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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 41

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佐倉は社を出て、駅前の二十四時間営業の牛丼屋に入り遅い夕食をかっ込む。

金を払って、速足で駅に向かってホームで電車を待った。

額を手で包むようにして、コメカミを揉む。

疲れた……。
ここ最近、仕事を詰め込み過ぎだと自分でも思う。

首を回して、今日はさっさと寝ようと誓う。
明日と明後日は一応は休みだが、家で新しい建材の資料を比較検討しないといけない。
新しい商品がどんどんと出てくる。
自分がまず覚えてしまわないと、示しがつかない。

また首をぐるりと回していると、電車がホームに入って来るアナウンスが流れた。

終電までまだあと何本かあるせいか、電車の中は座る場所があって有難い。

空いてる席に座ってボーっとしていると、ガクンと頭が落ちた。
ハッとして顔を上げて、転寝していたことに気付き焦る。
乗り過ごしたかと思っていると、二駅しか進んでいなかった。

ホッとしたのもつかの間、携帯のバイブが響く。

高梁からのメールだ。

何気なく開くと、そこには数人の男女が固まって写っている写真が添付されていた。

あいつ……。
上司にこんなメールしやがって。

冷めた心で写真を見ると、そこには北見も写っていた。

佐倉は目をギュッと閉じる。

あのヤロウ……。

高梁になのか、北見になのか。
ムカつく思いがするが、行かないって突っぱねたのは俺だ。
断っておいて、俺も勝手だよな。

佐倉は気を取り直し、携帯を見る。

――キャンセルした冷たい上司に、部下より恨みのメールだと思ってどうかお許しを。月曜日より、またバリバリ働きます。

フッと笑って、抜け目のないヤツだと思う。

佐倉は携帯をしまって、シートの背にもたれ掛った。
また眠気が来たら乗り過ごす、と吊ってある広告に目を走らせて……。

佐倉は携帯をまた取り出し、写真をまた見る。
その中の北見を……。

それなりに楽しそうだな。

店の人に撮って貰ったのだろう。
テーブルの横から男女に分かれて六人。
北見は奥に居るが、眼鏡とぬっと頭一つ飛び出したような体格で探す程でもない。

高梁は学生のように、Vサインまでしてる。
北見とは一つ違いだし、場の空気を掴むことにかけては高梁は長けている。

女の子も皆、それなりに可愛い……ように見える。
細かい処までは分からないが、雰囲気的に。


この中に、お前の好みの女はいたか?

佐倉は指で北見の顔の上をなぞった。

胸に来る切ない想いに、慌てて指を退けて携帯を閉じる。

これだ……。
この、何とも言えない気持ち。

嫌なんだよ……これ。
大学時代から、進歩してねぇよ。

心の中の呟きまで昔の口調になった自分に気付き、項垂れるように頭をゴツンと後ろに当てた。

***

解散して駅に向かう時、乗る方向が綺麗に男女に分かれた。

男三人で電車に乗り込み、二駅で高梁が先に降りる。

「お疲れ」

テンションも下がった男達が声を掛け合い、手を上げる。

「飯、旨かったよな」
「北見さん、食べてばっかりでしたよ」

クスクスと笑う保野田に、北見が首を傾げる。

「今日、何か馴染みがいいな~と思いながら食べてたんだけど。途中で気づいたんだ」
「何に?」
「俺、六人兄弟なんだよ。今日の人数で、自然と弱肉強食のセオリーが働いたかも」

保野田が少しの間固まって、その後ブッと吹き出した。

「北見さん、面白いっ」
「いや、笑わせようなんて思ってないよ」

別に冗談を言ってるつもりはないのだが、保野田がやたらとウケたらしく笑ってるのを横目で見ていた。

「六人! 俺、一人っ子だから想像つかない」

良いとも悪いとも言えず、北見は首を捻った。

「実際、こういうのどうですか?」

こういうの?あぁ……男女の飲み会のことか。

「行くまでは正直ダルいけど。行ったら、それなりに楽しいかな」
「また行きます?」
「いや、もういいわ。楽しかったけど、男同士で飲んだ方が気が楽で心地良い」
「あー。それ、わかるなぁ」

ニコニコと人懐こい保野田は、やはり高梁の友人だ。
類は友を呼ぶってヤツかな……。

「けど、今日のはほんとただの飲み会って感じだったから」
「そりゃそうですよ。高梁は、騒ぎたいだけなんだから」
「え?」
「大学の時から皆でワイワイすんのが好きなんです。あいつのストレス発散」
「あ、そうなんだ」

