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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 22

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北見の頼りになる面を見て、佐倉は本格的に自分がヤバイ局面に入り込んだような気がしてきた。

呼んだのは……マズかったかな。

あんなに長い時間泣かれたのは初めてで、本当にどうしていいのか分からなかったんだ。
テンパってた自分を思い出すと、めちゃくちゃ恥ずかしくなってきた。

「佐倉さん?」

床で胡坐をかいたまま黙り込んだ佐倉に、北見が声をかける。

「あ、いや……何でもない」
「顔が赤いけど、大丈夫ですか?」

うわ……。

「……格好悪いとこ見られて、恥ずかしいんだよっ」

佐倉が怒ったように言えば、北見が目を剥いた。


そこへ義姉からの電話が入った。

『ごめん! 会議中で』
「いや、もう大丈夫」

事情はメールで簡単に知らせておいた。

『大変だったでしょ?』

呑気な声に、ため息が出る。

「もう、どこか怪我でもさせたのかと思って、本気でパニクったよ」
『それが風太に伝わったのね』
「子供って大変だな」
『大変よ。あ、ちょっとトラブル発生しちゃって夜になっちゃうんだけど……お願い』
「わかった」

電話を切って、北見と視線が合う。

「呑気だ」

ボソッと愚痴が零れると、北見がクッと笑う。

「信頼されてるってことですね」

そうか。なるほど、そうだな……。
お前っていつも思うけど、大抵のことは素直に……良い方に取るヤツなんだよな。
そういう部分を感じる度に、傾いて行ってる気がする。

見た目だけじゃなくて中身にまで傾いて、どうすんだ……。



「家事と育児の両立って、大変だ」
「女の人は、結婚や子供で分かれ道に立つよな。義姉さんも今年の春から、復帰したから。でも、そう簡単じゃないみたいで……今は、キャリアを取り戻すのに必死なんだよ」

義姉が風太を妊娠した時、大きなプロジェクトが上がってメンバーに組み込まれた。
抜擢された仕事と、妊娠。

兄貴は産んでくれと頼んだが、義姉はしばらく悩んでいたようだ。
そして「産む」方を選択したから、風太はここに居る。

生まれてきてくれて、良かった。

義姉も兄も、俺も、俺の両親も……向こうの親兄弟。
皆がそう思ってるだろう。

佐倉は立ち上がって風太の傍に行き、そのふわふわの髪をゆっくりと撫でる。
あんなに泣いて困らせたちびっ子モンスターが、天使のようだ。

柔らかな頬に触れ、すくすくと育つことを心から願う気持ち。

「可愛いんですね」

隣に座る北見の声に、頷く。

「こいつが出来た時……義姉さんが、凄い悩んでたの思い出して。生まれてきてくれて良かったなって、しみじみ思ってさ」
「産むのを決めるのは、女性の最大の権利ですから」
「だな……。男は、その決断に従うしかない」
「男は要らないけど、子供は欲しいって人もいますからね」
「母性って最強だな」

佐倉は立ち上がってキッチンに立つ。
キッチンから見える位置から北見にコーヒーを飲むかと聞けば、頷いた。

「そこ開けたままだったら見えるから、こっち来いよ」

北見が立ち上がって、こっちに来る。

北見が……俺の部屋に居る。

突然、改めてそんな風に思って。
また、ドキリとした。

*

コーヒーをテーブルに乗せると、北見が頭をペコリと下げて手をつけた。

「インスタントだぞ」
「ウチもですよ」

そうなんだ。
また、北見の情報を一つ知る。

「俺、神経質にみられるんですけど、そーでも無くて」

自分で言って、笑う。

……知ってるよ。

「ほんと、コーヒーもサイフォンとかで淹れてそうなイメージ」
「え?」
「一番最初はな」

今は違う。
思った以上に気さくで、優しくて、あまり細かなことは気にしないって知ってるよ。
お前のこと、もう四年以上前から気になって見てたけどな。
その時の勝手なイメージだ。

