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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 93

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北見が何種類かを順番につけて、最後に佐倉が選んだ。

と言っても、極普通の眼鏡。
結局は、いつもとあまり変わり映えもしない。

「じゃ、これにしよう」
「え、そんな簡単に? 俺に決めさせないで、自分で選べよ」
「いや、俺もこれがやっぱり一番しっくり来るんで」
「じゃ買う必要無いだろ」

そこで自分の眼鏡を見せてきた。
傷の入っている場所を示して、その内割れるから……だそうだ。

「どっちにしても、もう買い替え時なんですよ」

そう言ってさっさとフレームを持って行った。

*

「またその眼鏡?」

佐倉が北見を見上げて問う。

「先にレンズは注文してたんですけど、今日は混んでるから。家に送ってもらいます」
「面倒臭いんだな」
「そうですよ。定期的にレンズも変えないといけないし、視力もその度に検査しますね」

眼鏡屋を出た途端、北見の前にデカい男が立った。

「……ユキ兄」
「眼鏡屋で男同士でイチャついてんな~と思ったら、お前だし」

ニッと笑って佐倉を見た。

「イチャついてるって……」

北見が呆れたように言うのが聞こえたが、兄の方は佐倉をジッと見たままだ。

「功英の兄の、千博と言います」

自己紹介されて、佐倉は慌てて表情を引き締めた。

「はじめまして。会社の同僚の佐倉と言います」
「同僚か。後輩くんかと思った」
「ユキ兄!!」

北見が慌てているが、佐倉がニッコリと笑う。

「先輩だよっ」

北見が兄に告げれば、目を剥く。

「え? 年上?」
「はい」
「ごめん、佐倉さん」
「いや、慣れてるから」

謝る北見に佐倉が笑顔のままで答えるが、営業スマイルだ。

「弟がいつもお世話になってます」

千博が頭を下げた。

「いえ。部署が違うんで、部下では無いんです」
「営業って感じだな」
「当たりです」

北見が兄の肩を強引に引っ張って、引きはがした。

「何でココに居るんだよ?」
「俺は彼女と待ち合わせだ」
「……じゃ、早く行けよ」
「あれか?」
「あれ?」
「特別枠」

一瞬何のことかと思ったが、昨日の会話を思い出した。

「…………」

黙り込む弟に、兄がニッと笑った。

「なる程。確かに魅力的だ」
「変な目で見るなよ」
「変な目? ……それはお前じゃないの?」

北見が文句を言おうと口を開ける前に、肩をポンと叩いて佐倉の方に行く。

「弟をよろしくお願いします」

頭を下げている姿を見て、服を引っ張った。

「もう、早く行けよ」
「分かった、分かった。デートの邪魔して悪かったな」

そう言って笑いながら手を上げて、去って行った。

「……ごめん。変な兄貴で」

北見が苦い顔をすると、佐倉がくっと笑った。
これは営業スマイルじゃない。

「似てるな……やっぱり」
「え? 俺、あんなの? あまり似てないはずなんだけど」
「いや、髪型も違うし眼鏡もかけてないから、雰囲気は違う。顔のパーツとか、デカいとことか。全体的な背格好。ほら、後ろ姿が似てる」

佐倉が兄の後ろ姿を見ながら言った。

「次男なんだ、あれ」
「うん、雑誌で上のお兄さんは見たよ」
「でしたね」
「ロン毛の北見だった」

笑う佐倉に北見も笑って、一緒に歩き出す。
そこから昨日皆で実家で集まった話になった。

「いいな……何か、自由で楽しそう」
「いや、自由っていうか……細かいこと気にしていられないって方が合ってる」

結婚の話題になってからの下りでは、佐倉の顔が複雑そうに見えた。
母親に、結婚に向いてないと言われたことには少し驚いた顔。

「ま、最後に『何だっていいのよ。本人が幸せなら』って言ってくれたんで」
「……いいなぁ、お前」

心底羨ましそうに言われてしまう。

「まぁ、確かに。気は楽ですけどね。自己責任で幸せになれって感じで、それはそれで」
「贅沢言うなよ。……俺なんか、母親とここんとこ冷戦中なんだぞ」
「冷戦?」

何かもめてるのだろうか。

佐倉がため息を一つ零して、こっちをチラリと見上げる。
そういう目が、時々ドキリとする……。

「見合いだよ、見合い。しつこいんだよ」

なのにいきなりそんな言葉が出た。

「えぇ!? ……見合いするんですか?」
「しないよ。だから、戦争中」

しないという言葉に、心底ホッとする自分。

結婚するということは、誰かのモノになってしまうということのように思えた。
気の合う友人が結婚してしまうのは、嬉しさより寂しさが先に来ると聞く。
自分の周りで結婚している友人はまだ少ないが、やはり既婚と未婚では付き合いが変わって来る。

