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「● 信史と秋也☆番外編」
You are my angel

You are my angel 9

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祖母の家を出て、二人で部屋に戻るとすぐに信史が自室に入った。
出てくるのが遅くて、秋也が部屋をノックすると扉が開いた。

「何してんだよ」
「明日する」
「何を」
「アルバム」

バカだなんだと言う秋也を抱きあげて、リビングへ歩いて行く。

「生身がいるだろ」
「うん」
「そーいうとこオタクっぽいよな」

ソファーに降ろされて笑う秋也に、軽くキスをした。

「取りかかると、没頭するからな」
「へんたい」
「なんだとっ」

秋也の頭をクシャクシャにしても、本人は平気だ。

「お前の髪に触りたかった頃を思い出す」
「そん時からへんたいだ」
「そうだよ。何処でもいいから、お前に触りたかったんだ」

信史が髪を元に戻しながら言えば、抱き付いて引寄せられる。

「もう、好きなだけ触れるだろ」

耳元で甘く囁く声に、シャツの下から手を入れた。

「それは、風呂入ってから」

……やっぱり。

「ぬるめにして、ゆっくり入るか?」
「うん」

*

二人でゆっくりと入れる時用に置いてある、小さなシャンパンを持って入る。

いつものように、秋也の体を隅々まで洗う。

くすぐったがる顔がアルバムにあった幼い頃とかぶさって見えて、いつも以上に可愛く見えてしまう。
欲情に繋がる可愛さではなく、子供から大人に成長した秋也を愛しむような気持ちだ。

……今日は風呂でエロいことはしないでおこう。

「俺も洗う」

粗い方のスポンジで、秋也が体を洗い始めた。

「気持ちいい?」

目を閉じてジッとしていると、傍で声がする。

「あぁ……」

気持ち良いよ。
お前が俺のために、やってくれることは全部。

「何か、またデカくなってる気がする」
「どこが?」
「はぁ? 肩幅とかだよっ」

信史が笑うと、風呂に声が響く。

「体重とか増えた?」
「七十は超えてる」
「うへー、十五キロも差がある」

出た……。
体つきにやたらと食いついてくる。

だから、こっちもトレーナーつけて体づくり頑張ってるんだよ。

「胸板とかごつくなってんもんな」

秋也の顔が、少し不満気だ。

昔からだ。
中学の頃はあまり身長差も無かったのに、高校になってから身長も体格も俺がどんどん大きくなって、いつもこんな顔をしていたっけ。

「お前はモデルだろ」
「そうなんだけどっ」

ゴシゴシと力を入れて、洗い始めた。

「痛いって。……ガキ」
「うるせぇっ」

二人で何だかんだと騒ぎながら全身を洗って湯船に浸かれば、正面から抱き着いて来る。
しばらくして気がすんだのだろう、クルリと前を向いてもたれ掛ってきた。

祖母の家で飯を食った後は、いつにも増してご機嫌だ。

一時でも子供にかえるような、そういう場所だからかもしれない。

「あ、そうだ。この間、お前が出張の時に泊った日に、ばーちゃんが高校の時の制服を干してて」
「え、まだあるのか」
「うん、もう着ないのにさ。時々出して陰干ししてるんだって」

俺のは……記憶にないが、捨ててあるだろう。

「でさ、自分の部屋で着てみた」
「え?? ちょっ……何で俺の居ない処で」

何言ってんだと秋也が笑う。

「着れた?」

サイズ的には高校時代とそう大きく変わりないはずだ。

「うん。でもさ、シャツとかキツくて。身長体重はそう変わりないのに」
「そりゃ十代の時とは骨格自体違うだろ」
「袖のとことか、他にも縫った痕もあってさ……。牧村と喧嘩したこと思い出して、懐かしかった」
「あぁ、おばーちゃんに凄い怒られたって言ってたもんな」

喧嘩じゃなくて大事な制服を破いたことを怒られたのだと、しょんぼりとしていた顔まで甦ってきた。

「新しいのなんか買わないよ! 後一年半なんだから、これ卒業まで着なさい! って」

秋也も思い出してるのだろう、クスクスと笑っている。

「凄い痣で学校行ってたもんな」
「そんなんでばーちゃんが休めなんて言う訳ないじゃん。男の子なんだから、堂々と行けって」
「お前、気にしてなかったろ」
「うん。飯食う時、顔が痛かったのだけ覚えてる」

もう十年も前も話だ。

「そういや、牧村がビックリしてた」
「あ、言われた。姫が台無しだって。誰が姫なんだって、また蹴ってやった」

牧村が驚いていたのは、顔の痣だけじゃない。

秋也があまりにも普通に話しかけるから、毒気がいっぺんに抜かれたような顔をしていた。

あの後からだ。
秋也と牧村が仲良くなったのは。

「バカだよな~、十代って。すぐ熱くなって、体が動く」
「だから十代なのかもな」

メンバーによると、成人してからもしばらくは他のバンド連中とよく喧嘩していたと聞いたけど。
どうやら本人は都合良く、高校時代で喧嘩は終息しているらしい。

「……熱い」
「上がるか」

*

風呂から上がって、フルーツを剥く。

「あ、あそこで買ったやつ?」
「そうだよ」

皿に盛った真っ赤なイチゴを一つ摘まんで、口に入れる。

「うまっ」
「前の上司にたまたま会って、一緒にスムージー飲んだ」
「え、信史がスムージー? 似合わねぇ~」
「それが、美味かったんだよ。今度、家でも作ろうかと思うくらいに」
「じゃ、俺も飲む」

フルーツをソファー前のテーブルに持って行く。

「あ、その元上司って人に買ってもらったのか」
「うん。もう一人、大学の後輩って人も一緒に」
「へぇ」
「その人達とちょっと話して、俺はまだまだだなって思ったんだよ」

信史がワインを開けながら言えば、秋也が目を小さく剥く。

「そんなに話込んだ?」
「違うけど。何となくな」
「ふーん。……ま、分かるな。俺だって、まだまだだっていつも思うし」

二人で目を合わせて、クッと笑う。

「これ飲んで、ベッド行くか」
「ヘンタイ」
「すぐそっちに頭行く、お前の方がヘンタイだろ」
「俺は断じて違う」

グダグダと二人で話ながら、信史がグラスにワインを注いだ。




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