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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 73

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三十分程経って、佐倉が寝室の風太が眠っているのを確認して北見の前に戻って座った。

「起きたら、帰るよ」
「ついでに夕飯も食べていけばいいのに」
「いやいや、そこまではいくら何でも。兄貴も俺の家にいるし」

そうだよな。
もう少し居て欲しいなんて、また変だと思われる。

「ここのとこ俺ばっかお前ん家、来てるし」
「佐倉さんの家、誰か招待したことありますか?」

これくらいは聞いてもいいだろう。

「彼女と付き合ってる時は……」
「じゃなくて。別れてからです」

佐倉が目を斜めに向けて首を振る。

「お前が子守に来た時くらいだな。……侘しいとか言うなよ」
「それを言ったら、俺もでしょう。佐倉さんだけですよ、彼女と別れてからココに来たの」
「ふ~ん」

そう言う佐倉の顔は、嬉しそうだ。

「学生時代のダチだって、家まで行くとかそう無いもんな。家が近所って訳でもないし、大抵は外で会うくらいだ」
「俺と佐倉さん家の距離って、程よいですよね」
「だな。近過ぎず、遠すぎず。休みに部屋で飯まで食うなんて、お前くらい……」

そこで佐倉が、あ……という顔をした。

その顔に北見は、あの時を思い出した。

そうだよ……。
なのに、あんた青木さんの家に行った。

青木の佐倉を見る目が浮かび、モヤモヤが突然ぶり返す。


「俺にとって、佐倉さんは特別ですよ」

どう取られてもいい。
気持ち悪いと思われたって、そういう変な意味じゃないつもりだ。

正直に言ってるだけ。

「…………」

まただ。
他のことなら、軽く打ち返してくるくせに。

「変な意味じゃないですよ」
「わかってるよ」

そこは即答された。
じゃ、何でそんな顔になるんだ?

こっちは年下だし、会社の後輩だし。
深く立ち入らないで欲しいって言うなら、ハッキリ言えばいい。

なのにあんたは……そうじゃない。
避けてるかと思えば、誘うと戸惑いながらも了承する。

鬱陶しいなら、とことん避ければいいんだ。

友情にしては濃いようなこんなの、俺だって戸惑ってるんだよ。

そのことを口にして伝えたいと思ってしまうのは、俺が悪いのか?


「佐倉さん?」
「……なに」
「俺のこと、迷惑ですか?」

その途端、縋るような目をする。

ほら……だから。

だから。

あんたがそういう顔を何度もするから……。

こっちも、どうにかしてやりたくなる。

「嫌がられてるのなら、踏み込むのは違うと思ってます。そこはハッキリ言って下さい」

自分でも何処に向かってるのか分からず、何かの答えが欲しいかのようにそう言った。

「嫌な訳ないだろ」

佐倉が苛々した様子で煙草に火を点けた。

だったら軽く受け流せよ……佐倉さん。
あんたそういうの得意じゃないか。
そうしたら、こんな空気にならないだろ。

機嫌が悪くなったような佐倉に、北見まで苛々してきた。
あんたの態度が余計に、それを増幅させてるのに。


「俺が後輩だから、対等に見ることが出来ない? 年が同じだったら、もうちょっと距離が縮まったのかな」
「それは……」
「倉科主任や……、青木さんみたいに」

佐倉の目が動揺を見せる。

「……なんで、そこで青木が」

目を伏せてブツブツと言う佐倉は、あの仕事の時の自信に満ちた表情とは大きく違い過ぎる。
自分が言いだしたことでも、佐倉が青木の名前に動揺を見せたことが北見を刺激する。

やめろ……。
言うな。

「青木さんは、あなたに好意を持ってる」

分かっていて、言わなくて良い言葉が出た。

いや……口をついて、出てしまった。

人の好意を勝手に憶測して、その人に告げる。
そんなことしたこともないくせに、目も合わせない佐倉の態度に腹が立ってしまった。

「何で分かるんだよ」

……これは肯定だよな。

驚きもしないってことは、知ってるんだ。

「目です」
「……目?」
「あなたを見る目」

佐倉の煙草を持つ手が小さく震えた。




「お前には関係ないだろ」


スッと顔を上げ、冷たい表情での一撃を喰らってしまった。


「そうですね……関係ない」

そう言われてしまえば、その通りで……終わり。

「すいませんでした。また変なこと言って。青木さんのことは俺の勝手な憶測です。俺、ラインを踏み越えましたね」

悪いとは思ってる。
でも、苛立ちは消えない。

突然ガードを固くされてしまうことに……どうしても苛立つ。
ただの会社の同僚にしたって何度か家を行き来して、それなりに親しくなってるという俺の自惚れから来てるのだろうと思えば尚更に。


「お前は……男が男に好意を持つってことの意味、分かってんのか?」

佐倉が、そう呟いてふっと笑った。

「その好意にも色々あるしな」

そう付け加えて、北見を見る。

「分かってますよ」
「……そうか」

笑った顔に影が射したような気がしたが、佐倉が断ち切るように煙草を消した。


「俺は、お前のこと好きだよ」


優しい顔で、言われた。


「俺だってそうですよ」

北見もお返しとばかりに答えれば、目を伏せてから無理矢理のように笑みを貼りつけた顔で微笑む。


そして携帯の時計をチラリと見て、佐倉が立ち上がった。

「そろそろ、帰らないと。兄貴が待ってる」

え……いきなり?

