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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 16

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週中に早目に仕事を終えることが出来そうだったので、北見に連絡を入れてみた。
そういう時は連絡すると言い合っていたからだ。

そしてイソイソと連絡をする、俺。

すぐに返信があって、八時には上がれそうだということで約束をした。
ずっと忙しくて、互いに時間が合わなかったから久しぶりだ。

月に一度か二度程度の付き合い。
同僚と言っても同期でもないし、部署も違うんだ。
一緒に組まない時は全く顔を見ない日が続く。
友達という距離とも少し違うような相手を飲みに誘う。

「主任」

携帯を眺めていたら声がして、顔を上げると百済(クダラ)が立っていた。
中途採用で入った新人だ。

「どうした?」
「ALCパネルなんですが、値段が合わなくて」
「見せろ」

書類を見て、数字をはじき出してると確かにコストが高すぎる。

「荒井商事の村上さんに電話してみろ。あそこは海外サプライヤーから大量に発注してる。余ってるのがあるかもしれないから」

海外での資材は一昔、金を持った連中が金に糸目をつけずに建築する場合によく使った。
けど今はアジアの方の資材もクオリティーが高くなり、基準を満たした物が増えた。
何より国内生産物よりかなり安い。

但し、物流が大きな問題だ。
この運搬費が資材以上に高くつくなら、意味がない。

大手ゼネコンの海外調達を支援している商社や施工会社が組織化して、そこで大きなビルの建築で必ず出る余り建材でなどを管理している会社が荒井商事だ。

「助かります」

頭を深く下げて百済が自分のデスクに戻った。

後の話し合いには佐倉は口を出さない。
一言頼めば済むくらいの付き合いをしてきた相手でも、手は出さない。
いつまでも過保護でいれば育たないし、第一自分の仕事に手が回らなくなるからだ。

営業は色んな処に顔を売って、信用を取りつけるのが何よりも大事な仕事だ。
新規開拓をしてきた結果が、後に自分に回って来る。

「主任……」

今度は高梁が書類を持ってきた。
七時までにとキツく言っておいた見積もりがもう出来たのかと思っていたら、顔が暗い。

「何だ。あと一時間しかないぞ。明日の午後には、商談に入るんだろ?」
「それが……」

黙って書類を渡す顔を見て、溜息をついた。

やったな……こいつ。

書類に目を通して、立ち上がる。

デスク越しに、書類で高梁の頭をキツくバチンを叩いた。

「何やってんだ!!」
「すいませんっ」
「気を抜くからだ!!」
「はい!!」

全てやり直し。

「お前のミスで、信用潰す気か?」
「いえ」
「朝の十時がタイムリミットだ。死んでも間に合わせろ!!」

佐倉の言葉に、一瞬だけ躊躇して返事をした。

「自分のミスはてめぇでケツ拭け!!」

怒鳴ると深く頭を下げて、自分のデスクに戻って行った。

仕事に慣れてくると、誰もがやらかす凡ミス。
けど、ミスはミス。
どこの誰が笑って「いいよ」など、言うか。

ミスに対して、佐倉は絶対に甘やかさない。
手伝うこともしない。

一人で噛みしめなきゃ、意味がない。

俺も……慣れてきた頃に、似たようなミスをした。
その時のキツさが体に刻み込まれているから、今も仕事には細かい。

サイズの思い込み。
見積もりの段階で、間違いに気付いただけでもまだマシだ。

*

居酒屋に先に来てビールを飲んでいると、北見が来た。

「お疲れ様です」
「お疲れ」

ビールで乾杯して、適当に注文していたモノに北見が箸をつける。
好みを知り、先にそれを注文する自分がくすぐったかった。

「今日ウチの子が営業課の前通ったら、怒鳴り声がしてブルって帰ってきましたよ」
「あ~。それ、俺だ」
「やっぱり」

クスッと笑う北見。

煙草に火を点けて、溜息と共に吐き出した。

「憎まれ役ですね」

ボソリと言う北見に目線だけを上げた。

「お前がそんな風に言うとはな」
「いや、厳しい人が居ないとダメなんですよ。学校じゃないんだし」
「あぁ……甘やかすと同じことをする」

忌々しく言えば、北見が優しく頷く。

「怒る……いや、叱るって難しい。俺なんかこの間、新人に厳しく言ったら舌打ちされましたからね」
「はぁ? 殴れ」
「いやいや……ウチはそういうノリで行くと、速効で辞めます」
「お前のとこ、オタクが多いからな」
「ま~た、そういうことを」

北見が笑って、ビールを飲む。
いつも、ムキにならない。
そういう処が、気に入っている。

「佐倉さんも怒鳴られました?」
「あぁ、もう新人の頃の主任が怖くて。鍛えられた」
「もしかして滝下課長?」

佐倉が頷くと、北見が目を剥く。
普段は温和に見えるからだろう。

「まぁ、営業なんか体育会系のノリだから」
「ですよね。怒鳴られようが、喰らい付いてくる感じがします」
「皆じゃないけどな」

実際、憤慨して帰る奴もいるし、出社拒否や親から抗議の電話もある。

今の時代は、ある程度向き不向きを考慮して配属を決めるようになった。
会社にとって人材が全てと言ってもいい。

育って行ってくれないと、また一から育てないといけないんだ。
むやみに上司風吹かせて、怒鳴ってるばかりじゃ誰も付いて来ない。

「今、何人ですか?」
「あ~、俺の抱えてるチームは十二人」
「うは。そりゃ、毎日怒鳴りたくもなるな」
「一人一回でも、こっちは十二回だ」

佐倉が笑って煙草を消して、焼き鳥に食いついた。

「けど、佐倉さんは褒める時は褒めるからって高梁くんが」
「そりゃ、数字取ったら褒めるよ」
「シビアだなぁ」

今は主任だが、もっと上になるとその主任を束ねることになる。
上昇志向が無い訳じゃないし、実際同期では早い方なんだけど。

やっぱり俺は、現場での仕事が好きなんだよな。
主任になってからデスクワークも増えて、十二人の管理をしてまとめて上に報告。
会社ってのが歯車の塊だって、主任になってからよく分かった。

