女性向け創作サイトリンク集B-LOVERs★LINK 人気ブログランキングへ

「●冬吾と澪☆番外編」
フォトフレーム

フォトフレーム 22

 ←フォトフレーム 21 →フォトフレーム 23(終)
「おばさん、久しぶり~」
「久しぶり~……って程でもないけどね」

冬吾の母が、ニコニコしてこっちに向かって来る。

「唯ちゃ~ん。大きくなったわね~」

手を広げて唯を抱き上げた。

「こんばんは。お邪魔します」
「こんばんは。しっかりしてるわねぇ」

女の子は可愛いわぁ……と呟きながら靴を脱がせて、抱いたままさっさと向こうへ連れて行く。

唯が冬吾が来ないと何度も言うから、こっちから来たのだ。
匠も連れて来ようかと思ったが、寝てしまった。

「お~澪、来たか。唯ちゃんっ」

冬吾の家の全員が姪っ子を歓迎してくれる。

おじさんも兄貴たちも、ヤニ下がって……見ていられない。
この家はおばさん以外は全員男だから、余計かな。

「唯、お姫様だな」
「どの王子様がいい?」

冬吾の父親が嬉々として聞けば、おばさんが横で眉をしかめるのが視界に入る。

「……自分も王子のつもりなのかしら、厚かましい」と呟くから、澪が吹き出した。

「トーゴくん」

唯が迷いなく冬吾の元へ行って、ちょこんと膝の上に座る。

「唯ちゃんは、冬吾のお嫁さんになるか?」

おじさんが調子に乗って言えば、首をブルブルと振った。

「あのね。唯がオトナになったらトーゴくんはおじさんになっちゃうの。ママがね、イケメンでもおじさんはやめた方がいいって」

澄ました顔でペラペラと言う唯に、全員が固まった。

……母娘で何の話をしてんだか。


ハル兄が、ブーッと吹き出す。

「凄いな……女の子って」

太一兄は、本気で感心している。

いや、姉貴の娘だから。


「冬吾、振られたな。もー、澪。お前が嫁に行ってやれ」

ハル兄が言う言葉に、澪の方が固まった。

冬吾を見ると、肩を竦める。

「いいよ~」

ノった振りをしてみたが誰も本気にせず、また唯に構いだす。

「澪ちゃん、コーヒー飲む?」
「やった。おばさんのコーヒー、久しぶりだ」

冬吾がコーヒーにちょっと拘るのは、母親の影響だ。
豆からちゃんと淹れてくれる。

向こうのソファーでは男四人が唯を中心にして盛り上がっているのを横目に、おばさんと一緒にテーブルに座った。

「冬吾、ちゃんとしてる?」
「してる、してる」
「澪ちゃんの後ろ追いかけてばっかりで」
「いや、それ昔の話。今は、俺の方が結構頼ってる」

実際、同じ末っ子でもちょっと違う。
俺はちょっと年取って出来た子だし、兄貴や姉貴からも甘やかされてきた。

今向こうに居る唯のような状態に似通っているとも言えるだろう。

だから根っこはやっぱり甘ったれだと自覚してる。

でも冬吾は、年がくっ付いた男兄弟の中での末っ子だ。
我慢強くて、少しくらいの理不尽さに一々目くじらを立てない。

そう……俺よりずっと、どっしりとしている。

「そうなの?」
「俺は仕事で凹むとグダグダなんだけど、冬吾は一旦受けてから、さっさと流して行くタイプかな」
「あ~……そういうとこあるわ、あの子」

おばさんがクスッと笑う。

「もう熱出すこともほぼ無いし、出しても俺が居る。ちゃんと二人でやってるよ」
「ありがとうね」
「任せといて」

*

冬吾の家を一緒に出て、今度は澪の家へ。

「ただいまー」

唯の靴を脱がせると、また冬吾に抱っこをせがむから抱いたままリビングに入った。

「お、冬吾~」

ソファーで兄貴と義兄と親父が一緒にビールを飲んでいた。

「冬吾! またイケメンになってきちゃって」

姉が冬吾を見て、目を輝かせる。

「冬吾、ビール飲むか?」
「いいって。飲ませんなよ。もう帰るんだから」

父親が冬吾を誘おうとするから、澪が断った。

「ったく、あんた達いつまでもベッタリなんだから」

姉が冬吾から唯を受け取って、下に降ろす。

「ママ、唯お姫さまだってー」

ニコニコと嬉しそうに母に報告している。

「もう、冬吾ん家。みんなデレデレ」
「あらら。もう悩殺してんの~、唯」
「のうさつ?」

唯が聞きなれない言葉に首を傾げる。

「姉さん、あんまり変な言葉教えるなよ。すぐ真似するんだから」

「わ、澪に諭される日が来るとは……」
「どういう意味だよっ」

「まーまー、澪が大人になってきて、お兄ちゃんもお姉ちゃんも嬉しくてちょっと寂しい」

圭兄が傍に来て、澪の頬を軽くつねる。

この家に帰ると、俺はいつも甘えたの末っ子だ。

どんなに大人になっても、きっとそれは変わらない。

「冬吾くん、おばさんの特製の漬物持って帰る?」
「あ、持って帰る」
「最近、糠床作ったのよ。澪には要らないって言われたんだけど。冬吾くん、漬物好きでしょ?」
「うん」

臭いだなんだと横から文句を言う澪を横目に、冬吾がキッチンに向かう。
母が冷蔵庫から糠床を出してきて、冬吾と仲良く選んでいる。

「冬吾、そろそろ帰るぞ」
「うん」

澪が声をかけると、冬吾が素直に返事をする姿を見て、義兄が笑う。

「まるで、旦那と嫁みたいだな」
