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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 44

 ←片想いのこじらせ方 43 →【イラスト】サクラちゃん、八変化ww
佐倉をランチに誘ってから、二日目。
やっと二人で連れ立って、例のレトロな店に入った。

「佐倉さんも、ナポリタンでいいですか?」
「おぅ」

水を飲みながら素っ気なく返事をする佐倉を横目に、マスターに注文をする。

「久しぶりですね、こうやって二人で飯食うの」

少しよそよそしい感じが拭えず、北見が話しかける。

「あ、あぁ……忙しくて」

苦笑いして答える佐倉が、煙草に火を点ける。

「俺、昨日から楽しみにしてたんですよ」

え……というように唇を開いた佐倉の口から、煙が漏れる。

「今日も朝からずっとです。変でしょ? デートじゃあるまいし」

クスッと笑うと、佐倉の目が瞬いた。

あれ?いつもなら、バカだろとか言って突っ込んでくるのに。

「……何か、俺だけ喜んではしゃいでんな」

独り言のように北見が苦い顔をすると、佐倉が首を振る。

「いや……すまん。俺、最近仕事しかしてなくて。ノリ悪いな」
「ですよ。佐倉さん、全然遊んでくれないから」

つい、拗ねたように言ってしまう。

「さ……寂しい?」
「そりゃね」
「お前、友達いないの?」
「失礼な。ま~……確かに、多くはないです。でも、誘えば飯や酒に付き合ってくれるヤツくらいはいますよ」

何故か少し腹立ち紛れな気分で言えば、佐倉が眉をしかめた。

「怒るなよ」
「いや、怒ってるんじゃなくて」
「怒ってるように見える」
「だから、違いますって」

一瞬視線を合わせ、しばらくしてふっ……と互いに笑った。

「すいません」
「いや……お前が感情をそうやって出すの、初めて見た気がした」

佐倉に言われて、自分でもそうだと思う。

「ですね。何ででしょう」
「……俺に聞くのか」

佐倉がまた笑う。
久しぶりに目の前で笑った顔を見て、嬉しくもなった。

多分、友達居ないのかって方向に取られたことにムッとしたんだ。
そうじゃなくて、俺はただ単純に喜んでいたのに。

「また、飯や酒付き合って下さいよ」
「その内にな」

また素気ない。
……仕方ないか。
本当に、このところ仕事に追われてるのは漏れ聞こえて来る。

営業が忙しいと会社も潤うと言うが、そういう意味じゃ貢献してる人だ。
次の人事じゃ、課長になるんじゃないかという噂まである。
ポストが空けば……の話だから、まだ数年先だろうけど。