「佐倉さんのお母さんは、早く落ち着いて欲しいんですかね」
「う~ん……。割と、自分の型にはめたがるタイプだからな。俺の結婚話が流れて、不甲斐ない息子をどうにかしないと……なんて思ったのかも」

思えば、佐倉の兄はもう落ち着いていて家庭を持っている。
後は次男の方に気持ちが全部行くっていうのも、何となくだけど分かる気がする。

「多分……。俺が思うには、自分の気に入った子なんだと思う。義姉さんとは、上手く行ってないしさ」
「そんなもんですか」
「娘が欲しかったんだって言ってたから。なのに息子二人だろ? 孫の風太も男だしな」

笑いながら言うけど、北見は笑えなかった。

佐倉が母の気に入った女と仲良く食卓を囲んでいる姿を浮かべて、嫌な気持ちがした。

「北見?」

見合いなんかして欲しくない。
誰かのモノになんか……なるなよ。

「……うわ、俺ヤバイかも」
「何が?」

佐倉がこっちを見る。

あんたが女と笑い合ってる姿想像して、嫌になった……なんて言えば、本気で気持ち悪がられるよな。

せっかく二人で休日に会ってるのに。
途中で機嫌悪くされて「帰る」なんて言われたら……。

「いや、別に」
「……何だよ」

「まだ当分結婚しないで下さいよ。俺が寂しいから」

変に思われないようにニッコリと笑って言えば、佐倉の目が瞬き逸らされる。

「……俺は多分、結婚しない」

ボソッと呟き、俯いたままで歩く。

寂しそうな横顔に、まだ前の彼女を忘れられないのかと思う。
あれからも一向に女っ気がないし、積極的にそういう行動もとらない。
モテるくせに、誘いに乗る振りさえしない。
うちの課の女の子がどれだけアピっても、興味無し……って感じだし。

けど、青木の家には行った。
それも……そういう意味で好意を持たれているのを知った上でだ。

まだシツコク根に持っている自分。

まぁ……女の家になんか、気軽には行けないだろうけど。


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お兄ちゃん遭遇

kiri様
北見くん本当に眼鏡目的だったのね。壊れかけって怖いわ。顔に刺さったら痛そう。そしてまさかのお兄ちゃん遭遇(笑)後輩に見られて営業スマイルの佐倉氏も違う意味で怖いわ。お兄ちゃんは佐倉氏を見て「昨日言ってた特別枠」とピンとくるくらい北見くんの好き好きオーラが溢れてたんでしょうね。「誰かのものになるなよ。」すごくキュンときました。北見くん迷わず突き進んでね。
やっぱり本は積みっぱなしですか。安心しました。私も本の小山には気にしないことにします。

Re: 特別枠!!!

鍵コメs様

そう…佐倉にとっては、北見は好き。
北見にとっては、特別枠…。ここから、また気持ちが進むでしょうか?

うん、北見はわりと言葉に出します。
出し過ぎて、何回も逃げられたので(笑)今は、一応は頭で整理してから…みたいですけど。
悪気が無いからこそ、ポッと出ちゃうのよね。
まさか、佐倉がそういう意味の好意だってこと知らないし。

リーマンなので、仕事の描写も少々…。
仕事シーン書くの好きなんで、調子に乗るとナンボでも書いちゃうんです。
今はかなり歯止めしながら書いてますよー。

仕事とプラベを、ちゃんと線引きして頑張ってる男たちが好きですねー。
本当はくたびれリーマンも書きたいけど…やはりBLはドリームなので。
実はクズ男書くのも好きです……。それがのし上がって来る過程に萌える…!
しかしその過程前に来る苦情が非常に面倒なので、書きませんけども(爆