当人同士で、初対面では直接の連絡の取り合いをしない。
名刺の交換も、無し。
それが暗黙のルールなんだそうだ。

だから、どっちも気軽に参加できる。
大学時代からの延長で、サークルのようなノリらしい。

メンバーをSNSで募って、気負わずに参加する。

「基本は男女の友情? そこスタート。で、皆で夏にバーベキュー行ったり。あいつ、そういうの好きだから」
「そうなんだ」
「何度か会って実際気が合えば、自然とカップルになって行きますけどね」

そういえば、ホスト役に徹底してたな。

「俺、何も聞いてない」
「信用してる男しか連れてきませんよ、あいつ。ガッツいてるヤツは、まず誘わない」
「なるほど。俺、今は全然その気無いし」
「ホントに飯食いに来ただけじゃないですか」

ケラケラっと笑って、立ち上がった。

「じゃ、また機会あったら飲み行きましょう」

笑い合って、保野田が電車を降りて行った。

*

電車を降り、時計を見ると結構良い時間になっていた。

さすがに佐倉も仕事を終えたかな……と、今日の報告も兼ねてという理由をつけて、歩きながら携帯にかけてみた。

「はい、佐倉」

ぶっきらぼうな声も、もう慣れた。
仕事に追われてる時はいつもこんな感じだ。

「行ってきましたよ」
「今、帰りか?」
「そうです」
「お持ち帰りは無しか」

そういうのじゃなく、本当にただの飲み会だったのだと説明した。

「イマドキの合コンっていうんですかね」
「なんだ、それ」
「会費の分、腹につめて帰ってきました」

佐倉の小さな笑い声に、ホッとする。
何だろう……こういうの。

「また、飯付き合って下さい」
「……あぁ」

一拍置いてからの返事。

「……寂しいです、佐倉さん」
「え?」
「俺、今日のそれなりに楽しかったですけど。やっぱり佐倉さんとの飯や酒の方が、気持ちが和みます」

酔ってるのだろうか……俺は。
けど、本音だ。

最近、全然相手にされてないような気がして。
あの高梁のように、素直にぶつけてる姿に感化されたのかもしれない。

「……そうか」

なのに、佐倉の反応はイマイチだった。


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~ Comment ~

はうっっ!!

き、北見ーーくん。
き、き、君はどこの養成所で育てられたんだい?!
なんて的確に撃ち込んでくるんやっ!
スナイパーなんか?スナイパーなんやなっ!
見てみ!サクラちゃんを!
見事、命中してしもて、ダウン寸前やがなっ!
ああ嗚呼あゝーーー
怖いよー、恐い。
こんだけ無自覚に射抜いてしまうやなんて、なんて恐ろしいんやスナイパー北見。
あ、明日のサクラちゃんが息を吸っていることを願う。。。ガクッ

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Re: はうっっ!!

優様

高梁も北見も、いわば同じ会社の後輩…。
佐倉の態度の違いよ。電話口の向こうで、口押さえてんでは?

思えば、高梁も散々懐いてるんですが(笑)まぁ、直属の部下だしw
その懐こい、一つ下の男共に感化されたのか…、北見くん甘えておりますねー。
今回は自分でも、ちょっと自覚しつつ。←でも、あくまでも後輩としてw

こんな感じで、後輩を武器(?)にして、ジリジリと無自覚に寄って行く北見くん。
ちょいとつれないのも分かっていても(笑

有難う御座いました☆

Re: タイトルなし

鍵コメr様

そう。ちょっと距離置いてみてるんですけどねー。
大学の時みたいにまで、惚れ込んだら辛いし…。
今ならまだ、そこまで行ってない!

しかし…北見くん、邪気なくジリジリと来る。
こーいう飄々としてタイプの方が、案外タチ悪かったりねw
つれないのも分かってても、平気で静かにくっ付いて行くもん(´艸`*)

有難う御座いました☆

はうっっ!2

kiri様。
高梁くんは、いいんですよ。
だって、好みのタイプではない←
懐こうが上目遣いで見ようが責められようが
怖くない。
それより、数字、取ってこーーい!
て、ケツ引っ叩くのみ。
例えば、スナイパー北見氏が同じ営業やったら、好みのタイプやったとしても、こんな存在にはならなかったかも。
引きこもりなシステムさんで(云ってたよね 笑)タッグ組んだ時に信頼できる相棒に、なる。
一緒に居て心地よいテンポ。
これが同じ営業なら、また違った関係になったかも?
兎に角、兎に角、惚れたが負け。
何?北見ー、確信犯!
ストライクゾーンは無自覚やけど、甘える姿勢は確信犯っ!
そりゃー、兄ちゃ姉ちゃんあんだけ居たら、甘え上手も年季が違う。
さあさあ。さあさあ?!
さあさあさあさあさあさあさあさあっ!



