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「●冬吾と澪☆番外編」
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土曜日に一件だけアポがあり、それを終えてから冬吾にメッセージを入れる。
ちょうど冬吾の会社の近くだったから、終わったら連絡を入れると言っていたのだ。

――終わったけど、そっちは?

昼には終わると聞いていたが、どうなるかは分からない。
すぐに返事がないということは、忙しいのかな……。

澪は、冬吾とたまに行くロワゾーまで歩く。

土曜日だっていうのと、昼をもうとっくに過ぎているからか混んではいない。

「いらっしゃいませ」
「こんにちは」

いつも笑顔で対応してくれる池内くん。

「今日はお一人ですか?」
「ううん。後で一人来る予定。まだ、分かんないけど」
「じゃ、こちらへどうぞ」

席に案内されて、コーヒーを頼んだ。

冬吾から返事が来るまでの間、どうやって時間を潰そうかと思い鞄の中を見る。
仕事の資料しか入っていないから、勉強でもしておこうと取り出した。

テーブルに置いて捲っていくと、間にリーフレットが紛れていた。

あ……この間、庄野にもらったやつだ。

期間を確認すればちょうどやってる最中で、場所を見るとここからそう遠くない……ように思える。
最寄り駅は、ここと一駅向こうの両方書いてある。
ずっと居るって言っていたし、冬吾が遅くなるようなら行ってみようかな。

「お待たせしました」

コーヒーが運ばれて来て、澪が池内にリーフレットを見せる。

「このビルって、ここから遠いかな」

池内が覗き込み、ニッコリと微笑んだ。

「ここは一駅向こうからの方が少し近いと思いますけど、駅と駅の間にあるような感じなんで。歩いて十分くらいですね」
「じゃ、歩く」
「多分その方が、道は分かり易いと思います」
「ありがとう」

*

冬吾が澪から来ていたメッセージに返信を打ち、立ち上がる。

「真っ直ぐ帰るの?」

正依がデスクで伸びをしながら聞いて来る。

「いや、待ち合わせ」
「俺なんか、寮に帰って洗濯だよ」
「あー、俺も明日しないと」

上着を着こんで鞄を持つ。

「待ち合わせ、女子?」
「男子」
「なんだ」

あからさまに残念というような顔をされて、笑って誤魔化して部屋を出た。


会社のビルを出て、澪が待っているロワゾーまで急ぐ。

一時間以上は待たせているから、気が焦る。

店が見えてきて、ガラス越しに澪が見えてホッとした。

「いらっしゃいませ」

いつもの笑顔で迎えられ、頭を小さく下げて澪のところまで。

「ごめん」
「いいよ」

テーブルの上には書類があった。

「え、仕事してた?」
「違う。宅建の勉強をやり直してただけ」
「そっか」

喉が渇いていたから、アイスコーヒーを頼む。

「急いだ?」
「うん」
「いーのに」
「だって澪が待ってる」

そう言うと、澪が満足そうな顔になる。

昔から変わらない、ふふん……という表情。
俺が澪の背中を追うと、振り返っていつもこんな顔をしていた。

今は、その顔さえ可愛い。
つい見惚れていると、コーヒーが運ばれてきた。

池内くんと目が合って、ニッコリとされて……ちょっと恥ずかしい。

「ごゆっくり」
「ありがとう」

澪がパンフレットのようなのを、テーブルの上に滑らせて前に置いた。

「ここ、行ってみよ」
「何?」

手に取って見ると、展示会のようだ。

「ここ、庄野の会社」
「あ……久住建材か」

建材を扱う会社としては、わりと大手の部類だ。

「冬吾のところも取引あるだろ?」
「多分……。俺、そこらへん直には関わらないから。でも、あると思うよ」
「Sビルとは取引あったよ。俺、竣工記念行った時、営業さんに会ったもん」

外との接触が多い澪と、内勤の俺とじゃ違う。

色んな人に会って直接刺激を受ける分、凹んだり上昇したり忙しいんだけど、そんな澪を傍で支えたい。
俺だって凹むけど、そういう時は澪が幼い頃にしていたように胸に抱いて寝たりもしてくれる。

「庄野に行くって約束でもした?」
「約束はしてないけど。半分は仕事的な意味もあるし、後の半分はどんな風に頑張ってんのかとかさ~」

言いたいことは分かるよ。
同級生たちの仕事ぶりに、興味はある。

「あ。お前……変に取るなよ」

澪が顔を近づけてきて小声で言い、ニッと笑う。

「あいつとは内定が決まらなかった間、二人でブチブチと文句垂れ流してたし」

垂れ流してた……にプッと笑うが、微妙な気持ち。

「連帯感みたいなもの?」
「うん」

そう言われたら、自分には入り込めない部分で更に微妙な気持ちになる。

「なんか複雑」
「嫉妬かよ」
「連帯感、ってのに」

ふ~ん……と言いながら、お前には分からないよ……と呟く。

「あの頃の俺は、早々に決まったお前に焦ってたもん」

それは気付いてたよ。
もし反対だったら、俺だって焦った。

けど。
いつも俺の前を歩いていた澪ほどじゃなかったかもしれない。

俺は澪の後ろを歩くのが、何処かで当たり前のように思っていたから。

「いいよ。行こう」
「でさ。帰りにちょっとだけ贅沢して、美味いもん食いたい」
「オッケー。何にする?」
「天ぷら」

天ぷら?
多分、先輩か誰かとそんな話をしたんだろう。

「主任が昨日食べに行って、美味かったって」

やっぱり。

「いいよ。店はどこ?」
「……聞いてない」

別にそこで食べたい訳じゃなく、天ぷら、が食べたいのだ。

「じゃ、何処か美味そうなとこ探そう。この辺りだと、飲食店結構あるから」
「うんっ」

澪がいそいそと仕事に持ち歩いているモバイルを鞄から取り出して、二人で検索した。


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