「起きてからでいいじゃないですか」
「いや、寝てる間にタクシー拾って帰る。でなきゃ、また電車乗るとか言いだすから」

そう言って、さっさと寝室に入って行った。

はぁ…………。
何でこうなる。

俺を好きだって言ったくせに、俺もそうだって答えて結果……いきなり帰るって。

本当に、意味が分からない。

北見がゴチャゴチャ考えていると、風太を抱いた佐倉が出て来た。

風太のリュックを持とうとするから、北見がそれを取った。

「タクシーつかまるまで、持ってます」
「俺を甘やかすな」

冷たく言われても、北見は引き下がらなかった。

「いえ、風太くん落としたら大変だ」
「落とすかよ」
「いいから」

強く言えば、佐倉もそれ以上は拒否しなかった。

一緒に玄関を出て、大通りまで歩く。

途中で風太がくずったが、あやすと又寝た。

二人で顔を見合わせて、くすっと笑う。

「佐倉さん、俺カレーだけは諦めませんからね」

このまま別れたら、このへそ曲りの男に距離を置かれそうで強く言った。

「……わかってるよ。世話になってばっかじゃな」

まるで貸し借り無しだとでも言うつもりか?
何だか、さっきからギスギスした考えしか出来ない自分にも、戸惑う。

タクシーはすぐにつかまり、佐倉が乗り込む。

「ありがとう、北見」
「いえ、またいつでも」

走り去るタクシーを見ながら、どうしてあの人は変なとこに頑ななんだ……と、また思いながら家に向かった。


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~ Comment ~

うーん。

Kiri様。

風太がいて助かったのか?風太は邪魔だったのか?果たして風太がいて助かったのはきちゃみか?ゆじゅきか?

はぁ!モンモンする。

優様…リっくんがいなくなったって拝見しました。残念です(;´д`)そんなわけで本日休みの潤はりっくん通信読み直し中です。

お昼は娘の買ってきてくれたロコモコ…に玉子焼…?ロコモコって目玉焼きじゃなかったっけ?な、潤でした。

NoTitle

kiri様。
北見ーは、自分からもっと仲良くなりたい、踏み込みたい。
て、思う事が初めてなんですかね?!
いつも、人とソツなくお付き合いをこなし、好い人。
自分から欲しがらないから、上も下も右左も、何だかふんわりフワフワ、ゆらゆら、
だからサクラちゃんの関心が自分に一番あって欲しい(でも、本人気付いてない)と思っても、どうやって良いのか悪いのか、上手く行かなくてイライラ。。。
一方、サクラちゃんは、一見あちこち線引きしながら付き合ってるようで実は熱い漢なんで、後輩、先輩、同期からも何だか慕われてるんですよね。
そして、北見ーからの好意は《一緒じゃない》と解ってるからどんどん線引こうとするんてすかね。
踏み込まれたら、自分が辛なる一方やし、こらカナワンー!と。

押し際、引き際が他とは違うと悩み焦る北見ーがもっと見たい(笑)
明日も楽しみにしております。

Re: うーん。

潤様

風太の件は、とりあえず脇に置いといて(笑
お話的には、良い感じに進んでますよ…。一進一退。

北見がグッと攻め込んできた。ラブではありませんが…苦笑

でも、モヤモヤがだんだん止まらなくなってきてます!!
知りたい…。佐倉の挙動不審(笑)と、自分のモヤモヤが。。。

ロコモコは、多分目玉焼きが定番だったかな?長いこと食べてないから、忘…w

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

優様

気付かれましたか?

佐倉、ちゃんと意味を込めて「お前が好きだ」と言いました。
あの言葉の後に…ですから、そういう意味で。
まぁ、北見が勘付くとはハナから思ってませんが、やっぱりか!!

「俺もですよ」と間髪いれず来たよ…苦笑

うん。北見もずーーっと恋愛に関しては受け身だった。イマドキ男子には多いっすね。
けど、今回は佐倉がすぐに引くので…ズン!と前に行ってしまう…。
自分でも「?」なままのくせに、踏み込んでしまう。

そういう色んなことで、北見も戸惑い中~。で、答えが欲しいから余計に行っちゃうんでしょうね。

佐倉は、好きでも恋愛まで望んでない訳ですし。この引き方は、隼とはまた違うっつー…。
でも好きだから、見ていたいし一緒に居ると楽しい。近づきたいけど、自分のライン内で。
それが北見をまた、イライラさせる…という。

