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「●冬吾と澪☆番外編」
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日曜日に遅い目の昼飯を食べてから、実家へと帰る。
駅に向かう途中にある和菓子屋で、豆大福を買って。

「唯ちゃんに何か買っていかなくていいの?」
「あ!! 忘れたら大変なことになる。……けどさ、女の子って何買っていけばいいんだろ」
「匠くんは、まだ小さいしな」
「男ならミニカーとか適当に分かるんだけど」

唯はチェックが厳しいのだと、ボヤく。

二人で乗り換えの駅にあるモールに入って、姪っ子の唯にはウサギのぬいぐるみ、甥っ子の匠には木で出来たミニカーを買った。

「なんかさ~、こうやって自分が育った家に帰る時に何か買うって、独立感ない?」
「あるな」

二人で紙袋の中を覗いて、リボンをかけてもらった袋にニッと笑う。

再び電車に乗って、実家へと向かった。

*

「後で、寄れよ。唯、お前のこと好きだし」
「覚えてくれてたらいいけど」

冬吾と家の前で別れて、それぞれの実家へ。

「ただいま~」

玄関に入るなり、足音がバタバタと聞こえてきた。

「ミオちゃん」

唯が迎えに出てくれたから、頭を撫でる。

「遅ーい」
「ごめん。大きくなったな、唯」

靴を脱いで、唯を抱き上げる。

「トーゴくんは?」

お?ちゃんと覚えてるんだ。

「後で来ると思うよ」
「ふ~ん」

小生意気な顔が、可愛い。

「ただいまー」

リビングに入ると、姉の玲が息子の匠の服を着替えさせていた。

「おかえり。もう、さっきまでゴネちゃってて……汗だくよ」
「たくみ、泣き虫なんだから」

唯が耳を塞いで顔をしかめる。

「可愛い弟だろ?」
「えー」

唯を下ろしたタイミングで母がリビングに入ってきた。

「あ、澪。お帰り。あんたの部屋、風通ししてたのよ」
「ただいま。父さんと兄貴は?」
「お父さんは、買い忘れたのを買いに行ってもらってる。圭も、夕方までには来るでしょ」
「そっか。コレ、お土産」

母に豆大福を渡してから跪き、紙袋からリボンのついた袋を唯に渡す。

「はい、お土産」

パァァ……と顔が輝き、嬉しそうに受け取る。

「あんたも姪っ子前にすると、大人になったように感じるわね」

母が豆大福を見ながら微笑む。

「とっくに大人だよ」

……俺は実家では、今でもチビっ子扱い。

「ウサギさん!!」

リボンを解いてやると、唯が母親にぬいぐるみを見せに行った。

「可愛いね~。ミオちゃんに、ありがとうは言った?」

ハッとした顔をして、傍に来て「ありがとう!!」と叫ぶように言う。

「給料もまだ安いんだから、無理しなくていいのに」
「いや、さすがに高いのは買えないけど、これくらいは」

姉がスクッと立ち上がった。

あ……来る。

そう思った時には、すでに抱きしめられていた。

「みお……大人になっちゃって」
「姉ちゃん、やめろよ」

女の体が柔らかいんだということを一瞬思い出して、それも姉で……と戸惑う。
もちろん、変な意味じゃないけど。

そしてその柔らかさに違和感を感じた自分に、冬吾が浮かぶ。


「玲、あんたいつまでそんなことやってんの。澪の方が背だって高くなってるのに」

母が呑気にテーブルで豆大福を食べながらお茶を飲んで笑う。

「小さかったのに……。お姉ちゃん、お姉ちゃんって後ろついて回って」
「またそれ? 覚えてねーし」

ある程度成長してからは、姉が何かと一々構ってくるのが正直ウザかった時期もあった。

ふと視線を感じれば、匠がチョコンと座ったままジッとこっちを見ていた。

「もー、俺じゃなくて息子にしろよ」
「冷たいんだから」

澪が離れると、玲が不満気だ。

「はー、ヤダヤダ。どうせ匠だって、ママに冷たくなる日が来るのよ」

息子を抱きしめて、頬ずりしている。

「唯はママが好きー」
「おいで、ユイ~」

片方の手で娘を抱いて、同じように頬ずり。

微笑ましいな……と澪が見ていると、義兄が入ってきた。

「お、澪。久しぶりっ」

義兄はノリの良い人で、姉と付き合っている時から可愛がってもらっていた。

「隆(タカ)兄、来てたんだ」
「そりゃ来るわ。プランターに水まきやらされてた」

やらされてた……に、澪がプッと笑う。

「ゆい~。ママよりパパの方がいいぞ~」

また始まった……。
娘にゲロ甘な父親が、娘を抱き上げてヤニ下がる。

唯は父親似だな……と二人を見て、いつも思う。
丸くて大きな目が、うちの家系とは違う。

「この間、パパとデートしたもんな~」
「うんっ」
「何がデートよ。玩具強請られて、ホイホイ買わされて」

姉に言われて唯に向かって舌を出してから、澪におどけるように視線を天井に向けた。

多分、ちょっと喧嘩したんだろう……との推測。

「あんまり甘やかさないでよ。比べられて、こっちが大変なんだから」
「はい、すいません」

「尻に敷かれてんな、隆兄」
「任せとけ」

何が任せとけなんだよ、と澪がまた笑う。

「澪、匠見てて」
「え……」
「夕飯の支度」
「はい……」

匠を渡されて、抱っこする。

あ、そうだ。
玩具……。

紙袋から木の小さな車を出して、床に降ろして走らせる。

匠がオーという顔をして、立ち上がって自分で取りに行った。

良かった……。
興味を持ってくれたようだ。

澪にやれと車を持ってくるから同じようにしてやると喜び、ヨチヨチと歩いてまた持って来るのを何度も何度も繰り返す。

一体何回やるんだろう……と思っていたら、玄関が開く音がして父がリビングに入ってきた。

「お、澪」
「ただいま」
「仕事、どうだ?」
「なんとか」
「そうか」

母に買い物をした袋を渡して、そのまま匠の傍に来た。

「タクは、お祖父ちゃんと遊ぼうな」

助かった……。

「ちょっと部屋行ってくる」
「何逃げてんの」

母の声がしたが聞こえない振りをして、自分の部屋へ向かった。

ドアを開けて、久しぶりの自分の部屋を見渡す。

高校生までずっとここに居たんだよな、俺。

就職したら母に帰って来いと言われたことを思い出した。

子供が全員独立して家を出て、寂しいのかな……。

でも、俺は冬吾と一緒に居たかったんだ。

どうしても、どうしても、離れたくなくて、焦ってたよな。
今思っても、俺から離れて行こうとする冬吾に必死だった。


……まぁ、こうやってたまには帰ってくるんだし。

澪は気を取り直して、見ようと思っていたアルバムを棚から取り出した。


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