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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 60

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土曜日の午前中に施工中のビルに顔を出し、そのまま社に出る。
デスクワークを済ませ、時計を見るとちょうど昼にさしかかった。

パソコンを閉じてから携帯を見れば、青木からメッセージが届いていた。

――こっちはいつでも準備OK

口元を綻ばせて携帯をポケットに入れると、ちょうど立ち上がった高梁と目が合った。

「主任。ランチ行きませんか」

今日は会社は休日で、昼飯の時間も皆自由だ。

「いや、今日はもう上がる」
「じゃ、付き合って下さいよ」
「ダメ」

立ち上がって上着を着込む。

「約束があるんだよ」

ニッコリと笑って手を挙げて、そのまま部署を出て行った。

***

「アレ、デートですよ……絶対」

北見が昼飯を買いに行こうと乗ったエレベーターで、ちょうど高梁と乗り合わせ、そのまま近所の蕎麦屋に入った。
主任に振られたのだと言って誘われたので、一緒に来たのだ。

注文を済ませた途端、高梁が放った言葉に北見は目を瞬かせた。

「佐倉さんのこと?」
「そう。あの人、基本仕事愛しちゃってるじゃないですか? 休日出勤したって、こんなに早く会社出るとか今まで無かったし」
「そんな理由かな……」

部屋の掃除とか洗濯とかもあるだろうし、そもそも休日出勤だ。

「だって帰り際、携帯見て微笑んでたんですよ?」
「それでデート?」
「女だ……絶対」

拗ねたような顔に、北見が首を傾げる。
まぁ……俺も、気になる処だけど。

普段から頻繁に連絡を取り合ってる訳じゃないが、それらしい素振りや話は聞いたことがなかったからピンと来ない。

「佐倉さんに彼女が出来たら不満?」
「う~ん……」

考え込むから可笑しくて、北見がクスッと笑った。

「ワーカホリックの主任が好きなのかな~俺。女にデレてる主任は見たくないっつーか」

随分と勝手なことを。
とは思うが、分からなくもない。

うちの部署の女達も、佐倉のストイックな部分が良いのだと言っていたし。
確かに……女にデレている佐倉は想像出来ない。
っていうか、同じく嫌だと思う。



そこへ蕎麦定食が運ばれて来て、二人で手を合わせて食べ始める。

「北見さんは、相変わらず彼女無し?」
「うん」
「また、飲み会行きましょうよ。この間の知佳ちゃんが、北見さんは来ないのかって」
「いや……いいよ。俺、今ほんとそんな余裕ないし」

主任になってから自分の仕事だけじゃ済まなくなって、時間の配分がまだ上手く出来ない。
少し前にSビルの案件の修羅場を何とか潜って、残りの残務中。
次の修羅場までに終わらせないと。

「北見さんも、主任ですもんね。俺もいつかそうなったら……佐倉主任みたいに出来るか自信ない」
「俺だって無いよ。目の前のことを一つずつ処理するので必死だ。皆、最初はそうなんじゃないの?」

営業とシステムじゃ仕事内容は全然違うから、一概には言えないけど。

「主任、北見さんのこと好きだもんな」
「え……」

好きという言葉に一瞬だけドキリとするが、そういう意味じゃないくらいは分かる。

「あの人徹底した営業マンで愛想は良いんだけど、好き嫌いはハッキリしてるんです。素になると、ほんっとキツいし。でも、北見さんには優しい顔をするから」
「……そうかな」

そういう風に言われると、嬉しい。

「この間、主任のデスクで北見さんがパソコン弄ってる間、主任が北見さんをジッと見てたし」
聞きようによっては意味深に聞こえるが、高梁はあっけらかんとしてるのでそういう意味じゃない。
これが男女なら、そっちにでも考えられるけど。

でも、俺も感じてた……。
佐倉の視線が自分に向いているのを。
それは、時々感じるモノだ。

「ま、確かに格好イイです。かくいう俺も主任と同じく、見惚れました。俺達ってパソコンの内部はからっきしダメなの多いから。目の前で、キーボードあんな風に神業で打ってる姿見たら、もう」
「そりゃこっちもだよ。商談中の話の運び方、表情の付け方……どれもこれも、凄い」

