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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 34

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流された情けない男が二人。
酒を飲みながら、気持ちを共有する。

「結局は、最初の段階がまずかったんですよ。俺が優柔不断で、軽率に頷いたりしたから」
「うん。そこはお前が悪い」

俺も人のこと言えないけどな。

「ですよね。向こうは一生の問題として、最初から真剣だったのに」

あぁ……そうだ。
スタート地点から違えば、後ろを追うモノは取り残される。
それを追わなければ、背中が遠くなって行くだけだ。


「俺、別れた後、彼女の大事な二年半を奪ったんだな……って思ったよ。女にとっちゃ、大事な時期だし」
「あぁ……それ。時間を返して……って、言われました」
「ハッキリ言うな~。でも、それが本音だろ? 真剣にお前に向いてたから出た言葉だ」

深く頷いた北見が息をスッと吸い込み、目線だけ動かして佐倉を見る。

「最後に『女の適齢期舐めんな』って怒られましたよ」

その言葉で、佐倉が目を瞬かせる。

「そこまで言うの? 彼女」
「えぇ、ビックリして」
「カッコイ~」
「……でも、そんな風に言う彼女を愛しく感じた」

愛しい……ね。

俺も、そう思った。
言葉の怨みつらみの中にも、自分を想ってくれた故の傷を感じて。

それも愛情というべきものだと、今は思う。
もしかしたら。
夫婦として一緒に生きて行く時に、何度だって感じるモノではないかとも。

言葉そのものではなく、その裏にある愛情というモノを感じて。


けど結局は、俺も北見もそこにあと一歩……ってとこで躓いた。

「昨日の夜は、有難うと、最後のおやすみの言葉をメールで」
「……いい子じゃないか」
「はい」

「後悔は?」

佐倉が目線を上げて、北見を見る。

「……正直、微妙です。昨日の今日だし。でも、モヤモヤしてたのは取れてるんですよね」
「そうか。まだ、好きなんだな?」

佐倉の問いに、北見が視線を泳がせる。

「ですね。まだ、彼女のことは好きです」

俺も、まだ梓のことは好きだ……。
あんな良い女、二度と巡り会えないだろうと思うくらいには。

でも、違った。
彼女の求めていた愛情と、俺のは違っていたんだ。

*

目を伏せた佐倉の複雑そうな表情に、北見は気付く。

「……佐倉さんは、どうですか?」
「何が?」
「まだ、彼女が好きですか?」
「……好きだよ。でも、結婚しなくて正解だった」

苦そうな顔で告げる佐倉が、弱弱しくみえてしまう。
社会人として先を歩く先輩は、普段はとても頼もしい人なのに。

「結婚願望は、やっぱりある?」
「あるよ」

即答する佐倉に、北見が少し驚いた。

「けど……もう、恋愛に躊躇する気持ちが強い」

自分も同じだ。

「ですよね。次に恋愛する相手は、やっぱり結婚を視野に入れるでしょうし」
「……だろ?」

苦笑いする佐倉に、北見も一緒になって微笑んだ。

「俺、当分はいいな。今回のことで、自分の中の結婚から遠い執着にも気付いたし。結婚自体が、遠い場所にある。何だったら、一生独身でもいい」

北見の言葉に、佐倉がビクッとした。

「え、また変なこと言いました?」
「あ、いや……。けどお前……そんなの寂しいだろ」
「ですね。だから、佐倉さん。時々は遊んで下さいよ」

北見が屈託なく言えば、佐倉の目が少し見開いた。

息を吸い、少ししてから力なく「いいよ」と頷く。

どうしたのだろう。
何だか、ちょっと様子が……。

「そうだな。どっちかに彼女が出来るまでは、寂しい男同士でたまに飲むか」

急にカラ元気のように笑って、酒をグイッと呑む。

でも戸惑っているのが、伝わる。
何でだろう……そんなに凄いことは言って無いのに。

仕事の時とは違う顔。
いつも余裕で人を食ったような感じが、時々無くなる。
素の姿は、どこか危なっかしい少年のような処がある。

「お前ってさ、自分から告ったことある?」

いきなり次はそんな質問をしてくる。

「う~~ん……。そういえば一回だけ。中学の頃にバレンタインのチョコくれた子がいて。友達にやたらと背中押されて、告ったことあります」

そう答えると、佐倉の顔がポカンとした。

「え?」

何か可笑しかったかと、北見が目で問う。

「それだけ?」
「……はぁ」

何だか急に格好悪い思いがして、肩を竦めてみた。

「それって、出来レースみたいなもんだろ」

出来レース?……あぁ、確かに。
向こうがチョコをくれたんだから、好意を知った上でだもんな。

「片想いで、心臓飛び出るくらいの想いで告白……とか無いの?」
「……ありませんね」

素直にそう告げた。

「じゃ、佐倉さんは自分から告ったことありますか?」

男として情けないような気がしてきて、北見も聞いてみた。

「……俺も、無いけど」
「何ですか、それ」
