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「●堂本と拓篤☆番外編」
俺を見ていて

俺を見ていて 24

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堂本が署を出て、携帯を鳴らす。
克哉からメッセージが来ていたからだ。

「もしもーし」
『チカラちゃーん、久しぶり~。仕事終わった?』
「あぁ、終わった」
『店、おいでよ。王子と一緒に』

克哉は時々、拓篤を王子と呼ぶ。

「あー、そうだな。誘ってみるわ」

時計を見ながら答える。
今日は店だと言っていたし、閉店まであともう少しだ。

『じゃ、連絡頂戴』

*

店が見えて来て、拓篤が接客中なのが分かる。
作業着のようなのを着た若い男が、手にラッピングされた花を持っていた。

近づいて行くと、男の横顔が見えた。
照れたような顔で笑う男を見て、眉をしかめる。

……あれ?

堂本は男が誰かに気付き、小さくため息を吐きながら首を振って口元に笑みを浮かべる。

その目は、あのころ俺に向けた目とは真逆であり、時間の経過というモノを感じる。
自分にとってはほんの少し前だが、あの年頃にすれば大きな時間だ。

身なりを見れば仕事をしてるのだと分かるし、花屋に居ることも、手に誰かに贈るであろう花を持っていることにも。

男が頭をペコリと下げ、店を背に歩き出した。
拓篤からは見えない位置に行き、男がこっちに向かって来るのを待つ。

何度も振り返り、拓篤に手まで振って……。
まぁ、嬉しそうな顔をしやがって。

「凌平」

目の前を通り過ぎようとする時に、声をかけた。

足を止め、凌平がこっちを見る。

「あ……っ」
「久しぶりだな」
「うわ……っ、刑事」

目を見開いて、少ししてからふっと笑う。

「俺のこと覚えてんだ」
「そりゃな。剣の強いヤツは忘れない」
「……そんなお世辞、要らねぇ」

ほぉ……。
さっきの拓篤に見せる顔とは、違うじゃないか。

まぁ警官、というより刑事に好感を持つなんてことは無いな。
過去に捕まったこともあるやつなら、尚更だ。

「デカくなったなぁ……」

成長期というのを見た目で感じる。
あの細っこい体が、背も伸びてガッシリとしている。

「あんたを抜かすかもよ?」
「ははっ、いっぱい飯食って抜かせ抜かせ。……で、花買ったのか?」

笑いながら手に持っている花を目線で射すと、顔をしかめる。

「……別に。あんたには、関係ねぇし」

そうでしょうとも。

そこで凌平の目が向こうへ流れてペコリと頭を下げるから、見れば拓篤だ。

何してるんだというその顔に漏れそうな笑みを零したが、拓篤は頭を丁寧に下げて店の中へ入って行った。

凌平といえば、まだ店の方を見ている。

「おい、コラ。何、見惚れてんだ」

「はぁ? 違ぇし!!」

慌てて否定しながらも、顔が真っ赤だ。
散々悪さをやっていても、こういう部分は純情なんだなと思う。

年相応……ともいうべきだろう。

堂本が眉を上げてジッと見ると、大きくため息を吐いて髪を掻き毟る。

「やめろよ。マジで、ゲスイことじゃねぇって。第一、あの人男じゃん」

手に持った花を目の前にかざし、見つめる。

「なんかさ……俺とは全然違う世界の人で。あーいうの、高嶺の花っつーの?」
「男が高嶺の花か?」
「だから!! そういう趣味はねぇよ。ほんと、何か……澄んでる感じっていうかさ」

すんでる……は、澄んでるという意味か?

あいつにも色々あったけど、本来の自分に戻って来ている。
そして身につけた、今の世界にも溶け込んでるんだ。

「前に花をさ……一緒に選んだんだ。あ、母さんのな? こんな格好なのに、嫌な顔もせずにスゲ丁寧に対応してくれて。そんでスッゲ綺麗に包んでくれて」

そして持っている花を、堂本の目の前に持って来る。

「見ろよ。今日なんか、一本でもこんな風にしてくれんだ。三百円なのにさ」
「お前が真っ当に働いて稼いだ金だろ」
「うん」

あの頃より、柔らかくはなったな。
けど、まだまだ不安定な年だ。
昔の仲間との付き合いだって、そう簡単に切れるモノじゃない。

「剣道はやってないのか?」
「え……何で?」
「お前、筋が良いから勿体ないと思ってな」

照れたような顔。

「自分で稼いだ金を、そういうことに遣うのも悪くないぞ」

堂本が言えば、しばらく考えている。

「また……やろうかな」
「おお、何だったら道場紹介するぞ?」
「いいよ。どーせ、元警官とかそーいうんだろ」
「そんなに警官を嫌うな」
「嫌いだよ」
「俺は、お前の剣道が好きだな」

堂本の言葉に、目を瞬かせる。

目を伏せて口をギュッと噤み、花に視線を移した。

「めちゃくちゃ強いあんたに言われると、悪い気しないな」

お?今度は素直に受け取ったな。

堂本が黙って頷くと、肩を上げてストンと落とした。

「やるよ……また。剣道」

真面目な顔でそう言って、真っ直ぐに目を見て来た。

「強くなったら、また相手してやる」
「言ったな? 次は負けねぇ」
「俺は強いからなぁ~」

凌平が「ケッ」と言った後、姿勢を正して頭をペコリと下げた。

「じゃ、行くわ。刑事さん」

顔を上げてそう言って、そのまま立ち去って行った。

手に持った花を大事そうに抱えて。


堂本はその後ろ姿を見送ってから、拓篤の店に向かう。

外から覗いてみたが姿が見えないから、携帯を鳴らしてみた。
着信があれば、後でかけてくるだろう。

『何してたんだよ?』

切ろうと思うと、拓篤の声がした。

凌平。
お前の「澄んだ高嶺の花」君は、俺にはこんなに偉そうだぞ。

「顔見知り」

『ふ~ん。仕事終わった?』

「あぁ」
『俺、あと二十分』
「じゃ、帰りに克哉の店に行くか? 何だったら、そこの喫茶店で待ってる」
『あ、行く。待たなくていいから、先に行ってて』

署の近くでは、あまり行動を共にしようとしない。
今も拓篤の中にある、トラウマかどうかは知らないが。

「オッケー」
『終わったら電話するからさ、俺の好きなの頼んでて』
「いーよ」

電話を切って、堂本はそのまま駅に戻った。


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