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「●冬吾と澪☆番外編」
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ショールームに入って、名前と会社名等を記入する。
紹介者には、もちろん庄野の名前を書き込んだ。

業者か個人かの欄には、仕事で来た訳じゃないから個人にチェック。

「どうぞご自由にご覧ください。何かありましたら、各ブースに係の者がおりますのでお声をおかけ下さい」

綺麗な受付の女の人にニッコリと微笑まれ、会場の配置図を手渡された。

「お帰りの際は手土産も御座いますので、どうぞお持ち帰り下さいませ」

丁寧に頭を下げられて、二人で同じように頭を下げた。


中に入るなり、二人で肘で小突き合う。

「ビビった……」
「俺も」

軽い気持ちで来たのにやたらと丁寧に応対されて、場慣れしてない感満載の自分たちに苦笑い。

仕事の時はそれなりに構えているが、仕事を離れるとまだサッと切り替えが出来ない。

思えば二人共仕事帰りで、スーツのままだ。
スーツ姿の男が二人ショールームって変かな、とまた二人でクスクスと小さく笑う。

曇りガラスの自動ドアが開いた途端、二人で目を見張った。

想像よりもずっと本格的で、広い。

入口は一般客用なのか、色んな家具を配置してリビング風だ。

「これ、知らないで入ったら分譲マンションの販売みたいだよな」
「うん」
「俺ら、めっちゃ浮いてる?」
「場違い?」

また二人で肘で小突き合いながら、中に入って行った。

*

「うわ、この冷蔵後カッコイイ」

澪が冷蔵庫を開けたり閉めたり。

別に冷蔵庫を売ってる訳じゃなくイメージとして置いてあるだけだ。
澪はソファーや電気スタンドなど、全然関係ない物にやたらと食いつく。

「家具屋じゃないよ、澪」

冬吾が笑うがソファーに座って、横をポンポンと叩く。
座れ……ってことか。

周りを見れば向こうで他にもカップルが座ったりしているのを見て、冬吾も横に座った。

「こういうのいくらするんだろ?」
「多分、凄く高いよ。こういうところはイメージから入るもん」
「だよな~。でも、いいなぁ……コレ」

澪がソファーの生地を手で撫でる。

「お客様。こちらは休憩所では御座いませんので」

後ろから声がして、二人で飛び上がるようにして立ち上がった。

「すいま、せ……っ、なんだ、お前か」

庄野がニヤニヤして立っていて、二人とも脱力する。

「ビビったー」
「あはは」
「ビックリさせんなよ」

「来てくれたんだ」
「まーな」
「サンキュー。マジで嬉しい」

本当に嬉しそうな顔の庄野に、わりと気まぐれで来たということは内緒だ。

「イチャついてるな……と思ったら、お前らだし」
「は?」
「いやホント。スーツな男二人で、キャッキャッと」
「……してません」

一応、庄野が仕事中だということを考慮して、澪なりに丁寧に答えてる。

「何か、マンションの販売会みたいだな」

冬吾が問えば、奥に行けば建材がズラリと並んでいるのだという。

「今回は業者だけじゃなくて、一般にも広告打ってるんだ」

一般になると、やはり決定権は女性になるのだそうだ。

「で、不動産、建築と共催して、マンションを建てる際の建材をうちがやる」
「なるほど」
「広告も打ってるから、夫婦で見にくるのが多いよ」

この規模じゃ、結構大がかりなプロジェクトだったんだろうなと周りを見渡す。

「大抵どこの家庭も、男には決定権ないんだ。だから、まず入り口は女性受けするように配置してる」
「そうなんだ」
「で、決済は男」

眉を上げてニッと笑う庄野に、二人でウンウンと頷く。

「じゃ、ご案内します。どうぞ」

仕事モードになって、傍にあるキッチンに歩いて行くから二人で付いて行く。

「これが人気のアイランドキッチン。女性は大抵ココで足を止める」
「へぇ~」

次々に色々と案内してくれる姿が板についていて、カッコイイと思った。

澪が興味津々な表情だ。
仕事半分……って言った通り、建材の材質やコストなんかも聞いている。

冬吾もちょっとワクワクしていた。

まるで澪と一緒に、マンション購入を考えているような錯覚……。

いや、いつかは。
二人で頑張れば、それが現実化するかもしれない。

三人で色々と見て回っていると、向こうからスラリとした男の人がこっちに歩いてきているのが見えた。

「真柴さん」

澪が名前を呼ばれて、あ……という顔。

「佐倉さん」
「似てるなと思ったら、ご本人だったんで」
「あ、今日は仕事じゃないんです」
「はい」

澪と話をしている人は、いかにも仕事が出来ますオーラを放っていた。
応対を見ていると、営業……かな。

庄野を見れば、ビシッと姿勢を正してる。

「庄野くんの知り合い?」

佐倉が庄野の方を見て、問う。

「はいっ。二人共、大学の友人です」
「それは、どうも。久住建材、営業の佐倉です」

冬吾の方にしっかりと目を合わせて、微笑みながら言われた。

「あ……。鹿島工務店のシステム課、御崎です」
「鹿島さんですか」

親しげに目を剥かれ、はい……と頷く。

「いいですね。大学の友人同士が卒業してからも、こうやって同じ業界で切磋琢磨するのって」

そして庄野を見て、肩をポンと叩いた。

「力を抜け、庄野」

砕けた調子で言えば、澪がクッと笑う。
佐倉さんが来てから、庄野はずっと姿勢を正してコチコチだったから。

「まるで俺が怖い先輩みたいじゃないか」
「あ、いえ……そういうつもりでは」

首をブルブルと振って否定している姿に、澪が俯いて笑わないように頑張っている。

「お二人共、スーツってことはお仕事の帰りですか?」

今度はまたにこやかに、話しかけてきた。

「はい」

「嬉しいなぁ、庄野」
「はいっ」
「声が裏返ってるぞ」

俺達への対応は営業マンで、庄野のへの態度は先輩として分けているのが面白い。

多分、わざと……だ。
自分の登場で、場の空気を変な方向へ持って行かないように。

澪なんかさっきから楽しそうだ。

「では、私はこれで。ゆっくりと御覧になって行って下さい」
「有難う御座います」

「庄野、しっかりご案内して」
「はいっ」

庄野がビシッと姿勢を正して返事をすると、佐倉は爽やかなスマイルを残し、頭を下げて去って行った。


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