なんつーヤヤコシイ男だ!!
北見…頑張れ。君に全てかかってるかもしんない…(´`)=3

有難う御座いました☆

NoTitle

こんばんは。
サクラちゃん『好き』っていちゃいましたね。😊
でも北見くんにはどう言う好きかわからないよねー。
『好き』って言葉を言いたいし言われたいで〜す。
胸がキュンキュン。自分のことみたいにドキドキしてます。

Re: NoTitle

まなちゃん 様

割と堂々と、お前が好き……と、言いましたね(〃艸〃)

勿論、ノンケ北見がすぐそっちに結び付けるとは思ってなかった確信犯なんですけど。
それでも、即答で「俺も」って言われると……複雑~。
ほんと、恋心って理屈じゃない!ハタから見てると我儘なんですが、そんなもんですよね。

キュンして貰えて、良かった……(*´-`)

有難う御座いました☆

NoTitle

そうそう、そうよ。青木さんち行ったのに忘れてたな?佐倉さんってば。
青木さん、不憫だ…Orz ←いつもコレ(笑)

北見クンといるのは佐倉さんにとって拷問に近いのかな?(^^;
『特別』とか言われて、舞い上がったかもしれない。
でもきっと、自分を戒めるんだろうな。
好きって言っちゃったって、返ってきた『好き』は自分とは違う意味ですもんね。
いきなり帰ると言い出したのも動揺してるんだろうなーとか。
好きな人と一緒に居るドキドキと、好きな人ががノンケというイライラ?
北見クンのターンでは佐倉さんの心情を思ってハラハラしてる私がいますよ。(笑)
そのハラハラも楽しいんだけど♪

風太クンの『いいよっ』はコレで終わり?
親子3人で幸せそうでした~。(親子違う)
また出てきてくれるかな、風太クン❤



★流涎ではない小屋

リクローがモテない件…(´・ω・`)
https://twitter.com/SutekiDesign4u/status/653772758216609793


では。ヾ(^_^)マタネー

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Kiri様、今晩は。
楽しい公園ピクニックからのあらあら~(^_^)な展開になりましたね。
気持ちを込めて「好き」と言ったものの(確信犯だったんですねっ)、前の展開から考えると北見くんの即答は言わせちゃってないかい?と思いました。
青木(呼び捨て失礼!)の名前が出てからムキになってましたよね?
売り言葉に買い言葉とは違うかもしれないのですが(^_^ゞ もし、あそこで「おれも好きです」って言っていたら展開が変わっていたのでしょうか?(笑)
ラブラブが苦手な佐倉さんのキュン死地雷(爆)が爆発するかもですね~(*≧∀≦*)
限りなく腐腐腐エリア(笑)に近いニュートラルゾーンにいる北見くんにはコメ様がおっしゃっていたように前後左右ガッチリ!と佐倉さんの逃場なく固めて頂きたいです(どうかな~)
どんなカップルになるんでしょうね?毎日の展開を楽しみにしています💠

Re: NoTitle

トーヤ様

そう、青木はそういう役割ww

どーもザンネンなイケメンのあの人とかぶりますねー。
ま、こっちはずっと大人ですし……。一応は既婚者なので、また違うと言えば違いますが。

ううん。佐倉は北見と居るのは嬉しいんです。そこはもう、素直に嬉しい。
こうやって、迫って来られると逃げ出しちゃうんですけどね…。
いつもは自信に満ちている男が、好きな相手の前では逃げちゃう。
これも恋ですねぇ…。避けたい時もあるけど、やっぱり一緒に居るのは楽しくて嬉しい。

本当に見てるだけで、時々危ない冗談言い合ってる距離なら大丈夫!
でも、北見は天然入ってるんで…笑

風太はまた何処かで出ますよ~。
なんせ、兄がくたびれております故…。また連れて来そうです(笑

あはは。この比率って男女もちゃんと出てるんだなー。
成程…ベースって目立たないもんね。
でも、私の周りのバンドマン、ベーシストが多いな。。。(仕事関係の人や、友彼とか)

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

鍵コメT様

きゃおーん💙
風太……!!

有難う御座います~♪

3歳児って、月齢によっても違いますもんね。

癒しを頂きましたー!

Re: タイトルなし

てらぴぃ様

ちょっとね、ヤケになって言っちゃった部分もあると思うんですよ。

どーだ、ノンケ……。気付ける訳ないだろ?
みたいな、ちょっとした挑戦的な。

ここらへんは、そう細かくは考えてはいないでしょう。
ほんと、弾みもあるだろうし。

言っちゃってから、気付かない北見に、ある意味物凄ーくホッとしたとも思います(爆
だって言うつもりなんか、ハナっから無い人なので…。

佐倉が「好き」って言ったことに、北見が大きく動揺した方がかなり慌てるよね。
でも、結果は同じだと思います…今は。佐倉が、全然恋愛に積極的じゃないもん。
上手くまた誤魔化してしまってたでしょう…。で、北見はどっちみちイライラ(笑

この2人は、甘い系ではないですねー多分。
佐倉が大の苦手!!なので…。でも、もしかして?フフフ…と、妄想で(//∇//)

有難う御座いました☆
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