頑張れサクラちゃん。
ゆっくり大きく、深呼吸ーー。

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Re: はうっっ!2

優様

そう、まず見た目から入る…男達(笑
好みだったら、つい目で追っちゃうよね~。これは女もかな…。
で、中身を知って…好きになっちゃいました。墓穴、佐倉(* ハ)

やっぱり営業って、何処かで計算してしまうじゃないですか(職業病…的な
そうでなくちゃ、勤まらないしね。
だから同じ匂いだと、相手の思惑が見えてしまう。

でも!北見は、素で攻撃してくるからなー。
兄2人の力関係を見つつ(この兄2人は、兄弟間でもライバル的な 笑)
姉にそこそこ甘やかされ…。妹と弟には甘えられ。
何でも来い!!の、ある意味凄腕キャラですよ…地味過ぎて分かり難いけど。

>さあさあさあさあさあさあさあさあっ!←煽る、煽るww

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

鍵コメe様

いつもと違う仕事割り当てられると、勝手が分からず疲れますよねー。頑張れー!!

そう。佐倉さん、仕事し過ぎ…。
そない詰め込まんでも…と、自分でも思ってるようですが。
好きなんだねー。何か、仕事って自己実現的な部分があるから。
自分の存在価値をそこに見出す的な部分もあると言うし。
アラサー男子、まだまだ今から!上には上が居る…。でも、余暇も大事だよー。

>やはりグッジョブ、高梁くん!佐倉主任。冷めた目でみちゃダメっ。
>意図せず、北見くんの写真Get。なんてことだーっ。
>さあ。眺めましょ。

はい。高梁くんのおかげで、北見くんの写真ゲット。
これ信史だったら、PCで加工して周りの人を全部削除するな…間違いなく←

抜け目ない高梁!イラッと来る上司も分かっていて、仕事バリバリ頑張るそうです(笑

佐倉もね、過去のこじらせ片想いがなければ…もうちょと「片想い」自体を楽しめるんだと思います。
好きなモノは好きなんだし。
片想いの方が「楽」だもん。男との恋愛は躊躇するし、恥ずかしすぎるそうですがww

北見、ガンガン打って、この頑固な部分を打ち砕けー!!無自覚なだけに、威力ガデカいぞ…。

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

鍵コメu様

電車でバッタリ…。何度かあったら、期待しちゃいますよねw

今回は会わずに、それぞれにお家に帰りました。

そう。もう、ここらへんにしておこう…。
片想いは見てるだけなら、楽しめるんですよ。
ただ関って、相手の色んなモノをぶつけて来られたら…。
それが例え、色の含まない好意であっても!何かしら「期待」が生まれて、辛くなってくる。

自分が叶えたいと思わないからこそ、更にシンドイんです。

ひゃー!きちゃみーーー!!
直メしました…(//∇//)

有難う御座いました☆

NoTitle

合コンが、実はその前段階の’飲み会’だったと判明。
類友・保野田君の情報提供で少し高梁クンが掴めた北見。 モトは取ったし、いいんじゃない?  

そして酔ってるからいつもより素直に電話ー。 次のご飯食べ候補も出来たしね♪
佐倉さんの声の出し方も、 「今の気分は・・なのか? 」 なんて予測がつくくらい親密度が上がってる(いいぞいいぞー)。
好意にモヤモヤがプラスされてるけど、そのうち分かるよ、正体が。 腐


佐倉さんは、写メどうするのかなー?しばらく保存? 永久保存??
北見君の顔、指で撫でなでが可愛かったわ・・・。
そして本人と耳元で会話(電話のやり取りですから! )。
古傷が疼いてる佐倉さん、北見君のお誘いに躊躇してる。うん、同じ轍ふみかけてるモノ。

「だけどー! 今度はハッピーエンドなんだからー!」   って、山の向こうで叫びたい。 こだまが届きますように(笑)。



Re: NoTitle

ますみ様

合コンって言うとね、わりとすぐスケベ心で…って思っちゃうんですが。
高梁くんは、私の長年の友人をイメージしておりまして。
ザ・お祭り男。ワイワイするのが、ただ好き。色事はあまり興味無し!(ホントです
ストレス発散できるそうです。

その上、会社の人連れて行くんだから、当然変な方向へは行きませんよね。

うん、写真はさすがに削除しないだろうね。
なんせ北見が写ってるし。
でも、一番奥で小っちゃいww

佐倉さんの、手を伸ばす気にのない頑なな心。結ばれることを望まない恋心ってビミョーですね。
隼や内野とは違う部分なので、これもまた大変です…。

有難う御座いました☆
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