高梁がブッと吹き出す。

「褒め合ってますね、俺ら」
「いや、適材適所ってヤツ」

***

結局、青木のマンションに来てしまった。

実際、言い方は悪いけど友情婚というモノの暮らしへの好奇心もあった。
自分が見合いの話でまた「結婚」のキーワードが再浮上したからって都合良いけど。

マンションの作りは、俗に言うファミリータイプだ。

「家賃、高いだろ?」

リビングの中央で佐倉がグルリと部屋を見渡す。

「いや、ココは分譲」
「うへ……スゲ。やっぱ、既婚となると違うな」
「親が頭金出してくれた。ローンは払ってるけどね。けど相場の家賃よりは、月々の支払いは安い」

うちの親も兄貴のマンションの購入の際、出してたな。

「俺も……言われた。結婚が決まれば、マンションの頭金出してやるってさ」

そんな言葉で「じゃ、結婚するよ」なんて答える訳がないのに。

「ま、とりあえず上着脱いで座って。昼飯食べながら話しよう」

佐倉は頷き、テーブルに着く。

部屋には料理の香りが充満しているから、テーブルに着いた途端急激に腹が減って来た。

青木は手際良く炒めものをして、皿に盛る。

「何か手伝う?」
「いや、お客様だから。温めるだけだし」

ニッコリと笑ってテーブルに置かれたのは、たっぷりのレタスの上に乗ったキノコの炒めもの。
バターの香りが食欲をそそる。

「うわ……美味そう」

北見にも手料理をご馳走になった。
今時の男子は、料理も出来ないとダメなのか?
でも、あいつもレパートリーは十種類くらいって言ってたもんな。

「こっちがメインね」

コトリと置かれたのは、前に言っていたビーフシチュー。
カリカリに焼いたフランスパンも横にあって、これも美味そうだ。

「涎出そう」
「昨日の夜から煮込んだから」
「手間かかってんだ」

青木がワインのボトルを上げて見せるから、佐倉も頷いた。
仕事は終わったし、明日も休みだ。

ワインで乾杯して口に含んで、また驚く。

「美味いっ」
「奥さんがソムリエの資格持ってるから、ワインの選択は任せて」
「なるほど」


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~ Comment ~

何か期待してもいいですか?

いい感じの2人ですよね。佐倉の警戒心も緩くなってるし、かといって青木も
変にがつがつしていない自然体!!雰囲気がいいですね。
しかも自宅ときたもんだ。雰囲気に流されないで~。
(でもチョッとは流されてみるのもいいかも♪)

バイといえども北見に対しては恋愛感情を完全に意識していますよね。
この感情の変化がどう行動に出るか楽しみです。
北見や青木の動きも楽しみ。ホント潤わせていただいています。
ありがとうございます。

Re: 何か期待してもいいですか?

ふらわー 様

何かって?(笑)
なんせ、仕事でも顔合わせるしね。
もちろん、佐倉がそういう隙を見せれば!!青木だって、行くでしょうけど。

とにかく。今は母親という強敵を前に、同じような思いをしたであろう青木に愚痴りたい。
いや、話を聞いてもらえるだけでも随分と違うと思うんですよ。
兄には甘えるだけで理解は難しい。北見にはまさか、そんな話出来ない。
ここは何でもかんでも一人で引っ被るより、理解してくれそうな近くにいる友人(今はw)

青木も様子みながらです。青臭いガキの突っ走りは、もう卒業してもいい年頃だろうし…。
いまは「恋愛」と「好き」を合致出来ない佐倉が、今少しずつ変化してきてる途中です♪
10年前の片想いからこじらせを発症してるので(爆

有難う御座いました☆

愚痴る相手になれただけでも、青木さんは大喜びしてそう。

だって、それだけ佐倉ちゃんが気を許してきたってことなんですもんねー🎵
すごろく、いや人生ゲーム的にいえば、1コマ進んだ気分でしょうか?

佐倉さんの方も色々意識し始めてる。
お酒に弱いのバレたら大変なんだけどなぁ……。


高梁・北見ペア、蕎麦のおかずに佐倉さん(笑)。
主任、と書いて鬼と読む。みたいな会話が面白かった❗
素が違うのも知ってる二人。でも、気を付けてないと蹴りが飛ぶんじゃない?


