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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 62

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来た電車に乗って、わりと混んでる車内で並んで立つ。

互いに無言のままで、数駅乗って一緒に降りた。
沿線を乗り換えてから、空いている席に並んで座る。

その間、北見はずっと何とも言えないような気持ちでいた。

「佐倉さん」

その正体が分からず、この沈黙も何だか嫌で北見が口を開く。

「ん?」
「俺……今、凄い何とも言えない気持ちで」
「どうした?」

佐倉がこっちを見て、問いかける。

「青木さんに、ちょっとムカついてて」
「……は?」
「もしかしたら、これって嫉妬かもしれないんですよね」

佐倉の眉がしかめられるのを見て、北見が慌てた。

「あ、俺何言ってんだろ……。気持ち悪いこと言ってるな」
「……何で嫉妬なんだよ」

ボソリと佐倉が呟く。

「いや、自分でもよく分からなくて」
「分からないなら、言うな」

あれ?
……怒らせた?

「中坊か」

佐倉が小さな声で呟いたが、ハッキリと聞こえた。

「え?」
「あるだろ……そういうの。いつも仲良くしてるダチが、他の奴と親しくしてるとちょっと取られた気分になるような」

そういうのを感じたことは、今までにない。
けど、佐倉がそう言うのならそうかもしれない。

「う~ん……そうなのかな」
「そうだよ」

断定するように言われて、ムッとした。

「何で分かるんですか」

北見がムッとしたまま問いかけると、佐倉が唇を舐めるのか見えた。

「……じゃ、他に何があるんだ。男が男に嫉妬なんて」

それを言われたら、即答なんか出来ない。
佐倉の言う通りだとも半分は思ってるし、でも決めつけられるとムッともする。

第一、正直にちょっと零しただけだ。
軽く受け流してくれればいいのに、ムキになられてこっちもムッとしてしまう。

「気持ち悪いですか?」


「……そうだな」

その答えがショックだった。

「別に好きだとかまで言ってませんよ。ただ、モヤモヤするから正直に言っただけで」
「そういうことを簡単に言うな」
「……何でですか。そんなにムキにならなくても」

普段の佐倉なら、笑って流しそうなことだと思うから言っただけなのに。

こうやって時々、何かの地雷があるんだよ。
それをどうやら俺は、たまに踏んでしまうようだ。

佐倉が片手で口を覆って、ため息を零しているのが耳に届く。

時々、際どい冗談を飛ばしてきてたのは……そっちだろ。
何で俺が言うと怒るんだよ。

「佐倉さんって、わりと偏見あるんですね」

何も言わずため息を吐かれて、だんだん腹まで立って来た。
言葉に詰まる佐倉に、ちょっとがっかりもしてる。

偏見を持つのが良いとか悪いとかじゃなくて、勝手に決めつけられたり気持ち悪いと言われたり。

今だって「そんなことない」と言えばいいじゃないか。
営業マンなら、それくらいサラリと言えるだろう。

黙る佐倉に、北見も更にムキになる。

「俺は……青木さんの、佐倉さんを見る目にモヤモヤしたんですよ」
「え……?」

やっとこっちを向いて、反応を見せた。

でもこれ以上はさすがに言ってはダメだと思う。
自分の勝手な憶測で、人の好意を告げ口するようなこと。
ましてや青木は親しい相手でもないし、仕事上で関りのある人だ。

「気持ち悪いこと言って、すいませんでした」

まだ腹は立っていたが、気分を害させたならと思って謝った。

「……いや、ごめん。俺の方こそ過剰な反応した」

そう言って俯いた横顔から見える睫毛が、震えてるように見えた。

どう声をかけようかと思っていると駅について、北見の隣に大学生らしい女の子が並んで座っった。

沈黙が流れ、北見は顔を上げる。
電車内の広告に目を走らせても、文字が頭には入ってこない。
チラリと横を見れば、佐倉は俯いたままだ。

ごめん。
そう言ってくれたけど、やっぱり気分を害してるんだろうか。

いつもなら大抵は軽く受け流してくれる人だったから。
その甘えが自分にあったのだろうか。

「……北見」

俯いていた佐倉が名前を呼ぶ。

「はい」
「お前は……」

そこでまた言葉を止める。

何だよ、一体。

「何ですか? 途中で止めないで下さいよ」
「うん」

素直に頷いて額を片手で覆う。
でも、そこで止まったままで何も言わない。

「言って下さいよ。気になる」
「いや……」
「怒ってもいいんですよ。悪気無いにしても、ちょっと踏み込んだかなって自分でも思ってるし」

佐倉が座席にもたれ目を閉じた。

え……何なの?