「ほんとーに。いつまでくっ付いてんだろ」

姉夫婦に笑いながら言われて、澪は心の中で「ずっとだよ」と答える。

「澪は冬吾が大好きだもんな」

圭兄がニッコリと微笑むから、澪も「そうだよ」と微笑んだ。

ほぉ……という顔をして、頭にポンと手を乗せる。

「また、飯食いに行こうな」
「うん」
「肉だろ?」
「高いヤツ」

あはは、と兄が笑って冬吾も一緒に連れて来いと言ってくれた。

「俺も彼女連れて行くから」

小声でそう言われて澪が目を剥けば、兄が両眉を上げる。

「え……」
「何でそんなに驚く」

だって。
今まで、彼女が居ても連れてきたこと無かったじゃん。


あ。

……きっと、あれだ。

結婚を考えている相手。


「ヤだよ」

何で嫌なのか分からないけど、咄嗟にそんな言葉が出た。

「何で?」
「何かヤだ。冬吾と三人がいい」

「お前は……本当に」

呆れたように言って、鼻の頭をつままれた。


応援ポチ、有難う御座います。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ


明日で、最終回の予定です('-'*)ゝ
関連記事
総もくじ 3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛なんぞ、くそ喰らえ
総もくじ 3kaku_s_L.png ● 信史と秋也☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ● 勇次と隼☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ● 龍介と達也☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●洋平と明良☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●冬吾と澪☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●内野と浩太☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●堂本と拓篤☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●北見と佐倉☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png シリーズモノ〈番外〉集
総もくじ 3kaku_s_L.png パラレル
総もくじ 3kaku_s_L.png 頂きモノ
もくじ  3kaku_s_L.png はじめまして
総もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
もくじ  3kaku_s_L.png 視線が追う先に
もくじ  3kaku_s_L.png 溢れる想い
もくじ  3kaku_s_L.png 逢いたくて
もくじ  3kaku_s_L.png 愛を、くれ。
もくじ  3kaku_s_L.png 蜜月
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛なんぞ、くそ喰らえ
もくじ  3kaku_s_L.png 恋のカタマリ
総もくじ  3kaku_s_L.png ● 信史と秋也☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ● 勇次と隼☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ● 龍介と達也☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●洋平と明良☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●冬吾と澪☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●内野と浩太☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●堂本と拓篤☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●北見と佐倉☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png シリーズモノ〈番外〉集
総もくじ  3kaku_s_L.png パラレル
総もくじ  3kaku_s_L.png 頂きモノ
  • 【フォトフレーム 21】へ
  • 【フォトフレーム 23(終)】へ

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【フォトフレーム 21】へ
  • 【フォトフレーム 23(終)】へ
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