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「● 信史と秋也☆番外編」
You are my angel

You are my angel 6

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打ち合わせが終わって携帯を見ると、信史からメッセージが来ていた。

フルーツをたくさん買ってもらったと、写真付きで。

……買ってもらった?

何だか信史らしくないからピンと来ないけど、写真の果物は本当にたくさんあった。

祖母の家に先に持って行ってからこっちに向かうという文面に、顔が綻ぶ。

仕事の時間が不規則な自分より、信史の方が時々祖母の顔を見に行ってくれる。
信史が出張で不在の時に時々は泊まりに行くこともあるけれど、普段は仕事を終えるのが夜中だ。

独り暮らしの祖母の家のセキュリティー関連も、信史が全部手配してくれた。
何かがあった時は、ホームセキュリティーが駆けつけてくれるようになっている。

今のセキュリティーは凄い。
家の防犯はもちろんだが、廊下やトイレなど生活動線に設置したセンサーが人の動きを感知して、一定期間動きを感知できなかった場合は自動的に通知されてガードマンが駆けつける。

ホームドクターサービスもあって、定期的にちゃんと連絡が入る。

万全とは言えなくても、信史も俺も、どっちもが近くに居ない時もあるんだ。

秋也は祖母に電話をかけるために、廊下に出た。

*

信史がエレベーターを降りると、目の前に男が二人……?
誰かが背中から覆いかぶさっている後ろ姿が見えた。

ふざけてるのかと思って首を少し伸ばして見ると、覆いかぶさられているのは秋也だ。

……なにやってんだ。

一瞬カッとしたが、色めいた感じには見えない。

「サービスは?」
「は? 何で俺が」
「相変わらず、ツルツルほっぺ」
「降りて下さいってっ」

怒ってる口調だが、どうやら無碍にも出来ない相手らしい。
でなきゃ、とっくに肘鉄でも喰らって降ろされている。

首を傾げながら秋也の正面に周ると、後ろにいるヤツが頬にキスをしていた。

「何やってんだ」

低い声で信史が声をかけると後ろの男が顔を上げて一瞬だけこっちを見たが、また秋也に抱きついている。

「信史、助けて」

秋也が少し苦笑いして言ってくる。

「降ろせよ」
「降りてくれない」
「チューしてくれたら降りる」

信史が足を進めて目の前に立ちジッと見ると、後ろの男が今度こそちゃんと顔を上げて目が合った。


……あれ?


何処かで見たことがあると思って気がついた。

男だと思っていたが、女だ。

確か、秋也と同じ香水の女性バージョンをやった人。

少しの間目が合ったまま、ジッと見つめ合う。

「わ、怖い」

女が先にそう言ったが、降りようとはしない。


「うお……っ!! ちょっと……カオルさんっ」

声がした方を見ると、健太郎がこっちに向かって来てカオルを秋也の背中から降ろした。

「ヤバイって」

カオルに小声で言っているが、丸聞こえだ。

「誰?」

信史に向かってカオルが聞いてきた。

こういう時、恋人だと堂々と言えない。
さすがに、仕事関係の人だ。


「モデル?」
「違います」
「だよね……雰囲気が違う」


目だけを合わせて、お互いに顎を上げる。

秋也と同じモデルでも、海外でも通用するショーモデル。

背は秋也や健太郎よりも高い。
デニムに、男物のエンジニアブーツ。
手足も長いし、髪もベリーショート。

一見すれば、男かと見紛う雰囲気。
でも、男にしては線が細すぎる。

ユニセックスの魅力を体現しているとも言える。

横で秋也と健太郎が話をしている間、信史もカオルも睨み合うでもなく目を逸らさず。
ほんの数秒の間、静かに互いを見ていた。


「わー……火花~」

また声がして見ると、陸朗が傍に来た。

「すぐ秋也にちょっかいかけるんだから」
「じゃ、陸朗にしよう」
「いやいや、勘弁」

今度は陸朗の後ろから抱きついて行く。

あぁ……こういう人か。

何となく分かって、信史が小さくフッ……と笑うと視線を感じる。

「なんだ?」

こっちを見ている健太郎に言えば、首をブルブルと振った。

「ラスボス同士の闘い」

小さく呟く声を聞き逃さず眉をしかめると、また首を何度も振る。

すると秋也が傍に来て、顔を覗き込んできた。

「もう終わったけど、もうちょっと待ってて」
「いいよ。腹、減っただろ?」
「うん。今、ばーちゃんに電話して切ったとこなんだ」
「あぁ、玄関にもういい匂いがしてたぞ」
「やった」

もうニコニコして何事も無かったかのように二人で話し出すのを、健太郎が呆れたように見る。

「あのササミのおろしポン酢、作ってくれてるって」
「お前好きだな、あれ」

「おい、秋也!!」

声がしてみると、陸朗がまだカオルに乗っかられたままだ。

「何?」

「……もういい」
「リクロー、ご飯行こう。奢るよ? その後、何する?」

カオルが後ろから陸朗の顔を覗きこんで、話かける。

「何するって、何するんですか」
「色々」

「……健太郎!!」

陸朗に怒られるように言われて、健太郎がカオルを強引に下ろした。

「カオルさん、重い!!」
「失礼な。女の子だよ、私」
「俺らよりデカいもん」

「何やってんの? 呼びに行った陸朗まで」

そこに直樹が出てきて、皆を見まわす。

「リーダーが呼んでる」

直樹の声で、皆が一斉に部屋に向かう。

「信史、待ってて」
「オッケー」
「カオルさん、行くよ」

秋也が腕を引っ張る。

「何で私まで」
「いいからっ」

強引に引きずるように、秋也がカオルを連れて行った。

「……二人にしたら、凍るもんね」

健太郎がボソッと呟いてニッと笑って後を追う。

凍る……?


信史が秋也の後ろ姿を眺めていると、振り返ってニッコリと笑った。


うわ……。

不意の微笑みは、今も信史の胸を撃ち抜く。


高校時代クラスが違っていたから、時々廊下ですれ違った時を思い出す。

振り返ってまで秋也の後ろ姿を見ていた自分に、今のように振り返ってニッコリと笑ってくれた。


あれから十年が経っても……。
今は華やかな世界で生きていても。

俺の秋也は、変わりない。

そして。
不意打ちの微笑みで、こうやって幸せの余韻に浸っている俺も。



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