「俺のところは、理屈で通ったら納得するんですけどね」
「まぁ人間相手の俺達じゃ、理屈なんか棚上げなこと多いからな」
「SEやって肝に入りました」

北見が姿勢を正して、頭をペコリと下げた。

あぁ、こういう感じ。
これで俺は充分……。

お前が結婚したら、少しずつ回数が減るだろうけど。
俺も……普通の人生を歩む努力をしてみようと思えるまでになってきた。



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~ Comment ~

ここまで…なんて考えてる時点でもう無理ですよね(* ̄∇ ̄*)

加速する気持ちはそう簡単には止まらない!!

二人の空気感が心地よくいい感じなんですが…

そろそろ進展に期待してしまう( 〃▽〃)

Re: タイトルなし

ラムまま様

さぁ、どうなんでしょうか…。(´艸`*)
言えるのは、佐倉がもし北見を「好き」だと認めても、告白する気は毛頭ないということですね。
佐倉にとっての男を好きになる=片想い という固定観念ですから。
これが、タイトルになってますので…。

なので、そう易々と恋愛モードへは行きません(苦笑)まだ16話ですしね←
とにかくジンワリと進んで行くので、ゆっくり見てて下さると嬉しいです(*゚ー゚*)

有難う御座いました☆

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

NoTitle

植物、特に木が自然の力によって変形するのは時間がかかる(風で枝の伸び方が違う、とか、幹が曲がる、とか)、のと同じように佐倉サンの気持ちも動き切るまでが長い、ってことなんですね。

わっかりましたー!
気長~に待つようにします。  ・・難しいけど(笑)。

同じ社内にいるから通じ合う一コマ。
多分そうだろうな、が当たってちょっと嬉しい、と苦笑い。 こんな風に話が出来るのも嬉しいんでしょうね、二人とも。

無邪気(?)な北見君に路線変更しそうな佐倉さん。
で、彼が見合いとか、彼女が出来たらこんどは北見君の方が動揺したりして(プクク)。
 明日はどっちがフワフワするのかな。

NoTitle

kiri様。

この、高梁くん。
まるで大野建設の佐野さんのような叱られキャラっ(笑)
良いですねー。
向井くんと、佐倉さんは、ホンマに心から分かり合えるかとwww
ま、北見君がいるから、向井さんは要らないみたいやけど。
そーいや、この北見くんの容姿はkiriさんの今迄の出演キャラと、ちと違いますなぁ。
腐っ腐っ腐っ。。。
また、萌えー

ところで。
とうとう200万、行ってもーたね。
おめでとうございますぅ♡
今後とも、ワタクシ共の欲望を更に満足させていただきますよう、よろしくお願いしますねー(⌒▽⌒)

Re: NoTitle

鍵コメe様

有難う御座います。少々、キョドっております…。
ゴルフでホールインワン出して、あわわ…となってる気分(全然違うダロ
皆さんが来て下さってるおかげです!わー…でも、どうしよう。気づかないフリも出来ない←コラー

ね?距離がジンワリ~と縮まってきてますでしょ?これでもww
こんなもんでしょう…。なんせ、バイとノンケですから。
バイでも、男と恋愛はしない方ですし。
洋平なんか、もうバンバン行ってたけどね。あ、覚醒させたのは明良だった…。

>叱る方も疲れるんだぞっ。←ですね(笑)

親からの抗議ありますよ…(実体験)
叱った子じゃ話にならないので「上のモン出して!!」と。
何回あっただろう…。もう、勘弁して下さい。
今は結構あるそうですね。

そう。佐倉さんは、女性とも恋愛出来る人なんです(焦がれる程の想いは無いにしても)
彼女がドライなタイプなら案外上手くいくと思う(苦笑
でも、女の子は「好き」でいてくれないと嫌よね…。乙女心。。。

>じーっくり進んでいくその過程。。楽しみます!!←有難いです。書く気力湧きます!!

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

ますみ 様

え、気長に待つのが難しいですか…ヤバイな…(;・∀・)

慣れてると思うのでwよろしくですー(ごり押し

色々想像で先読みも出来ると思いますが…。BLのテンプレみたいなお話ですし。
とりあえず…頭の中だけでの妄想はいくらでもして頂いて(笑

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

優様

いますよね。何でか、叱り易いタイプって。
高梁くんも、佐野くんも、そういう感じ?←
まぁ、向井さんは冷静に叱りそうな気が…そっちも怖いな。。。
あの明良にズバズバ物言えるもんね。誰も女王様の前では、強く言えなかったのに(高校時代w

うん、北見くんのタイプはずーーっといつか出したかったタイプなんです…。
眼鏡キャラを出したくて(メインで)

そうなの、200行ってもうたわ。優さんに、前拍コメで言われた時見たんですが。
まだまだ先だと思ってたら!!あちょー。
嬉しいのに、どうしようと思うのは…何も考えてないせいです。ヤバー
でも、ほんと皆さんのおかげ!!感謝ですm(__)m

有難う御座いました☆
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