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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 61

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食事をしながら見合いの件を話す。

「どうする気?」
「え?」
「するか、しないか」
「しない」
「じゃ、悩んでるんじゃなくて、話ながら整理してる段階だ」

ニッコリと微笑まれて、確かにその通りだと思う。

「そうだな」
「吐き出せる相手は選ばなきゃだけど、口に出した方がいい」

うん。
今まで、こんなことを誰かに話すなんてことは考えたこともなかった。
兄には言えたって、それは単なる甘えだ。

吐き出して、青木の言う通り整理がついてきたような気がする。

「顔を潰すだなんだ言われて、勢い余って俺の知ったことじゃない……なんて言っちゃって」
「単なる親子喧嘩だよ。何処の家でもある」

そうか……うん。

「俺は三度見合いして、する度に落ち込んだ。皆を騙してるような……どうしようもない罪悪感で」

三回か……。
親がどれだけ一人息子に期待をしていたのかが伺える。

「俺の場合、どの道を選択しようが偽りは付いて回る」
「で、悩んだ末に友情婚に行きついた?」
「そう。これが正しいかどうかより、もう歩き出したから。だったら、悔やまないように生きようって思ったんだ」

そこからポツポツと結婚にまつわる話を、二人で真剣に語り合った。

*

結構長い間話し込んで、二本目のワインも無くなった。

「もう一本飲む?」

青木がワインラックを見ながら言った。

「いや、そろそろ帰るよ。溜まった家のこともしなきゃならないし」
「そっか……残念。でも、そういう約束だしな。了解」

あっさりと引きさがってくれて、本当に友人から始めようとしてくれているんだと感じた。



「来てくれて有難う」

青木が微笑んで言う。
こうやって部屋に来ただけで、喜んでくれてるのか。

「ご馳走様」

愚痴聞いてもらって、飯までご馳走になって……あっさりと帰る自分。
目の前の青木は、別に文句を言うでも無い。

玄関で靴を履いて向き直る。

「何かあったら、いつでも呼んで。馳せ参上する」
「……ありがとう」
「送るよ」
「女扱いするな」
「ちょうど買い物があるんだ。途中まで」

***

北見がキリの良い処で仕事を終わらせ、時計を見れば午後の三時。

今日はデパートの地下街で、美味いおかずでも買って帰ろう。
帰って家のことをして、溜まった録画番組を見て酒飲みながら……。

今のノンビリとしたプライベートな時間を、北見は楽しんでいた。
寂しくないのかと聞かれるが、今の処はそれはない。
今は仕事で頭の九割は占められてるし、そこへ女の子への気遣いまでプラスする余裕がない状態だ。

男同士で気の合う人と居る方が、今は楽しい。

電車を一駅だけ乗って、繁華街に向かう沿線に乗り換えた。



デパートで惣菜を買って、乗り換えに便利な隣町までブラブラと歩く。
途中で大型の本屋に寄って、欲しかったIT関連の本も買った。
駅に向かう途中の交差点で信号待ちをしていると、同じ側の向こうの方に佐倉らしき横顔が見えた。

え……ウソ。
目を凝らすと、やっぱり佐倉だ。

何でここに?

凄い偶然。
と言っても、会社からすぐ近くの繁華街の外れなんだけど。

スーツ姿で、仕事帰りのままのようだ。

声をかけようと思ったが、高梁がデートだなんだと言っていたから一人じゃないのかもしれないと首を伸ばして見る。
佐倉の左右を見ても、女ではなく男だ。

北見が見ていると、佐倉の向こう側に立っていた男が耳打ちをしているのが見えた。
横顔だったのが、その姿勢で正面から見える。

……青木さん?

間違いない……後藤商事の青木だ。
いつものスーツ姿ではなく、普段着だから気付かなかった。

なんで……?
偶然会ったのか?