お前が部署替えになってからだ。
遠くから眺めていただけのお前を色々知って……好意が減るどころか増えて行ってる。

「ここ車だと、距離が凄く近いんですよ」

あぁ、そうか……。
タクシーで駆けつけてくれたんだったっけ。
速いから俺もビックリしたよ。

「電車だと、直線じゃないからな」

お前を見た時、俺……ほんとホッとしたんだ。

「物件探してた時、こっち方面にもそういえばあったな……」
「何軒目で決めた?」
「二軒目」
「早っ。俺なんか、七軒目」

そこからしばらくどんな部屋があったかと二人で話す。

あぁ、こういうの。
こういう他愛ない話をしている時が、楽しい。

コーヒーのお代わりを淹れていると、北見がぐるりと部屋を見渡す。

「ここが佐倉さんの部屋か~」
「やめろよ。粗が見えるだろ」
「思ったより普通で」
「だろ?結局は無難な部屋と家具」

また、くくっと笑う。

「今度、お前の家で飲もうかな」

冗談で言って、そこに下心が混じる自分。

「どうぞどうぞ、是非。広さも間取りも、同じく無難」

そう言ってから、少し身を前にして寝ている風太を確認するように見た。

「北見、子供欲しい?」

いや、これは普通の質問。
……変な意味じゃない。
なのに、こんな会話にまで心臓が一々萎むような感触。

「……はい、って言いたいけど。実はそうでもなくて」

意外な答えに、佐倉が目を剥く。

「あ、引きました?」
「いや。兄弟多いから、そんな家庭を望むのかなと思って」
「う~ん、その反対かな」

全く悪気も無い顔で、サラリ……と。

「そうなんだ」

それしか言えずにいると、北見が微笑む。

「一人で居る時間を手放したくない、って言ったら引きますか?」
「そんなことないよ」
「ずっと一人は勿論寂しいんですけど。自分の空間が欲しいっていう欲求が多分人よりも強いんだと、最近気づいて」

北見がコーヒーに口をつけ、一つ息を零す。

「結婚生活を想像して……です」
「そうか。うん……わかる」
「養子がどうこうより、そっちが問題なんだろうな。……我儘ですよね」

違うだろ。
我儘とかそういうんじゃないんだよ。
欲求っていうのは、理屈じゃないんだ。
正論とか色んなモノを分かった上で、湧き上がってきてしまう。

「それも一つの欲求だろ」
「欲求……」
「欲しいと、強く求めるんだ」

佐倉がテーブルの上で両手を組み、額を当てた。


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明日は、ちびギャングが起きます…。
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NoTitle

ちびっこギャングが起きて活躍するところが見たいです。北見君のお手並み拝見。で二人の距離がまたまた近なったらいいなって思います。きり様が言うように本当に本当にゆっくり少しづつ距離が縮まっていくんですね。北見君まったくの、ノンケさんだしね。どんなふうに自分の心の動きに気が付いて行くのかがすごく楽しみです。サクラちゃんはもう(ヤバいヤバいこれ以上は)、っていう所まで進んでいくんでしょうね。警戒警報のアラームが鳴りっぱなしになってきそう。(笑)。なのに逆に、北見くんが、ひょいっていとも簡単に飛び越えちゃったりして。風太くん可愛いです。いいな~ちっこい子。癒される。でも自分が子守をすることになるとホント大変だし。勘弁なりかな~。でも半日くらいならなんとか(汗)

Re: NoTitle

鍵コメg様

>読んでいるうちに、佐倉さんがドンドン惹かれているのが 手にとるようにわかります。
あぁ、嬉しいですー!

ゆっくりと進めたいんですよ…私は。
年齢的にもね、勢いで何でもできる訳じゃないんで。
でも、まだ若いし…。色々とグルグルと(笑

あー。近い方に、北見が!!
なるほど…3男で養子さん。北見が躊躇する気持ち、理解して頂いて(。v_v。)
色々、彼も今考えてるようです。応援してやってて下さい!

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

鍵コメe様

今日の佐倉さん、思考がまとまっておりません。
パニクった自分を思い出して、恥ずかしいし。
気持ちが惹かれている相手が、自分のお家に居るしw

北見くん、佐倉さんが少々キレてもスタンスは変わりなく(´艸`*)

最後も、北見の「我儘ですかね」から、思考が飛んでおります…。
冷静でない時って、思考もまとまりませんわな…。その元だったちびギャングくんは、オネムw

>ちょいちょい距離が縮まっていますよね!
そうなの。お家に来てくれて、自分も行こうかな…なんて言葉も出たw
何だかんだ言っても、ちょっとは縮まってます(笑

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

のあ様

北見はノンケだし、佐倉さんはバイだけど心と体を完全に切り離したタイプ。
こんなのどーやって恋愛に?ですよねw

だから、ゆっくりです。
今は北見さん、彼女持ちですしね…。佐倉への好意は、ノンケの好意。

他愛無い話の時は、佐倉も力まずに楽しんでます。
けど、ちょっとしたキーワードで思考が飛んで行く。。。を、何度か繰り返す(苦笑

邪気のない北見VS邪な下心が見え隠れする佐倉…って感じですかねー。

明日は、風太くんが起きてどうなりますか…(。・w・。 )

有難う御座いました☆

NoTitle

"「ここ車だと、距離が凄く近いんですよ」"

あら、そうなの?
私も最初、何でこんな早いの?? って思っちゃった。車、って選択思い浮かばなかったから。
佐倉さんに同調して天パってたのね。

2人が3にんになっただけで急に視野が開ける。有りがちだけど助かるのが本音。
しかも時間延長で、夜までになって。
こりゃあ仲良くなるぞォ(期待ッ❤にや)。

佐倉さんの方は嬉しいのと困るので、ドキドキが続きそう。  ね?

Re: NoTitle

ますみ様

駅で言えば3駅だけなんですが、北見のお家から駅まで10分。
そして佐倉の家は駅から5分…ですもんね。

こーいう切羽詰った時は、車でGO!(まだマイカーないのでタクシーでw

明日は、大・中・小(ってかミニ)の3人。
風太が北見見て、泣かないかな~。泣いても、北見なら上手くかわしそうですがw

有難う御座いました☆
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