わ~。良いモノを見ましたね←
私もちょっと前に、mドナルドにてDK2人が同じようにスマホでイチャついてるのを目撃!
やたらと、チラチラ見てしまいましたわー。ゲームか…そうか(今、気付く

有難う御座いました☆

Re: お兄ちゃん遭遇

美夕様

仕事仲間の人が、眼鏡に筋(?)入ってるの使ってますw
忙しくて、眼鏡屋にも行けない!と嘆きつつ…。行けよ、早くw

そして、千兄に遭遇~。眼鏡屋でデカい男が見えて、弟…。
それも特別枠らしい男と、イチャついてる!(/▽゚\)
弟の表情がとっても嬉しそうだったのかな~。バレちゃってるし。

北見くん、対女性なら…当然だと思ってたのが、変化してますね。
そして、シツコク青木にはムカついてる(笑

えぇ…もう、本の山は見ないように…^^;

有難う御座いました☆

NoTitle

kiri様。勝手知ったる他人の家という言葉もある位でありまして、kiri様のお部屋に毎日勝手にお邪魔させて頂いております(笑)。じわじわ攻めてくる、きちゃみにフッフッと思わず不敵な笑いが出てしまう私なのです。攻めているつもりでも、君は、本当は、サクラちゃんの、罠にはまっているしーーー!ってね・・・・・。いってもサクラちゃんは別に策士でもなく、罠を仕掛けて、いらっしゃるわけでもなんでもありません。が、でも魅力的なんですよね。きっと老若男女どのかたも、このかたも彼の虜になってしまう。だから営業職が天性なんでしょうね。いやーーー自分にピッタリの職についていらっしゃる。kiri様の描写が大好きで言葉のチョイスも大好きで、私の好きな言葉集を作っているんですが、かなり、たまりました。以前職場で、語彙の少ない人より、多い人の方が、脳の老化が進みにくいって、話になって、それで言葉集めを始めました。本日は「特別枠」を入れました。なにかの普段の会話(雑談ともいう)に入れるのです。『これ、特別枠にしておくわ』。とか言って使います。・・・。昔TVでさんまさんが、ネタ帳(面白いと思った話の)自分で話を拾い集めてすごいたくさん持っているって聞いて、さすが一流の人やなって思ったのです。だからきり様の言葉好きなので、時々頂いております。いつも有難うございまーす。

じわじわ

kiriさま、こんばんは。
このじわじわ感たまりません。(*゚ー゚*)
基本二人のやり取りはニタニタして読んでいますが、北見さんの心の声、“誰かのモノになんか……なるなよ。”とか出てきちゃうと胸がキュンとしちゃいます。
どう動いていくのが楽しみです。
まともな感想書けずにすみません。いつもありがとうございます。

Re: NoTitle

のあ様

ドウゾ、ドウゾ。毎日でも、週イチでも、月イチでも!都合の良い時に、お越し下さい♪
北見がジワジワと来てますね…。佐倉は、何度💙を撃ち抜かれようが、スタンスは変わりなく(笑
だって本当に、この人は「今」が一番良いんですよ…。
まさに動きたくない!!状態です。良い感じじゃないですか…今って。

そう。でも知らずに、北見を惑わせてるんですよね。はい、本人はそんな気有りません。
色気で惑わすタイプでもないですし、むしろそんなことしたら北見ビックリする(爆
ただ本当に、恥ずかしいとか…どうしていいのか分からないので挙動不審になっちゃうのです。

あ、そうなんですか?!ひゃ~、意識しないで思うままに勝手に書いてるのに!…恐縮ーー(;・∀・)
いやでも、嬉しいです。何か一つでも、キュンするとか、イイな…って思ってもらえたらそれだけで書いて良かったと思えるので!ちょっと大阪弁が混じってるかもですが(笑)雑談にw

有難う御座いました☆

Re: じわじわ

みっぺん 様

佐倉より北見がね…随分と(//∇//)

追いかけたくなり、構いたくなり…結構、ジワ~と佐倉に気持ちが偏って行ってます。
何気無い会話で、あれ?俺…?って気づくことも多くなりました。
一旦そっちに意識しちゃうと、心の中の呟きもだんだんそっちに…。

いいえ~感想なんて、思うままで(*^^*)

有難う御座いました☆
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