北見が横の佐倉の顔をジッと見てしまう。

隣の女の子は携帯を持って二人で眺めて会話してるのが聞こえるから、こっちの話は聞いてないだろう。
いい年した大人の男二人が電車内で軽く揉めてるなんて、あまり自慢できるものじゃない。

「……あれですよ。佐倉さん、カレー食わせるって言っといて、自分はさっさと他でビーフシチュー食ってるから。それで、嫉妬した。……そう思って下さい。下らないでしょ?」

北見が場を持たせるように、あえてバカみたいな言い訳をした。

佐倉が目を開けて、薄く笑う。
さすがに今のはバカな言い訳だって気付いてくれたようだ。

そういうことにしておいてください。
俺だって、何もあなたを怒らせたり、気分を害させたかった訳じゃないんだ。

「カレー食わせるまで、しつこそうだな」

佐倉が意を汲んでくれたようで、そう答えた。

「はい」

北見もニッコリと笑って返すと、笑うけど……まだ、どこか苦い顔。

さっき言いかけた佐倉の言葉の先を知りたい気持ちはあるけど、しつこく問いただすとまたシャットアウトしてしまいそうで出来なかった。
その場を丸く収めようとしてしまう、俺の悪い癖。

「そうだ。この間、風太と電話で少し話ししたんだよ」

佐倉が思いついたように、話題を変えた。

「お前のこと、忘れてたぞ」

クスッと笑う顔を見て、やっと少し気持ちが浮上してくる。

「……薄情だなぁ、風太」
「結構経つもんな」
「うちの甥っ子や姪っ子達も、同じようなもんですけどね」
「そんなもんか」
「定期的に会ってないと毎回、この人誰? って顔される」

佐倉がくくっと小さく声に出して笑う。

あぁ、俺はこうやってこの人に笑っててもらいたいな。

「じゃ、もし次会うことあったら……お前の顔みてどんな顔するか想像しとく」
「意地が悪いな」
「ははっ」

やっと元に戻ってきた空気に、北見も笑う。

そこから駅に着くまで、佐倉から風太との訳のわからない会話を聞きながらずっと笑っていた。

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~ Comment ~

佐倉さんに萌えた!!

佐倉さんかわいいーー!自分の気持ちが何なのかわかってない北見くんに振り回されて…。北見くんはわかってないからこそストレートに言っちゃうのかな。。。?罪な男だぜ(^_^;)佐倉さんは昔のトラウマからノーマルと恋することを諦めてるねぇ。にしても今回の態度は北見くん傷つけちゃったかなー(・_・)とおもいました!!

Re: 佐倉さんに萌えた!!

なおなお様

ノンケ故に、ストレートに来る北見。深い意味まで考えないで、言っちゃうんですよね…。
これが結構残酷なんですが。北見に罪はない。

そして佐倉は何度も言いますが、男との恋愛には抵抗があるんですよ。これが偏見とも言えるんですけど。

ノンケ×バイ。お互いに恋愛に行くまで、少々傷つけ合ったりもするでしょう。
そこで「もういいや」ってサジを投げるなら、それまで。ガンバレー!(´艸`*)

有難う御座いました☆

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Re: NoTitle

鍵コメe様

はい、こっちに転がりましたww

北見、結構思ったことを口にするんです。
もちろん、何でもかんでもじゃないんですけどね。

佐倉も結構きわどいこと言ってきてたし。
そこで、この反応…。

また「?」が増えてしまったダケという(笑

北見はついつい、場を丸く収めてしまう習性があって、これは自分でも気づいてる処。
けど、決して欠点ではないので。
それがいつもいつも功を成すとは限らないだけで…。

今回は、佐倉さんそれに救われたかな?

有難う御座いました☆
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