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「●冬吾と澪☆番外編」
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「お先に帰ります」

店と出る前に、池内くんの所に顔を覗かせる。

一緒に居た男の人も頭を下げてきたから、二人してペコリと頭を下げて挨拶をした。

「真柴さん。この間言っていたイタリアンの美味しいお店、教えてもらえませんか?」
「あーこの間、山本さんと話してた店?」
「はい」

澪が店名と最寄駅を教えると、池内くんが慌てて携帯でメモを取った。

「有難う御座います。ピザが絶品だっていうから、ちょっと興味があって」
「あぁ、そう!! すっごい美味しいよ」
「店でピザを出すかもしれないんで、美味い店で食べて来いって言われてるんです」
「そうなんだ」
「あ……余計なこと言っちゃった。企業秘密でお願いします」

慌てて人差しを唇にあてる。

「……大げさだな」

池内くんと一緒に居る男の人がボソッと呟いて、小さく笑う。

「うんっ。絶対言わない」

澪がうんうんと頷きながら真面目に答えるのを見て、更に笑いを耐える顔をしたのが見えた。

二人がやたらと深刻な顔をしている横で、冬吾も込み上げる笑いを押し込む。
なのに目が合って、お互いにブッと吹いてしまった。

「え、何?」
「いや、何も」

誤魔化して、もう一度挨拶をして店を出た。

*

自分達の駅に着いて、並んで歩く。

「天ぷら、美味かったな~」
「また行こう」

就職してからもうすぐ二年が経つ。
今の二人にとってのちょっとした贅沢は、美味しいモノを食べに行くくらいだ。

「有休使って、旅行も行きたい」
「何処に行く?」
「まずは国内旅行だな」
「いつかは海外も」

一体いくらかかるのかも、分からないけど。

「篠原さんたちも、もうすぐ行くみたいだし」
「イタリアか~。遠いな」
「フランスなんかも行ってみたいよな」

二人で並んで歩いて、色んな国の名前を上げて行く。
それだけで何だか楽しい。

「やっぱ、その前に日本! まだ海外はハードル高いし」 
「費用どうこうより、まず休み取るのも大変だもんな」
「まずは、手を伸ばしたら届く距離からっつーの?」

二人だけでの旅行は、まだ行ったことがない。
上手くタイミングが合えばだけど、平日を狙おうかと話す。

「二泊くらいが精一杯だな」
「澪と一緒だったら何処でもいいよ、俺」

冬吾の言葉に、澪がドンッと肩をぶつけた。

「恥っずかしー」
「本当だし」
「まぁ……俺もだけど」

ブラブラと歩きながら、マンションが見えて来た。

*

風呂に入ってから、ビールでスナック菓子をつまみにホラー映画を観る。

小さい時も、冬吾とこんな風に一緒に観た。
学校が休みの前に部屋で観て、冬吾がそのまま泊まったっけ。

「……コレ、思ったより怖くない?」

冬吾は怖がりだ。
顔をしかめているのが可愛い。

「つくり物だって」
「モンスター系ならいいけど、こういう霊とかはヤバイよ」

ヨーロッパ系のホラーはドロドロしていて、確かに不気味だ。

「失敗した」
「今更。お前が録画したんじゃん」
「番組表でタイトルが面白そうだったから。ホラーだなんて思わなかった」

情けない声で、こんなに怖いとは思わなかったのだと、また同じことを呟く。

「何でニヤニヤしてんの?」
「お前がいい年して怖がるから」

普段あまり感情を出さないから、こういう顔を見るのは何か楽しい。

「面白がってるだろ」
「うん」

「うわ……っ」

暗い画面から何かが飛び出て来てビクッと体を退くから、澪が笑う。

「もー、無理!!」

怒ったように言ってソファーを後ろにずらし、澪の後ろに回って抱きついて来た。

「俺が抱き抱えてやろうか?」
「いい。こっちの方がフィットするから」
「どういう意味だよ。自分の方がちょっとデカいからって」

澪がふざけて離れようとすると、しがみついてくる。

「ちょっ、ジッとして。……澪とくっ付いてると安心する」

うなじ当たりからくぐもった声で言われ、力を抜いた。

片方の手を後ろ手に冬吾の頭に回し、後頭部を撫でる。

「怖がりだもんな、お前は」
「霊は怖いって」

可愛い……俺の冬吾。

デカくなって、男らしい外見になって、俺は今もそこに嫉妬をする。

でもこうして時々でも、昔の面影を見せたら……何でもしてやりたくなる。

例えそれがホラー映画観て怖がってるという、傍からみたらバカみたいなシチュエーションでも。

「もう観るのやめる?」
「観るよ。こんな中途半端でやめたら、祟られそうだもん」
「夜中に出てくるかもな」
「……やめてよ」

情けない声に、笑ってしまう。

「笑うな」
「だって、やめてよ……って言い方が小さい時に戻ってるもん」
「昔、一緒に悪魔の映画観て、澪と一緒に寝たよな」
「うん。夜中に起こされて、おしっこちびる……って泣きそうな顔してた」

冬吾の手を引っ張って、トイレに連れて行ってやったっけ。

「澪と手を繋いで寝た」
「お前が怖がるから」
「……っ」

また画面から気味の悪い声と共に血走った眼だけが現れて、冬吾がビクッとする。

「今日も手繋いで寝てやるよ」
「うん……」
「夜中にトイレ行きたくなったら起こしていいよ」

*

ベッドに入って、冬吾を腕の中に抱く。

さすがに小さい頃のように怖がってる訳じゃないんだけど、なんとなく……。
怖がる冬吾に誘発されたように色んなことを思い出すと、可愛くて。

いっぱしのナイト気取だった自分も思い出して、可笑しい。

「何笑ってんの?」
「いや、小さい時思い出して。可愛いお前の前で、格好つけてたなぁって」
「澪は格好良かったよ。今はそれに、可愛いがプラスされて見えるけどね」
「……こんにゃろーっ、生意気になりやがって」

澪が両手で頭をギューッと抱きしめると、息苦しい冬吾が暴れる。

その内、澪が手を背中に回してくすぐりだした。
冬吾もお返しとばかりに、手に当たる場所をくすぐりだす。

二人でゲラゲラと笑いながら、ベッドの上で暴れる。

まるで小さい頃に戻ったように。

違うのは冬吾の力が強くなったことと、肌を弄る手が意味を成してきたこと。

めくれたシャツから露わになった澪の肌に吸い付く。

「あ、お前……っ」

顔を上げて文句を言う澪にも構わず、チュッチュッと音を立てて吸い付く。

「とう、ごっ……」

服を捲って現れた小さな尖りを舐めて吸えば、澪の抵抗する力が弱まった。

「みお……」

冬吾が完全に上に圧し掛かり、顔を覗き込む。

「小さい時のお前は、こんなことしなかったのにな」

少し上気した顔で冬吾を見上げて微笑む。

「もう、大人になった」
「だな……」

澪が了承の合図のように、冬吾の首に両腕を巻き付けて引寄せ、唇を合わせて行った。


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