そこにナポリタンが運ばれて来て、佐倉の顔がパッと輝いた。

あぁ……こういう顔。
もっと見たいな。

そう思った自分に首を傾げながら、フォークを持って食べだした佐倉を見る。

「美味いでしょ?」
「美味いな……何年ぶりだろ」
「え……来たことあるんですか?」
「あるよ。まだ新人の頃かな? 倉科が見つけて」

なんだ……と、ガッカリして自分もフォークを持って食べ始めた。

「同期だった倉科に、ここで愚痴聞いてもらった」

佐倉がポツリと言った。
北見が顔を上げて視線を合わせれば、思い出しているのか苦い顔をする。

「あの頃は、何処に行っても見た目でバカにされてるような気がしてて。被害妄想みたいになっててな。どうやったら老けられるんだって、鏡見て本気で悩んでたんだよな」

佐倉は冗談ではなく、本気でそう思ったのだと言う表情をしている。

「今はもう、大学出たてホヤホヤの奴入って来ると眩しいもんな。俺もそんなんだったんだって思えて、仕方なかったって笑えるけど」

そう話す佐倉は、今だってとても三十には見えない。

顔立ちが幼い訳でもないし、中性的な訳でもない。
なんだろう?
北見はいつになく、佐倉をジッと観察する。

どうも……肌質のような気がする。
男なのに何処かツルっとした感じするから。


ちょっと触ってみたい……。



え……。
何言ってんの、俺。



北見は自分で動揺した。
いやいや、それはマズいだろう。
学生時代に、たまに男同士でふざけてスキンシップなんかはあったけど。

相手はしっかりした大人で、先輩だ。

「セクハラにあったって言ってましたよね」
「まぁな。オッサンも触ってくるんだぞ? 頬とか抓ってきたり。もう、仕事行くのが嫌になって凹んでた」

それと同じだ、俺。
ツルツルした質感を見て、つい手を伸ばしたくなるって処が。


うわ……俺、最低。


目の前の佐倉はそんなことを思われているとも知らず、ナポリタンを口に運んでいる。


今じゃバリバリと仕事して営業でも生え抜きの人にも、そんな時があったのだ。

「それが今の佐倉さんを創ったんですね」
「そうだな……。コンプレックスをバネにしてってヤツ」

ふっと笑って、パスタをガツガツと食べる。

唇の端についたケチャップと、油で濡れたような唇が目に入って、北見は視線を逸らした。

佐倉がナプキンでゴシゴシと口元を拭ってるのが目の端に入る。

「お前も何かコンプレックスとかあんの?」
「あー。有りまくりですけど。でも、結局それも受け入れて足掻いてないなぁ……」

ははっ……と笑って、佐倉がマスターを呼ぶ。

「お前も、コーヒーでいい?」
「はい」

煙草を取り出して吸いながらジッと自分を見る佐倉に、北見が眉を上げた。
ケチャップが口の端についてるのかと、ナプキンで拭いてみる。

「お前はそのまんまがいいよ」
「え?」

「俺は、そのまんまのお前がいい」

静かにそう言って、口元だけで微笑む。

「はぁ……」
「我儘な女に引っかかって振り回されないか、心配だけどな」

そんな心配?

「俺、弟みたいですか?」

そう言葉にして、ちょっと厚かましかったかとも思った。

「いや、そういうんじゃない。俺、弟居ないからそこらへん分かんないし」

首を振って足を組み、窓の外を眺める。


その横顔に、北見は魅入られた。


何と言うか……。
ただ、魅入られたのだ。


高梁が前に言っていたっけ。

少し疲れたような気だるさを纏い、短髪の髪が少しだけ伸びて……髪を切りに行くのも億劫なんだと思わせられる。
綺麗にスッと伸びた鼻梁と、涼し気な眼差し。
形の良い唇から吐き出される煙。

この人、本当に格好イイな……。


俺が女だったら、今この瞬間に恋してたかもしれない。


こんなレトロな店で、それなりの雰囲気を感じさせる佐倉にボーっと見惚れていたら、本人がこっちを見た。

まともに目が合って、どうしようかと思う。
自分がどれだけ呆けた顔をしていたのかを思えば、激しく恥ずかしい。


「何、見惚れてんだ」


……あぁ、こういうとこイイな。

北見はクスッと笑いが零れた。

「こんなレトロな店に、雰囲気出して煙草吸ってたんで」


「レトロな店で悪かったね」

そこへマスターがコーヒーを持って来た。

佐倉がクッ……と声を漏らし、俯いたまま肩が揺れていた。


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~ Comment ~

好き、好き、好き!!

この感じ大好き♪
意識してますね北見。ふっと気持ちが入っているのに自覚なし!コレコレ(笑)
大好物です。

でも、佐倉は自制心が働いていてユラユラしてる。自覚してしまっているから厄介なんですよね。ノンケだけに告ることがカムアウトだし、それで関係が崩れることを考えると怖いもんね。
グルグル暫く続きますよね。楽しませて頂きますよ♪

日々の潤いありがとうございます。

北見くん~!
完全に佐倉さんに惚れちゃってるじゃないですかぁ!仕草のひとつひとつにドキドキして戸惑ってる北見くんにキュンキュンそます。
ほっぺた触りたいとか!大丈夫、セクハラじゃないよ北見君の場合は。
素直な北見君が恋心だと気付くまでまだまだ長いんでしょうか?
早くしないと佐倉さん、青木に口説かれちゃうよ~!

Re: 好き、好き、好き!!

ふらわー 様

北見がちょーーーっと「あれ?」と思い始めました…。
しかし、やっぱりまだ相手が男なだけに「?」な部分が多い(笑

飄々としていた男が、少しずつ変化して行きます。
ノンケ男なだけに、即!!という訳には行きませんけどね^^;

佐倉は告るなんて頭は、一切ないんですよね。想いが叶うことも望んでない。
叶うと困るから…。だって、男同士でなんて有り得ないんです…佐倉には。
エチはOK!なくせにねぇ…苦笑 

枠からはみ出ることを恐れるのは、極当たり前のこと。
ゲイなら、覚悟も出来てるかもしれませんが…。
ココが、このお話が他のとは違う部分です。ややこしい、アラサーなバイ男の片想い…(〃▽〃)

有難う御座いました☆

Re: タイトルなし

おみち様

気が早い(笑)まだ「兆し」が見えてきた段階ですよ…。
あれ?あれれ?…が、少しずつ増えて行きます。

これが男女なら、答えが出るのも早いんですが。
そして佐倉がゲイなら、また違うかな。
でも、佐倉はまだ結婚も諦めきってない人です(そこかしこに願望が出てますw)
想いが成就するのも困る。けど、好き…。ここらへんが、とてもジレジレかな( *´艸`)

