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「●冬吾と澪☆番外編」
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二人で天ぷら屋を探して、歩く。
携帯のナビを見ながら、細い路地を見つけた。

「ここかな?」
「分かんないけど、入ってみよ」

入ってもバーしかなくて、次の路地へ。

「この辺て、こういうの多いよな」

オフィス街から少しズレると、路地裏がある。

「会社の先輩が、探すのが楽しいって言ってた」
「分かる気がする」

澪は嬉々としてまた次の路地へ。

「冬吾、あった!!」

嬉しそうな顔で指をさす。

可愛い……。

「行こう」

店に入ると、まだ時間は早目なのに適度に混んでいた。

「ご予約頂いてますか?」
「いえ。無かったら無理ですか?」
「今日は大丈夫ですよ」

着物姿の女性店員にニッコリと微笑まれる。

「二名様でよろしいですか?」
「はい」
「では、こちらへ」

入口近くの席へ案内されて、周りを見渡す。

「ちょっと大人って感じだな」

普段自分達が行くのは、大抵カジュアルな店だ。
財布の事情もあるから値段はネットでちゃんと調べてきたが、少し不安になる。

二人でメニューを広げて、ネットの通りだったのでホッとして顔を見合わせた。

「コース?」
「うん」

コースは三千円からあって、店構えの割にはリーズナブルだ。

「この五千円のコース、行っちゃう?」
「いいよ」

たまのちょっとした贅沢だ。

大学時代から、なるべく無駄遣いしないように二人でやってきたのは今も続いている。

もう、親を頼れないと思うから余計に。
お金も貯めたいし、旅行にだって行きたい。
タイミングが合わなくて、中々実現はしないけど。

コースとビールを頼み、今日の展示会の話をする。
ビールが運ばれてきて乾杯をしてからも。

「あんなキッチンとか、母さんが見たら絶対欲しがる」
「あー、うちも」
「けどさ、あのアイランドキッチンでお前と一緒にご飯作るとか想像したら、なんかトキメクわ」
「確かに、男でもトキメクなアレは」
「俺が女として、アレ欲しいって言ったらお前買ってくれんの?」

澪がニコニコして聞いて来る。

「そりゃ頑張るよ。……今すぐは、無理だけど」
「ははっ、俺も」

でも男同士だから半分こだな……と顔を近づけて小声で言ってきた。

「今は女でも半分このとこ多いんじゃ?」
「あ、そっか~」

二人とも母親は、家事の合間の軽いパート勤め程度で、ほぼ専業主婦に近かったから。

「けどさ、欲しい……なんて言われたら、男心に火が点くよな」
「うん」
「営業って、そういうのちゃんと見てるんだろうな……」
「そりゃ、プロだもん」
「だよな」

扉が開いて、客が二人入って来るのが見える。

「わ、もう満席近い」

二人で話に集中していて、気が付かなかった。

「タイミング良かったな」
「うん」



「予約していた内野です」

声が聞こえて、やっぱり大抵は予約してるんだと話していたら「こんばんわ」と声をかけられた。
背の高い人の横から、ひょっこりと顔を出す。

「あ……池内くん」
「偶然ですね」
「うん。ビックリした」

ペコリと頭を下げられて、池内君は連れの男性の待つ席へ戻って行った。

「ビックリした」

澪がまた同じことを言って、斜め後ろの方向を見る。

「けど、ロワゾーからそう遠くないし。遭遇率は低くないよ」
「うん。……兄弟かな」

澪が二人を見ながら言ってくるから、冬吾も振り向いて見た。

「どうだろ。似てないけど。友達にしたらちょっと年が離れてる」
「時計見た?」 

そんな一瞬で、見てないと答える。

「オメガ」
「わ……マジで?」
「それも高いランクのやつ」
「詳しいな」
「山本さんが欲しいって、仕事の合間にいつもネットで見てんの」

ついでに、山本さんはプライベートでは男の時計を見るのだとか。

「なんで?」
「仕事の時、営業系の人は高いのはつけないから」
「あ、聞いたことある」

山本さんによって、澪は仕事だけじゃなく色んな視点を学んでる。

「なんか、エリート臭がここまで漂ってきそうな感じ」

向こうを見ながらポツリ。
何ソレ……と、冬吾は笑ったが確かにそんな印象だ。

「ここにも、仕事出来ますオーラが。池内くんだってさ、俺より四つも下なのに。もう店、結構回してるし」

あぁ、それは俺も思った。
たまにしか行かないけど、店全体の流れを注意して見ているのを感じた。
店員の入れ替わりが多いせいもあるだろうけど、あの若さで随分としっかりとした印象だ。

「俺、今日もちょっと怒られたの思い出した」

浮いたり沈んだり、感情のままだから忙しい。
さっき、俺に励ますようなことエラそうに言っておいてコレだ。

「また無駄に凹んでんの?」
「無駄って何だよ」

口を尖らせる顔が可愛い。

「お待たせいたしました」

そこへ料理が運ばれてきて、もう嬉しそうな顔だ。

「菊花胡麻豆腐と、サーモンのサラダです」

テーブルに置かれた料理を見て、パッとこっちを見る。

こういう顔を見ると、本当に頑張って仕事して、美味しい物を食べに行こうと思うのだ。

さっきまでの一瞬の凹みはどこへやら。
もう嬉々として、胡麻豆腐に箸をつけている。

「冬吾。めっちゃ旨っ!!」

いつものように親指を立てて、目をギュッと閉じる。

冬吾も箸をつけて、胡麻豆腐を一口。

「……甘い」
「だよな? もー俺、仕事めっちゃ頑張って、またこういうの食いに来る」

俺と同じことを思ってる。
でも俺は、澪が嬉しそうな顔をするならってのが前提だけど。

ビールを飲みながら、次々に運ばれてくる天ぷらにずっと嬉しそうな顔だ。

「これ、何?」
「マイタケ……じゃないかな」
「衣つけただけでこんな?」
「家でもやってみようか」
「冬吾が揚げてくれんなら」

澪は揚げ物で火傷してから、油が跳ねるのを怖がって出来ない。

「いいよ。こんな風に揚げられるか分かんないけど」
「ネットで調べてみよ」
「塩もちょっと良いの買おうか?」

店が出してくれた長皿の中には、四種類の塩が並んでいる。

「あ、それいいっ。じゃ、休みの日に天ぷらデーな」


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