Kile様。
2組のご飯のギャップ楽しかったです(^-^)/

徐々に徐々に、ですね☆

こんにちは。
以前同人誌のアンケートの時にコメントさせて頂いた天音と申します。
あれから順調に全作品読ませていただいて…
いろんなところできゅんきゅんしたりうるうるしたりしましたが
最後にとっておいた内野と浩太の後半で涙腺が崩壊しましたーーー
(最後まで残してたのは「愛を、くれ。」で内野が結構気に入ってたから☆)
いやあ本当に良かったです。
もうほんと何度も何度も読み返して、そのたびに涙腺崩壊…
素敵な作品を本当にありがとうございます。

(あと商業作品にも少し手を出し始めまして、日高ショーコさんにハマりました)

「片想いのこじらせ方」も毎回楽しみに読ませていただいてます。
読むのは大抵職場の昼の休憩の時なのですが
先日、北見に主任の内示が出て佐倉とやり取りするところを読んでたら
職場の人に「天音さん、顔が微笑んでるよーーー」と…
そしたら今日は佐倉が微笑んでるし!
いやいやいやいやデートじゃなくてもケータイ見て微笑んだりするよねっ
と、妙な親近感… いやなんだかかなり違う気もしますが…(笑)

いや、北見派なので、青木からのメールに微笑む佐倉には「えー!」なんですが(笑)
でも青木もなかなかよい感じのおひとですね。
知るにつれて好感度アップです。

北見と佐倉の関係も少しずつ動き出している気配ですし~
これからの展開も楽しみにしてますね。^^

Re: タイトルなし

ますみ様

新しい出会いで、好感を持つ相手。
これって、恋愛抜きにしたって嬉しいじゃないですか。特に大人になっちゃうと。

何か自分に愚痴を零したい…。あの頑なな佐倉がそう言ってきた。
多分、それだけでも嬉しく思う男心…。

最初こそ、ストレートに口説いてましたが、会う度に慎重になってきてる。
それでも下心は当然ありますけども(〃艸〃)そりゃ、男ですからw

北見よりは、ハッキリと意思を持って佐倉に向かってる青木さん。
親しくなって行くこの段階が、どんな関係にしても楽しいもんです。

有難う御座いました☆

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: 徐々に徐々に、ですね☆

天音様

そうでしたね。確か、気に入ったのを何度も読んで…で、未読がまだあるとか仰ってたような…。
そして、内野&仔犬(あ、もう大人になったんだから仔犬じゃないww
最後まで取っておいた「ここにおいで」を読破して頂いたようで(嬉
残念なイケメン内野さんを書けて、楽しかった…。

少しでも気に入って頂けたら、書いて良かったなーっていつも思います。
それがまた、じゃ次も何か書こうかな…という気持ちになれる。
たまたま気まぐれに書き始めたんですが、皆さんのお声で色んなお話が生まれました!

11時にUPというせいで、皆さんランチタイムか…中にはトイレ読みの方も(´艸`*)
ニヤケたり、ちょっと涙ぐんじゃったり…嬉しいですねー。楽しみにしてくれてるんだな~と思えて。

青木さんは、このお話ではメインではないので「うわー(;´Д`)」って思われがちなんですけど。
彼は彼の役割があって、登場してます。(そんなに重要なことじゃないにしてもw)
今回は悪いヤツは出ないので、ゆっくり楽しんで下さいねー!

あ、ショーコ先生…私も、大大大好き!!全部持ってます。
出たら、必ず買う作家さんの一人です♥

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

鍵コメe様

お~、今日は楽しくビール!お酒を美味しく飲める瞬間は幸せ…と(酒好きの友人がw

そう。青木は気負ってませんでしょ?
恋愛は別にしても、親しくなりたい相手なんでしょうね…佐倉さんは。
年も同じだし、よい意味で社会人として対等で。
勿論、口説き落としたい気持ちは有ります。下心だってあるに決まってるw
でも、彼も大人だし…やはり闇雲に行くよりは、まず「相手を知る」ことから。
今するべきことは、頑なな佐倉さんの警戒を解くこと…。
最初にストレートに行き過ぎて、かなり警戒させちゃったしねw

そして、eさんのお気に入りの高梁くん。
際どいことを色々と…でも、あっけらかんと!俺も見惚れました…って、素直(笑
北見も思い当たる節があるようですが、なんせノンケくんなのでまだそんなにピンと来てない。
今は主任になったことで、なれるまで余裕もないしね。

嬉しいお言葉、色々と…(´A`*)・゚。

有難う御座いました☆
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