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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 74

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佐倉は早く仕事が終わった日に、いつものバーに繰り出した。
男を漁りに来のではなく、一人で居たくなくて。

いつものカウンターに座ると、勲が隣に座った。

「久しぶり」
「おぅ」

勲がバーテンに酒のお代りをして、佐倉を見る。

「……どしたの?」
「別に」
「なんか背負っちゃってるけど」

はぁ……と、溜息をついて勲を見た。

「悩ましい色気が漏れてるから、危ないよー」
「うるさい」
「んなこと言っちゃって。遊びに来たって感じじゃないな」

片眉を上げて言う勲に、その通りだと思った。

誰かに吐き出してしまいたい、この鬱積した気持ち。
自分一人で悶々としていても、同じ場所に佇むだけで終わるだけ。
ダチに相談出来ることじゃないし、だからって青木に言うのも違う。

「……ノンケに惚れた」
「あ~ありがち過ぎるやつね」
「で。……ノンケのくせに、俺に無自覚な好意をぶつけてくる」
「成程。男との恋愛拒否るサクラちゃんでも、惚れた相手じゃさすがに揺れるか」

佐倉が目をギュッと閉じて、酒を呑む。

「学生時代ならまだしも……いい年して、結果分かってても何か、こう……」

拳を上げて見せる佐倉に、勲がクスッと笑った。

「分かる、分かる。何かさ、力技で攻め込みたくなる気持ちと、尻ごみする気持ちが交代で出てくんの」
「それだ、それ」
「力技で行きそうになっちゃうよなぁ……つい」
「……そうなんだよ。襲ってやりたくなって、逃げた」