信号が青になり、人波がドッと交差点を横断し始める。

方向が同じだから、北見も少し離れた場所から後ろをついていくような形になった。



佐倉は駅の改札を抜けて行った。
どうやら青木は駅まで送っただけらしく、改札には入らないままで佐倉を見ている。


あ……。
この人……佐倉さんに凄い好意を持ってる。
あからさまとも言える視線に、北見は会社での一件を思い出す。

佐倉の方と言えば見送ってくれているのも気づかず、さっさとホームの方へ歩いて行き、一度も振り向かず階段を上がって行った。
青木は姿が見えなくなってから、駅の柱に寄りかかって携帯を取り出した。
その口元が緩んでいる表情に、何とも言えないざわめきを感じながら北見は改札を抜けた。

ホームの方へ向かって階段を駆け上がると、佐倉がベンチに座って携帯を眺めているのを見つけた。

「佐倉さん」

声をかけると、こっちを見上げて驚いた顔をする。

「……な、んでこんなとこにいるんだよ?」

北見は佐倉にデパートの袋をひょいと上げる。

「あ……買い物か」
「そーです。ちょっと贅沢しようかと思って、仕事の帰りに」

佐倉の横に座って、袋の中を見せる。

「……侘しいヤツ」

クスッと笑って自分を見る目で気づいた。
お酒飲んでる……。
こんな時間に?

一応は休日なんだし仕事は終わったんだから酒を飲んでもおかしくない。

佐倉の携帯の音が鳴り、またメッセージを打ち込んでる。

口元を綻ばせながら……。

ザワザワと何かが胸に湧いてくる。

打ち込んでから携帯をポケットにしまって、こっちを見た。

「悪い」
「いえ……。女とデートだって、高梁くんがボヤいてましたよ」
「は? ……あいつ。余計なことを」

要らないことを言ったとは思いながら、心は平穏ではなかった。

「佐倉さんが振ったから、ランチは俺がお付き合いしました」
「あ、そうだったんだ」

やっぱり少し酔ってる……。


「青木さんと一緒でしたね」

これも言わなくてもいいことだ。

「え……。あ、見かけた?」
「たまたま交差点で、前を歩いてたんで」
「……凄い偶然」
「得意先の人と休日にわざわざ会うなんて、仲良いんですね」

素朴な疑問に聞こえるだろうかと思いながら、口にした。

「うん……。年も同じだしな。ずっと誘ってもらってたから、昼飯くらい一緒にいいかなって」

やっぱり、約束は青木さんだったってことか。

「昼飯、何食べたんですか?」
「ビーフシチュー」
「今度、俺も連れて行って下さいよ」

後輩だから甘えてみた。

「あー……それは」

口ごもる佐倉に、北見が首を傾げる。

「会社からも近いし」
「……違うんだ」

何が?北見が目で問うと苦笑いする。

「青木が作ったんだよ。で、仕事の帰りに食べに来ないかって言われて」
「家に行ったんですか?」


「……まぁな」

一拍置いて返事をした佐倉に、嫌な感じがした。
けど……自分も根掘り葉掘りと先輩のプライベートを聞き出して、もっと嫌な感じだ。


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~ Comment ~

そう!
そう!
いい感じになってまいりました〜⁺ପ( * ु°͈ᗜ​°͈)ु
さぁ、悶々とするのだっ!
kiri様甘々だけどドSだから!
すんなり行くわけないっ。

明日も超楽しみですっ!!

Re: タイトルなし

あすか様

ジリジリと炙って、炙って~
焼けてきました…笑

ちょっと焼き目がついてきたかな…。
嫉妬という名の(〃艸〃)

あはは、そうです…。
いきなり火力を上げることはしません(笑

美味しく焼けるまで、またジリ…ジリ…と進みます!

有難う御座いました☆

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Re: NoTitle

鍵コメe様

そう、体調が悪いとお酒も喉を通らないし。
ヤケ酒は、悪酔いするし…。やっぱり、喉を通る時「美味い!!」と思えるのは、幸せ…。
と、酒飲み友が言ってました(笑

佐倉はバーに行って、そういう中に居ても誰かと個人的に親しい訳じゃない。
当たり居触りない話はするだろうけど、深い話まではしないよね。
そういう意味じゃ、青木は結婚というキーワードで思い切ったことをした人。
理解出来なくても、ところどころでは分かる部分もあったりもする。

そして北見。ノンケ故に、すぐにそっちには結びつかないのは仕方ないw
ちょっとした嫉妬ですが、これだって理由なんて探したらこじつけで見つかる。

今の佐倉は、片想いを成就したいとまだ思えないもんで…まだ弱いかなー北見くん。
でも、ザワザワ…兆しはちゃんと見えてる。腐女子から見れば、ラブに向かってますよねー\(^o^)/

有難う御座いました☆
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