女性向け創作サイトリンク集B-LOVERs★LINK 人気ブログランキングへ

「●冬吾と澪☆番外編」
フォトフレーム

フォトフレーム 6

 ←フォトフレーム 5 →フォトフレーム 7
昼飯を食べて部署に戻る時、喫煙室に向井主任が居るのがガラス越しに見えた。
何気なく見ていると、携帯を弄りながら口元が綻んでいる。

……え、彼女?彼女なの?

普段は無表情だから、見てはいけないモノを見てしまったような気分だ。

主任が、扉を開けて出て来る。

「なんだ?」
「いえ……ニヤけて見えたんで、何事かと。……彼女ですか?」

一緒に廊下を歩きながら素直に言えば、頭を軽くパチンとはたかれた。

「だったらいいんだけどな。生憎、違う」
「なんだ……」

何でお前がガッカリするんだ、と笑う。

「親友だ。前に会っただろ?」
「恒川さん?!」

声が大きいと、また頭をはたかれる。

「そう。あっちに行く日も決まったようだし」

*

ずっと忙しくて残業続きだったから、定時に終われる日はさっさと帰ろうと主任が言った。

「主任、帰りに一杯行きましょうよ」

重田が主任を誘えば、他の連中も手を上げる。

「せっかく早く終わった日に、何でお前らと飯行かなきゃなんねんだ」

嫌そうな顔をして、逃げるように部署を出て行こうとする。

「お疲れ様でーす」

後ろから皆が声を上げると、手を上げて去って行った。

「もしかして……デート?」

そそくさと帰る様子に、山本が眉をしかめる。

「デートっつーか……親友と飯?」

澪が言えば、佐野が反応した。

「何処で?」
「知りませんよぉ」
「真柴、飯行こうか?」
「嫌です」
「お前、先輩の誘いを断る気か?」

佐野と二人でゴチャゴチャ言い合っていると、山本が顔をジッと見て来る。

「その親友って、男だよね」
「はい」
「でも、めちゃくちゃ美人なんですよ」

佐野が横から余計なことを言い出す。

「え、男で美人? 見たい!! 見たい!!」

山本が更に喰い付いてきた。

「勘弁して下さいよ。主任のプライベートなのに、俺らデバガメじゃないですか」

そう言って抵抗しても、この中じゃ一番の下っ端だ。

思い当たる店はある。
でも、そこに居るかどうかは分からない。

「いいって。居なくても、私その店に行ってみたかったのよ。居たら、ラッキーってことで」

とりあえず店に三名で予約の電話を入れてみたら大丈夫で、結局三人で食事に行くことになった。、
まぁ……奢ってくれるっていうし、冬吾は残業みたいだし、いいか。

*

席に案内される途中で、主任が居た……。

「お前らっ」

驚いた顔でこっちを見ていたが、途中で呆れたようにフッと笑った。

はぁ……良かった。
怒ってない。

主任の前には、やっぱり恒川さんが居た。
相変わらずの美麗さ。

佐野がもう、ギクシャクと挨拶をしているのが可笑しい。

「主任の部下の山本です」

山本はしっかりと挨拶をしていたが、やっぱりその目は恒川に釘づけだ。

「一緒に座る?」

恒川さんがそう言ってくれたが、四人掛けの席だし、周りはもうほぼ埋まっている。

「いえっ、僕たちも予約してるのであっちで」
「そうそう。お前らは、あっちに行きなさい」

主任に言われて、三人ですごすごと斜め後ろの席へ座った。

「ご予約のコースでよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」

焼き加減だけ聞かれて答えた後、すぐに食前酒が運ばれて来る。


「ちょっと……、ホントに綺麗じゃない」

店員が去ってから、山本が興奮して肩をバンバン叩いてくる。

「でしょう? 目を奪われるっつーか」

佐野が同士とばかりに手を出せば、山本もノって握手をした。

「はぁ……あんな男が居るのねぇ……。女としては複雑だわ」

シミジミと、斜め前に座る恒川を見ながら山本が呟く。

「主任の親友って……あれで三十過ぎてるってこと?」
「高校時代からの仲だっていうから」
「肌、白っろ。ツケマ無しで、あのバサバサの睫毛。口なんか小さくて、でもちょっと肉感的。……ちくしょう、だ」

……チェックが細かいな。

佐野の方は、ただボーッと恒川を眺めているだけだった。


前菜が運ばれてきて、今度は「美味しい」と煩い。

「ここのシェフ、篠原さんですよ」

会ったことのある佐野に言えば、目を剥いてなるほど……と頷く。

「え、誰?」

さすがに恋人とは言えず、主任たちの後輩だと説明した。

「あー、そういう繋がりなんだ」

次にミニパスタが運ばれて来て、山本がやたらと感動して食べる。

「てか……私、思ったんだけど」
「何を?」
「主任が結婚しないのは、あの人のせいじゃないの?」

え……。
もしかして、勘違いしてる?

