、多分店の客だろうと思う。

内野も小さく頭を下げて、浩太と共に案内された席に着いた。

「お客さんか?」
「うん。ここらへんウロついてると、誰かに会う」

そうだよな。
オフィス街のど真ん中のカフェともなると。

「もう結構いっぱいだな」
「平日はもっと混んでると思う」
「コースでいいな?」
「うん」

予約の際にコースを頼んでおいた。

内野は瓶ビールを頼み、浩太のコップにも一杯分だけ注ぐ。

前にジョッキを背伸びして頼んだが、一杯飲むのに時間がかかってぬるくなるし、意地になって全部飲んで帰りはフラフラになったのだ。
それでも少しは飲みたがるから、浩太と一緒の時の一杯目は瓶ビール。

「お疲れ」
「お疲れ様」

コップを合わせて乾杯をしていると、前菜が運ばれてきた。



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昨日、白魔王とウッチーが似てる説に反応頂き、あれ……?(・∀・)と(笑
愛を、くれ。の時、隼が言っておりましたのですー(〃艸〃)
ま、似てると言っても、雰囲気デスネ。
浩太と隼もそういう意味じゃ同系?でも、狂犬と仔犬。。。←共に17歳くらいの時 笑
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