「けどっ」

ムキになる佐倉に、北見が目を剥く。

「心臓がバクバク鳴って、本気で痛くなるくらい好きな奴は居たよ」

絞り出すような言い方に、その時の想いの強さを感じた。

「なのに、告白はしなかったんですか?」

普段の佐倉を見ているとイケイケなタイプに見えるから、これは本当に素朴なる疑問だ。

「してない」
「佐倉さんなら、大抵の女はナビキそうなのに」
「……まぁな」

苦い顔をして、無理して笑ってるような顔をする。

もしかして、友人の彼女だったり?
高校時代そういうヤツが居たから、北見の思考はそっちに流れる。

あまり突っ込まない方が良さそうな表情に、北見はその相手については聞かないことにした。

「けど、いいですね。心臓が痛くなるくらいのバクバクかぁ……」

そこまでの好き……って、無かった。
二十六年生きてきて、それなりに誰かを好きにもなったし、恋愛もしたし、振られたりした。
今回だって、結婚話の入り口まで行ったけどダメになった。

でも、心臓は痛くならなかったな。

一度くらい、そういう想いをしてみたい……なんて。
呑気に思う自分も居る。

「バカになるぞ」
「え?」

佐倉の吐き出すような言い方に、北見が目線を合わせる。

「相手のちょっとした言葉とか態度で、心がグラグラ揺れる。すっごい、シンドい」
「あ……なるほど」
「そんな自分に自己嫌悪しまくって、更に疲れるんだよ」

ふふ……と笑って酒を飲む佐倉が、今度はカッコいい。

「佐倉さん、格好イイ」

可愛いは口に出せないけど、格好イイは口に出せる。



「……何言ってんの? お前」

佐倉が呆れたような顔をして、今度はいつもと同じように笑った。



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~ Comment ~

一生独身でもいいなんて北見くん、爆弾発言しちゃってくれますね。佐倉さんまたグルグル~。
でも北見くんも、佐倉さんの表情の変化に結構敏感ですね。無関心な人のことなら気にならないけど、何故か佐倉さんの事は気になる~。可愛いとまで感じてる。さすがに上司に向かって可愛いとは言えなかったけど(^^)
年上上司でも童顔ネコちゃんなんだよー。北見くん、早く恋に発展してぇ!!

Re: タイトルなし

おみち様

酒飲みが二日酔いで「もう、酒飲まない」って言うのと同じか?←例えが変

結婚話が流れた翌日…。そりゃもう「結婚はいい」って思っちゃうかなー。
一人で過ごす時間に執着してたのも自分で気づいたしね。けど、それがずっと続くとは限らない…。

佐倉さん、分かり易過ぎるんですよ…。この人ww
普段、物凄くクールだし。仕事の時なんか、ほんと鬼ですから。
仕事してる姿から入った北見にすれば「え?」って思うこと多いと思う(笑
バレないように頑張るつもりの佐倉さんですが、北見の「?」が少しずつ増えそうな気もしますよね(´艸`*)

有難う御座いました☆

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Re: NoTitle

鍵コメy様

>この、なんとも言えないもどかしさ&スローペースと ←笑

もうね、ゆっくりと進めてます。
本当に、ジリジリと距離が縮まって行って、気がついたら。。。あらら?みたいなww

少しでも楽しんでもらえたら、嬉しいですー(*゚▽゚*)

…で!!

うわ…うわ…可愛い♥

コレ、イイですか??
あ、ここで色々言うと「何?」と思われるので、この辺にしておいて…(・∀・)

姪っ子さん寝かしつけて眠れなくなってくれて…姪っ子さんグッジョブ!!笑


いや、こーいうのは楽しいです♪
ほんと楽しい!!

近日中に…と思ってますので、ダメならお返事下さい。
無い場合OK!と思って、イきます!!←

よろしくお願いしますー♪

有難う御座いました☆

NoTitle

もしかして、友人の彼女だったり?

く~~っ!(机バンバン)
確かに。 確かにそうなるのはしかたないけどっ!!
違-うっ!  違うのよ北見君ッ!!   ・・・ぜいぜい。

結婚に流され切れなかった男二人。
色々原因はあっても、’彼女’を傷つけ泣かせてしまった事は変わりなく。。

語り合ううちに辿りついた・・片思い。  うわあぁお~~っ!!
佐倉さん、自分の古傷を・・・。 大丈夫ですか?
しきゃも、きちゃみにっ!  あ、風太になった。  ってくらいびっくり。

ひとまず復調したようですが、酔っ払ってるしな。

Re: NoTitle

ますみ様

男の方はこういう時、自分を責めるそうです…。
女は、女同士で「ちくしょー!」と、こっちの方が男らしい…とか(笑

男の人が女の人(元カノや元嫁)の悪口ってあまり聞かないですね。
どこまでも、どこかにロマンを持っている男性ならではでしょうかw

佐倉の古傷は、北見に傾斜した自覚にて疼き始めてますね。

有難う御座いました☆
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