女性向け創作サイトリンク集B-LOVERs★LINK 人気ブログランキングへ

「● 信史と秋也☆番外編」
You are my angel

You are my angel 18

 ←You are my angel 17 →You are my angel 19
「牧村。来てたのか」

声をかけると、牧村が顔を上げてこっちを見る。

「あぁ、今日は休みだったしな。打ち上げだけ参加」
「ステージは?」
「見てない」

相変わらずだな。
あのノリについていけないと、牧村はほとんどステージには来ない。
まぁ、俺も滅多には見ないけど。

「酒だけ飲みに来たのか」
「陸朗と飲むんだよ」

牧村の視線が、信史の後ろに注がれる。

あ、忘れていた。

「俺の妹の晴海だ」
「え……マジ?」

そういえば、初対面だった。

「はじめまして。三村晴海です」
「牧村です」

ちゃんと立って、姿勢を正して頭をペコリと下げた。

「高校の時からのダチだ」
「え、お兄ちゃんにもちゃんと続くお友達がいるんだ」

素で言った言葉に、牧村がクッと笑う。

「いやいや、居るよ。そうそう、今岡から連絡が来てたろ?」
「あぁ、そうだったな」

高校時代の友人達とも、今も年に一度程度だが集まる。
大抵は足立が声をかけて、行ける奴だけが行くという感じだけど。

「まだかかりそう?」
「どうだろ。見てきたら?」

すぐ傍にある扉は開けっぱなしだから、中を覗いた。

「お。三村」

入り口近くにいた持田が気付く。

「今、外に牧村が」
「あぁ、待ってんだろ? 酒を」

「人をアル中みたいに言うな」

すぐ後ろから牧村の声がする。

中はスタッフとメンバーでゴタゴタしていて、最終日の片づけで慌ただしい。

ライブが終わってから、既に結構時間は経っている。
大きな会場だと観客を吐き出すだけでも時間を要するし、信史たちは最後の方に出たからだ。

「信史っ、こっち。晴海ちゃん、久しぶり」

秋也がTシャツを脱ぎながら手招きするが、上半身裸になった姿に晴海が下を向いた。

信史もさすがにコソコソ着替えるなとも言えず。

秋也の方はさっさと上から違うシャツを羽織って、ボタンを止める。

「あ……悪い。女の子が居るのに」

苦笑いする秋也に、晴海が首をブルブルと振る。

「こいつモデルだから、堂々と着替えるんだよな」

横から直樹が言うが、自分も堂々と着替えている。

「言ってる傍からお前もだろ。モデル関係ねぇし」

実際スタッフに女性も多いが、ちょっとした着替えなんかで誰も下を向いている人などいない。

「あ、ゴメン。もうちょっとだけ、下向いててね」

直樹が言って、そのままズボンを脱いだ。
もちろん下着はつけているが、晴海は下を向いたままだ。

さっさと履き替えて「いいよ~」と声をかけると顔を上げた。

「なんか……新鮮なんですけど」
「は? お前な」

晴海をジッと見る直樹に、秋也が睨みつける。

前に来た時に紹介はしてあるから、晴海が俺の妹だってことは皆知っている。

「あっ」

そこへ声がして振り返ると、健太郎が入ってきた。

晴海の目が輝いているのを見て、腕を引っ張って連れていく。

「お前のファンの、俺の妹」
「……前に聞きましたけど」

上目遣いで信史を見てから、晴海に視線を移す。

「来てくれてありがとう」
「いえ……凄く感動して、泣いちゃいました」
「うわ、嬉しい」

健太郎が手を述べて晴海と握手をしているのを見ながら、秋也の方へ行った。

「打ち上げ来る?」
「晴海と飯食ってから、迎えに行く」
「じゃ、後で合流ってことで」

信史が手を上げて、健太郎と話をしている晴海の横に立つ。

「行くぞ」
「え……もう?」
「周りを見てみろ」
「あ……そうだね」

皆、忙しいんだからいつまでも居る訳にはいかないくらいは分かってるはずだ。

「持田さん、後で行きます」
「オッケー」

頭を下げて楽屋を出ると、牧村と陸朗が携帯の画面を見ながら話をしていた。
陸朗にも小さく頭を下げると、晴海が両手で握手を求めるのに気安く応える。

「妹さんは、打ち上げ来ないの?」
「え……はい。明日、早いので」


「陸朗ー、何やってんの。早く」

楽屋から健太郎が顔を出し、陸朗が手を上げて中に入って行った。

「お前は来ないの?」
「いや、こいつと飯食って送ってから合流するわ」
「そっか。妹だと、そうなるか」

信史が小さく首を傾げてから、牧村は男兄弟しか居ないんだと理解した。

「じゃ、後でな」
「おう」

廊下を歩いていると、もっと話がしたかったのだとブツブツと文句を言うが無視。

「さっきの人も、業界人?」
「さっきの人?」
「高校のお友達」
「あぁ、あいつは学校の先生」

うそ……っと、目を剥く。

「それも、女子中のな」
「えーーっ、私の時あんな先生居なかったのに」

知るかよ……。

「怖いぞ、あいつ」
「格好良かったら、怖くてもいい」

何だ、それは。

「男だってあるでしょ? 美人な先生だったら、怖くてもいいとか」
「無い」

即答した兄に目をやって「聞いた私がバカでした」と小さく呟いた。

「何の教科?」
「確か……理科? いや、化学?」
「あ、理系っぽい! 私も好きな教科だったなー」

あんな先生がいたら、もっと頑張ったのにだなんだとブツブツ。

「それより何を食べるんだ?」
「春巻きが食べたいから、中華」
「こんな時間から中華か」
