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「● 信史と秋也☆番外編」
You are my angel

You are my angel 7

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勇次からの指示を聞いている間、カオルは長い脚を組んでメンバーと同じようにそこに居た。

「じゃ来週、Mスタジオに集合!」

最後に勇次の言葉で、皆が口々に返事をして立ち上がる。

「あ、こんな所に居た。黒井さんが探してますよ。携帯も切ってるでしょう」

サブマネの川原が顔を覗かせて、カオルに告げる。

「げっ……見つかった」

逃げようとするカオルを、秋也がすかさず捕まえた。

「カオルさん。往生際悪いよ?」

顔を覗き込んで言えば、ため息を吐く。

「お前、ほんと厳しいな」
「カオルさんだって、本気で逃げる気ならさっさと帰ってるでしょ」
「…………」

相変わらず仕事に波があって、ショーなら問題ないのだがスタジオ撮りになるとムラが出る。
そこはカメラマンとの相性も大きい。

どうやら明日の撮影の雑誌のカメラマン伊地知が苦手らしい。
腕は良いのだが拘束時間が長く、モデルの間でも嫌がる人が多い。

「ほら、行きますよ?」

川原が来て、秋也とバトンタッチとばかりにカオルの腕を掴んで、さっさと連れて行った。

「しゅうやぁぁ~~~~」

廊下からカオルの声が聞こえて、皆で吹き出した。

「あの我儘……いつ治るんだろ」

健太郎も呆れたように言いながら笑ってる。

「力があって成り立ってる」
「だよな」
「大人しくなったら、カオルさんのカラーが消えるかもな」

皆カオルの実力を知っているから。
事務所のモデルとしての地位もトップだが、全体の業界でもトップクラス。


「しかし、カオル嬢がアニメのPVに出るとはな」

陸朗がシミジミと言う。

「パリコレレベルのモデルが、アニメの敵役っていいの?」
「向こうじゃ日本のアニメは人気だからいいんじゃね?」
「黒井さんが承諾したんだから」
「ラスボスだもんな。格的な役柄だからOK出したんだろ」

「スイッチ入ったら、凄いぞ。俺らも負けられない」

勇次がそう言えば、秋也と陸朗と直樹が顔を見合わせた。
三人で同じようなことを言い合ってきたからだ。

「負けねぇ」
「負けるか」
「ラスボスに勝つ!」

目を合わせて言えば、健太郎が三人の中に割り込んで来る。

「俺もっ」

三人で健太郎の頭をクシャクシャにして、お疲れ~と先に秋也が部屋を出て行った。

「後ろ姿もカッコイイねぇ」

陸朗が腕を組んで言えば、直樹が肩を竦める。

「……本物のラスボスの処に行った」

健太郎が呟けば、勇次が「本物?」と首を傾げる。


「三村が来てるのか?」

少しして勇次が言えば「通じた」と三人が目を合わせた。

*

「しんじっ」

信史が長椅子で待っていると秋也がこっちに向かってきた。

「お疲れ」
「行こっ」

立ち上がってエレベーターに向かう。

「さっき、カオルさんが男の人に引きずられて行ったぞ」

エレベーターを待っている間に信史が言えば、秋也が笑う。

「いつものことだよ」
「俺に向かって舌出しやがんの」
「あははっ、さすがだ」
「ま、お前と同じ香水のモデルになった人で、俺もそれを向こうで見てるからな」
「あのポスターで、向こうでのランクが上がったんだよ。仕事は一流」
「だろうな」

エレベーターが来て、扉が開くと中に若い男がいた。

「わ……っ、秋也さん」
「あ、お疲れ」

どうやら若手のモデルらしい。
秋也を見る目が、キラキラしている。

「秋也さん。俺、オーディション受かりました」
「え、あのVBの?」
「はいっ」
「スゲー!! よくやった!!」

秋也が頭をグリグリと撫でる。

「あ、有難う御座いますっ」

そのまま男の服の裾を捲りあげる。

「腹、見せるんだろ? 鍛えろよっ」

拳にして、ボスッとお見舞いをした。

「……っはい」

腹を押さえてペコリと頭を下げた処で、エレベーターが開いた。

そこにもモデルらしき女が二人。

「キャッ、秋也さんっ」
「お疲れっ」
「いやーん、もう帰っちゃうんですか」

黄色い声にニッコリと笑って手を上げて、すれ違う。

信史が振り返ると、さっきの男と女二人で秋也の後ろ姿を見ていた。

「後輩たちか」
「そう、キラキラしてるよな」

いや、お前も充分キラキラしてるけど。

「何?」
「俺にはお前の方がキラキラだけどな」
「それは、お前が俺を好きだからじゃん」

照れもせずに言う秋也に、信史が頭を小突いた。




「俺が運転する」

秋也がギターを車のトランクに入れて運転席に乗り込み、エンジンをかけて走り出した。

「俺も学生の時、あの下着ブランドのオーディション受けたな~」

ハンドルを切りながら、懐かしそうに呟く。

「……アメリカで、それ見た」

洋子が俺に投げつけた雑誌に、載っていた。

十八で秋也の元から逃げてから、数年ぶりに見る秋也だった。
喉仏や骨格などで、成人した秋也を見たのだ。

俺が抱いていた頃よりもずっと逞しくなり、その美しい体のラインにモデルとして努力をしているのを知った。

その肌の質感を思い出し、雑誌の秋也に手を触れてみたりもした。


「そっか」
「大人になったと思って、何度も何度も……見た」

「あの時も、『帰って来い』ってお前に向かって言ってたんだ」

あぁ……そうだったのか。

信史はあの時の秋也の表情を思い出す。
少し顎を上げて、挑戦的な表情をしていた。

「俺はカメラの向こうに、いつもお前を見てたよ」

秋也が軽く言った後で、こっちを見る。

それは責めている目ではない。

「お前がいたら……俺は、モデルとして今の場所には居ない」

前を向いて、そんなことを言う。

「俺はカオルさんのような、モデルじゃない。どんな我儘を言っても、自由に振る舞っても、一瞬でその場を圧するあの人こそ、生まれながらのモデルだ」

そうだな。
お前は昔から、その恵まれた容姿を持っていても、自分のことを過大評価しないヤツだった。

「それは、ギターでも同じ」

赤信号で止まって、こっちを真っ直ぐに見つめて来る。

「だから。ちゃんと意味があったんだって、俺はそう思ってるよ」

そう言って、またあの微笑みで俺の胸を撃つ。

同時に、黒井さんが同じようなことを言ってくれたのを思い出した。




「さ、ばーちゃん家で腹いっぱい飯食お~」

青信号に変わった途端、嬉しそうな顔でアクセルを踏んだ。



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