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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 11

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北見は休日に、久しぶりに実家に帰る。

「功兄ちゃん!!」

まだ高校生の一番末っ子の弟の泰士(タイシ)が、嬉しそうな顔で迎えてくれた。

「勉強、ちゃんとやってるか?」
「うん。あ、後で数学教えて?」
「いいよ」

頭に手をポンと乗せリビングに入れば、父親が新聞を読んでいた。

「お、功英。お帰り」
「ただいま」
「仕事頑張ってんのか」
「うん、それなりに」

男同士の親子の会話なんか、こんなものだろう。

「功英!! ちょっと来て!!」

キッチンから母親が呼ぶ声がして行けば、鍋の準備をしていた。

「来て早々悪いんだけど、ビールが足りないからあんた買ってきてくれない?」
「いいよ」

母親から金と車のキーを受け取り、北見はガレージの方の勝手口から出た。

*

皆で揃っての夕食。

リビングは目いっぱいだ。
長男の弘武(ヒロム)、次男の千博(ユキヒロ)、長女の麻由美(マユミ)、三男の功英、次女の唯美(ユミ)、四男の泰士。

六人兄弟が揃った。

集まったのは祖父の八十歳で傘寿の祝い。
皆でビールで乾杯して、祖父の好きなタラの味噌鍋をつつく。

今、実家に残っているのは大学生の唯美と高校生の泰士のみ。
次男の千博はすぐ傍で部屋を借りているから、飯は毎日食べに帰ってくるらしいけど。

賑やかな食卓。
以前は、これが毎日のことだった。

目の前の末っ子の泰士が、ちゃんと落ち着いてご飯を食べている。
少し前までは落ち着きがなく、よく怒られていたのに。
ダイエットだと言って食べなかった唯美も、今じゃ普通のペースで食べている。