「違いますよ。恒川さんには、ちゃんと恋人が居ますし」
「あ、そうなんだ……。なんだ」

ガッカリする様子に、ちょっと狙ってたのかよと思ったが口にはせず。

「けど、あんな美形な親友だったら、そこらへんの女は太刀打出来ないじゃない。やっぱ、あの人のせいのような気もしないでもない」
「あぁ、目が肥えてるってことですか」
「そう」
「でも、美人は三日で飽きるって……」
「バカ。綺麗な方がイイに決まってるじゃない。男なんて」

そういう自分だって、イケメン好きじゃないか。
……と、また心で呟く。


そこへシェフの篠原さんが登場して、常連さんらしき人にに挨拶をしながら恒川さんの元へ。

「え……、あの人がシェフ?」
「はい」

凄い勢いで食べていた手を止めて、完全に見惚れている。

その篠原シェフが、こっちに向かってきた。

「真柴さん、来てくれたんですね。佐野さんも、ようこそ。こちらは……」
「あ、山本です……」
「山本さんも、ようこそです。向井先輩の部下ということで、堅苦しくなく、さん付けで失礼します」

親しみを込めた爽やかな笑顔で挨拶されて佐野と二人で頭を下げるが、山本はポカン……と見たままだ。

「この後、セコンドピアットのヒレ肉です。どうぞ、ごゆっくりお寛ぎ下さい」

頭を下げてまたニッコリと微笑み、篠原は他のテーブルに行った。
キャッ……と小さな黄色い声が聞こえるということは、常連のファン?……だろう。

「……ヤバイ」

山本が顔を覆う。

「え?」
「恋しそうナンデスケド」
「は?」
「だってっ。コックの格好して登場されて、その上にイケメンで爽やか、なんて。反則でしょ? ズキュンと来ちゃうじゃない」

もう店に通いつめようかとか、勝手に色々と目論み始める。

佐野と目を合わせて、お互いにどうしようかという顔の後、お前が言え……とばかりに顎で示された。

えー……。

鉄は熱い内に打て、だよな。

ちょっと違うか?
ま、とにかく……今の内に。

「山本さん。無駄だと……思います」
「なんでよ?」
「篠原さん、もうすぐ恋人と一緒に外国に修行に行くんで」

その途端、山本が固まる。



「……マジかよ」

オッサンのような低い声を出して、グラスのワインを一気に飲み干した。



応援ポチ、有難う御座います。
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ


昨日、明良に会いたいとのお声で、夜中に急遽チミチミ書きました(;´Д`A ```
時間なくて読み返しも手直しもせず、一気に書いたので変かもしれませんが、お許しを。
それにしても山本さん。ことごとく、何処見てもボーイがラブなのよねぇ…。BLサイトなので、ごめん(´・ω・`)
関連記事
総もくじ 3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛なんぞ、くそ喰らえ
総もくじ 3kaku_s_L.png ● 信史と秋也☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ● 勇次と隼☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ● 龍介と達也☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●洋平と明良☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●冬吾と澪☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●内野と浩太☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●堂本と拓篤☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●北見と佐倉☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png シリーズモノ〈番外〉集
総もくじ 3kaku_s_L.png パラレル
総もくじ 3kaku_s_L.png 頂きモノ
もくじ  3kaku_s_L.png はじめまして
総もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
もくじ  3kaku_s_L.png 視線が追う先に
もくじ  3kaku_s_L.png 溢れる想い
もくじ  3kaku_s_L.png 逢いたくて
もくじ  3kaku_s_L.png 愛を、くれ。
もくじ  3kaku_s_L.png 蜜月
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛なんぞ、くそ喰らえ
もくじ  3kaku_s_L.png 恋のカタマリ
総もくじ  3kaku_s_L.png ● 信史と秋也☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ● 勇次と隼☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ● 龍介と達也☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●洋平と明良☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●冬吾と澪☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●内野と浩太☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●堂本と拓篤☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●北見と佐倉☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png シリーズモノ〈番外〉集
総もくじ  3kaku_s_L.png パラレル
総もくじ  3kaku_s_L.png 頂きモノ
  • 【フォトフレーム 5】へ
  • 【フォトフレーム 7】へ

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【フォトフレーム 5】へ
  • 【フォトフレーム 7】へ
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