ははっと勲が笑う。

「押さえつけて無理やり~なんて、血を見るよ」
「相手はデカい男だから負ける」

冗談で言ったのに……と、勲が呆れた。

「無神経さにムカつく」
「……だよなぁ」

無神経だって思うのはこっちの勝手であって、北見はただ友情にプラスされたほのかなモノを示してくるだけなのだ。

その、仄かな部分を感じてこっちは欲が出てくるっていうのに。

「ちょっと押せば、イけそう……なんて思っちゃうと、堪らんよね。感情より肉欲に走りそうになって」
「……言うな」
「だって男だもーん」

勲の言葉に、佐倉が頭を抱えた。

「サクラちゃんさ、恋愛は女っ……てとこから離れないから、更に始末が悪い」
「男と恋愛してどうすんだよ。好き好きベタベタ?……俺、無理」
「こらこら。声が大きい」

耳元で囁かれて、溜息を吐く。

分かってる。
バイを嫌うゲイは多い。
ノンケより性質が悪いと、ハッキリと文句を言われたことも何度かある。

「まぁ……どっちもOKなら、女を選ぶよな」
「悪いか」
「まぁ、サクラちゃんは男心を弄ばないし、必要以上に踏み込まない。だから、悪くないよ」

勲は優しい。バイでも嫌ったりもしないし……。

「いずれ結婚するんでしょ?」

結婚願望も、消えてはいない。
ただ、強くは望んでない……というか、諦めが半分。

一生独身でいいと覚悟もした。そこは嘘じゃないんだ。

「……多分、無理だ。俺、女をちゃんと愛せる自信がない。また、傷つける」

性懲りもなく、また男に惚れてしまったんだ。

「そこが根本的に違うんだって。俺達は多分……なんて無し。基本的に出来ないの。それこそ、偽装でもないとね。バイとは立ってるステージが違う」
「そうだな」

ため息を深く吐く佐倉に、勲が苦笑い。

「どっちもOKなくせに、どっちにも向かえないから、キツいねー」

勲が後ろの首元を持って揉むようにしてくる。

「あ、それ気持ちいい。もっとして」
「ヤらしー」
「……なんでだよ」

煙草に火を点けて、煙を吐き出した。

「サクラちゃんさ……モテるから、プライド高いもんね」

は?……と、勲を見る。

「俺だって振られたことある」
「いや、そういう意味じゃなくて」
「好きな奴に怖がられて、ガン無視された」

ムキになって勲に言えば、優しい顔で微笑んで頭を撫でてきた。

「そりゃ傷ついたな」
「あぁ、すっげー傷ついた。俺、何も言ってないのに」
「言えば良かったのに」
「は? じょーだん」

佐倉が俯いていると肩を叩く。

「それに、今のは同じ会社のヤツだぞ?」
「あー。……さすがにそれ、俺でも無理だ。仕事大事だもん」
「だろ?」

言ったんだよ……これでも。
でも、即座に「俺も」だと言い返された。
一瞬の躊躇さえ、無く。

バーカ。……意味が違うってんだよ。
分かってて言って、気付かないあいつに心底ホッとして……ムカついた。



「こんばんは」

反対側から声がして、首をそっちに回すと……青木が居た。

「……最悪」
「わ、そりゃ酷い言われ方」

勲がカウンターに身を乗り出して、青木を覗くように見る。

「いい男は、もれなくサクラちゃんになびくよなぁ」
「そういうんじゃない」
「俺は口説いてる真っ最中なんですけどね」

青木が佐倉の否定の言葉に被せた。

「ほらほら。モテるヤツって麻痺しちゃうんだよね」
「……うるさいな」
「何? 恋愛相談してた?」
「まーね。同じ会社の……」
「イサオ!!」

佐倉が怒ると、勲が首を竦めた。

「わ~お。怖いから退散」

ニヤニヤと笑って、席を立つ。

「行くなよっ」

佐倉が縋るように言っても首を振る。

「実は、あっちに連れがいるんで」

その方向を見ると、由孝がこっちを見て手を振っている。

「え? ……付き合ってんの?」
「まぁ、相性が良かったんで」
「……あ、そう」

じゃ……と青木と佐倉に手を振って、由孝の方に歩いて行った。


「……同じ会社か」

青木が佐倉を見て、いきなり言った。
やっぱり、聞き逃してはくれなかったか。

「答える義務はないだろ」
「思うに……あの背の高い眼鏡くん?」

佐倉が固まったのを見て、青木がふぅ……と息を吐いた。

「どう見ても、ノンケだ」
「うるさいっ。こっちは見てるだけでいいんだよっ」

佐倉が煙草を消して、立ち上がろうとすると手首を掴まれた。

「離せ」
「離す訳ないでしょう、やっと会えたのに。何回誘っても、掴まらない」

その強い目に佐倉は息を呑んだ。
手を掴む力に抗うことが出来ず、立ち上がりかけた足の力を緩めた。

「やめろよ……」
「適当にあしらうようなことはやめて欲しい。これでも傷つく」

あぁ……その通りだ。
佐倉が黙って座る。

以前、青木に飯に誘われた時、俺は寸前まで行く素振りを見せた。
なのに、横からひょいと現れた北見と飯食って一緒に帰ったんだ。

「あなたが好きです」

青木が手を握ったまま、真っ直ぐにそう告げてきた。

「……俺は、ゲイじゃない」

自分でもあまりな言葉を吐いた。

「じゃ、女と幸せになれる?」

青木も負けじと言い返してくる。

「…………」
「不毛な想いにケリをつけて、俺との恋愛も視野に入れて欲しい」


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~ Comment ~

NoTitle

佐倉にぐいぐいくる青木を見てると、隼に距離を保ちながらくいこんできた内野を思い出します。
青木もいい男でスマートに見えるけど、内側は必至で情けないところもあるんだろうな~って
勲が会社の人ってばらしちゃったから、青木に当てられちゃったね。
それだけ、ダダ漏れだったのかな~

Re: NoTitle

蝶丸様

青木が出ると、内野の名前が上がりますねw
大学と社会人…という差はありますけど。

佐倉と北見が一緒の処なんて、会社の廊下で3人で会っただけですから。
その佐倉が慌てるのを見れば=自分の知ってる人。頭でパチパチと回路を動かす…。
高梁ではないだろうから、そうなると…引き算で長身眼鏡が浮かんだという図式でしょう…きっとw

有難う御座いました☆
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