「うん。紅竜ならまだ大丈夫」

しっかりチェックしてる抜け目のなさに、さすがだと思った。

*

晴海のリクエストの中華料理店で一緒に食事をしながら、仕事の愚痴もついでに聞かされる。

「これだから女は……って言われた」
「男のくせに、ってのも言われてるんだ」
「だってー」
「割り切れ」

晴海がむぅ……とした顔をして、ビールを飲む。

「思うんだけどさ」

何だ?と信史が目を向ければ、ジッと顔を見て来る。

「お兄ちゃん、女の子とちゃんと付き合ったこと……ないよね。だって、中学からずっと一人だけでしょ?」

顔を近づけてきて、小声で言ってきた。

「百パーセント無いとは言えない」
「え?」
「でもな、最低って言われた」

ブッと吹き出して、口を押える。

「好きになったのは、あいつだけだ」
「……そーいうことは照れずに言うんだもんね」
「だから何が言いたい」

目の前の春巻きを口に放り込んで、またジッと顔を見ながら食べる。

「何だよ」
「別に。何か、分かったからいい」
「あれだろ。女心分かってないとか何とか」
「その通りなんだけど。お兄ちゃんの場合はまず、分かろうとも思ってないでしょ」

ニッと笑って、またビールを店の人に頼んだ。


にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
人気ブログランキングへ
関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛なんぞ、くそ喰らえ
総もくじ 3kaku_s_L.png ● 信史と秋也☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ● 勇次と隼☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ● 龍介と達也☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●洋平と明良☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●冬吾と澪☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●内野と浩太☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●堂本と拓篤☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●北見と佐倉☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png シリーズモノ〈番外〉集
総もくじ 3kaku_s_L.png パラレル
総もくじ 3kaku_s_L.png 頂きモノ
もくじ  3kaku_s_L.png はじめまして
総もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
もくじ  3kaku_s_L.png 視線が追う先に
もくじ  3kaku_s_L.png 溢れる想い
もくじ  3kaku_s_L.png 逢いたくて
もくじ  3kaku_s_L.png 愛を、くれ。
もくじ  3kaku_s_L.png 蜜月
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛なんぞ、くそ喰らえ
もくじ  3kaku_s_L.png 恋のカタマリ
総もくじ  3kaku_s_L.png ● 信史と秋也☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ● 勇次と隼☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ● 龍介と達也☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●洋平と明良☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●冬吾と澪☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●内野と浩太☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●堂本と拓篤☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●北見と佐倉☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png シリーズモノ〈番外〉集
総もくじ  3kaku_s_L.png パラレル
総もくじ  3kaku_s_L.png 頂きモノ
  • 【You are my angel 17】へ
  • 【You are my angel 19】へ

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【You are my angel 17】へ
  • 【You are my angel 19】へ
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