このビミョーな年齢もプラスされて、余計にグルグル。。。

有難う御座いました☆

ふむふむ…

北見くんも少~し芽生えちゃったかな~
でも、それが恋だと気付いたとしても、今の関係を壊したくなくて進めないでしょうね…ノンケだから余計に考えちゃうよね。

青木さんみたいにゲイならグイグイいっちゃうんだろうけど、そうじゃないとこが萌えですよ。

佐倉さんは、生殺し状態になっちゃうかなぁ(笑)
こちらも今の関係壊したくないものね。

たしかに、この恋愛に至るまでのふわふわ感…大事ですよね~(*´ω`*)
心の葛藤を妄想できますし…楽しいひとときです(о´∀`о)(笑)

明日も楽しみにしてま~す♪


Re: ふむふむ…

ちぃこ様

北見くんも、少々…佐倉に対してちょこっとグルグルし始めました。

一緒にご飯とかお酒飲むの楽しめる人で。
何でか構ってしまう人(酔っ払い佐倉を放置できなかったりね)
そういう感じの好意はあった訳ですから(//∇//)

ちょっと角度が変化すると、気が付いたら「あらら?」的になって行ってることってありますよねー。

心地良い関係、距離感。突き詰めてしまうのって、怖いじゃないですか。
高校生くらいなら、当たって砕けろ!!アラフォーも過ぎれば、なるように成れ…ですけどね(笑

そう、今の内です…ほわほわ~を楽しんで下さい!
有難う御座いました☆

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Re: NoTitle

鍵コメe様

忙しいのに、一言だけでもと…(´A`*)・゚。

そう…北見くん、佐倉のことジックリ観察。
何で若く見えるのかを考え…出した答えが、肌がツルっ←

で、ちょっと触りたくなっちゃった~。
でも、コレはワカランでもないのよ…。
ヤらしい意味じゃなくても、何か触れたくなるじゃないですかー(セ/クハ/ラ
感触を知りたいっていうのか(笑

でも、ジリッとだけど少々進んだね…。大事なとこよ、うん。

有難う御座いました☆

何故かしら?

kiri様
北見くん、ちょっと佐倉氏の肌に触れてみたいなんて自分でも「なんで?」と疑問符が頭の上に浮かんでるのでしょう。佐倉氏は頑なに男との恋愛はなし。と凝り固まっちゃってるし。解かすのは北見くんだけれども道のりは長いですね。2人の会話が大好きです。ちょっと表現は違うかもしれないけれども、お互いに気になる相手なんだけれども会って話をするだけで幸せ状態の時期かな?
ジワジワの進展がたまらないです。
話はちがいますが携帯電話で開くと夜だったり昼だったりするのですが、携帯電話のPC切り替えにすると11時には読めます。器械の不思議です。

Re: 何故かしら?

美夕様

北見くんはノンケくんなので、男が男に触れる…ってことが、疑問符w
具体的に考えたことなど「0」でしょうしね。

佐倉さんも、エチはOKですが…恋愛は考えられない人。
バイでも色んな方が居ます(ゲイの敵!なバイだなw)

そんな2人が惹かれあってる。片方は、まだまだ恋愛感情までは遠いかもですが…フフ(〃▽〃)
一緒に過ごす時間が、楽しい。今はそんな感じですが、ちょっとずつ動いては居ます。

あ、その時間差ですが…前もどなたかが。一体、どうなってるんでしょうか…。
テンプレ、そろそろ替えた方がいいのかな?でも、変えると読み難そうだし…悩
また時間ある時に、見て見ますね…(いつのことやら 汗

有難う御座いました☆

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Re: タイトルなし

鍵コメr様

北見…むふふ、でしょ?笑

佐倉もねー、距離を置こうとしたって。
所詮、好きなんだし……誘われると、嬉しいもんですよ。

じわ~と、距離が近づいてるのを感じて頂けたら嬉しいです♪

あ、そうなんです。
昨日から、ブログが閲覧できないというお声が…。

私も夕方に外出した時、コメントを承認しようと確認したらば!
入れませんでした。どっか変なとこ触ったかと焦って、他の方のブログにも訪れてみて(笑
そしたらFCブログのみ、全滅でした…。

夜には、自宅PCから入れたのでイラストをUPしたんですけどね。
今日の夕方辺に「やっと入れた」というご報告もありました。

あ、お話を手元に…ですか?あぁ、有難いです…こんな拙いお話なのに。

何か良い方法…ってか、同人誌が一般的ですよね…やっぱり。
どーも、自分の過去作を読むのが苦痛過ぎて(苦笑

いつか、本気でブログを辞める日を考えた時に、そこらへんは何かで残せるように色々と模索してみますね!

有難う御座いました☆
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