大学を卒業して会社に勤め、独り暮らしをするための金を貯めて実家を出てから一年。
そのたったの一年で、実家を外から見ている自分。

「何ボーっとしてんだ。飲め」
隣の千博がコップにビールを注ぐ。

「ユキ兄、結婚話どうなった?」
「あ~……。平行線だな」

うちで結婚してるのは、今はまだ長男と長女だけだ。
子供を連れて来ると座る場所もなくなるので、今日は自分達だけで来ているけど。

「お前は?」
「俺は……。俺も、平行線」
「なるほど」

ニッと笑ってビールを飲む。

本当は今日、養子の件で話をしようと思っていた。
けど親父の顔を見て、まだ悩んでる状態で言う事じゃないと思った。

「功英、あんた早く食べなさいよ!全部、兄貴に取られちゃうよ」
姉の麻由美が、功英の皿にポンポンと具を入れてくれる。

三つ上の姉には、いつも世話を焼かれていたような気がする。

姉は兄二人の下でいつも仲間には入れてもらえず、弟が出来て……たぶん世話を焼きたかったのだと、大人になってから言っていたっけ。

「コウ兄ちゃん、お小遣い頂戴」

次女の唯美が二―ッと笑う。

「千円な」
「え~。ま、いっか」

「え、俺も!俺も!」
隣で、泰士が喚く。

「高校生が、何に使うんだよ」
「大学生だからって、エラぶんな」

千円のことで姉弟で喧嘩が始まったが、親も祖父母も知らぬふり。
昔など、兄二人が事あるごとに取っ組み合いの喧嘩をしていたのだから、これくらい何てことはない。

兄二人が喧嘩してるのを見て、姉と二人でそれを眺めていた記憶がある。
体の大きな男二人の取っ組み合いが始まると、まだ幼くて弾き飛ばされてしまうからだ。

妹が生まれて、弟が生まれて……。
自分の立ち位置的なモノは、幼い頃から持っていたように思う。

ただ、静かな場所への憧れだけは常にあった。
一人部屋というのに物凄く憧れていて、それが今現在手に入っている。

結婚したら、どうなるんだろうか。
この頃、そんなことばかり考える。

「ユキ兄。後でちょっといい?」
隣で煙草を吸っている次兄に言えば、眉を上げる。

「何? お前が悩み事をお兄ちゃんに?」
ニマニマと笑う兄は、五つ上だ。

「ちょっとね」
「帰りに俺の家に来れば? ここじゃ、とてもじゃないけど話なんか出来ないしな」

*

夜の十時を過ぎて、千博のマンションへ行く。

冷蔵庫からビールを取り出し渡されて、缶のまま口をつけた。

「結婚のことか?」

いきなり兄が聞いて来るから、北見は頷いた。

「言ってみろよ」
「俺、養子に来てくれって言われててさ」
「あ~……なる程ね。六人も兄弟いて、それも男が四人だもんな。有りがち、有りがち」

北見は兄に事の経緯を話した。

兄は煙草に火をつけて、北見を見る。

「やめとけよ。お前から、結婚したいってのが全然伝わってこない」

それは認める。

「お前ってさ、元々争い事とか嫌いだろ?相手に合わせるの上手いし」
「いや、でもそれが嫌だとかは無いんだよ」
「うん、それは分かる。合わせてる方が、楽だしな」

合わせてる方が、楽……。

「……痛いとこ突くな」
「そりゃお前、俺の弟だし」

そういう風に言われて、何だか嬉しくもあった。

「俺もエラそうなこと言えないけどな。結婚ってさ、タイミングだって言うけど。あれ、当たってるな~と思うわ」
「うん……」
「だからお前の今は、タイミングじゃないんだろ」

あっさりと言われて、そんなモノかと思った。

「一緒に居てさ、心地良い相手っているじゃん?性別関係無くな」
「性別関係無くって、男でも?」
「いや、変な意味じゃなくて。それが、女だったら恋愛になっていずれ結婚に進んで行くんだろ」
「そっか……そうだな」

千博が一拍置いて、ビールの缶を見つめながら息を吐く。

「俺が今も一番居心地良い相手は、親友だ。彼女よりな。……で、そいつはゲイ」
「え??」

親友って……。

「あの、崎坂さん?」
「そう」

口に指を一本立てて、内緒だという仕草。

「言わないよ」
「あいつは今、男と幸せに暮らしてる」

兄の複雑そうな顔に、北見は訝しむ。

「……兄貴?」
「俺、一時だけど崎坂のこと好きだったんだよな。でも、お前は親友だってあっさり振られた」

「えぇっ?」

今度は、仰け反る程ビックリして目を剥いた。

「高校の時の話だぞ? 玉砕して、今も親友だ」
「ユキ兄……男もイケるの?」
「いや、崎坂だけ。多分……あいつがゲイだって知ったから、そういう目で見ちゃったんだろうな。何かこう……他の男に取られたくないっつーか……。で、俺でもいいじゃん? 的な」

そんなもの?

「もう十年以上も前も話だよ。迷える思春期の淡い恋ってやつ?」

北見は思いがけず兄の告白を聞いて、ただ目を瞬かせていた。


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~ Comment ~

あれれれ??σ( ̄、 ̄=)ンート・・・?

そうそう。
相手に合わせて、流れに任せての結婚はダメよ!
って思ってましたよ。
相談できてよかったね~、と胸を撫で下ろしております。
心配性の近所のおばちゃん目線で。(笑)
彼女にわかってもらうよう、説明しなきゃかな?がんばれー

・・・で、ユキヒロ兄ちゃん、崎坂さんって誰だっけ?
聞いたことあるんだけどなー・・・`s(・'・;) エート…

誰だっけ、kiriさん!

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Re: あれれれ??σ( ̄、 ̄=)ンート・・・?

トーヤ様

やっぱりね「好き」とかそういう問題だけじゃなくて。
女ってすぐそこに気持ちが行くんですがww
もちろん、根底に好きな気持ちがあるのは当然のことですけど。

こういう時に、親の顔を見ると…案外頭がしっかりとしてくるもんです。
由利奈ちゃんもそうだから、確認して欲しかったのよね。
それが、相反しちゃってるようですが。

>崎坂さんって誰だっけ?←ただ、ユキ兄の親友です。どこにも出てませんよー!

有難う御座いました☆

Re: うわっわっ。

鍵コメmu様

思春期の男の子って、こういう時多いそうです。(記事を読みました)
性がハッキリ確定するのは、成人してからだそうですから( *´艸`)

北見くん、ビックリ(@_@;) 笑

有難う御座いました☆

/(^^)\アチャー

わははは!いませんでしたか!(笑)
そうかー、新キャラだったんですね。しかも一回きりの名前のみ登場の(?)
しかし思わぬ所で、北見君に良き理解者出現?って感じですねー。
早くも先が読みたい病発症してますが、→( ゚∀゚)o彡°( ゚∀゚)o彡°( ゚∀゚)o彡°
幸い、kiriさんちに治療薬ゴロゴロ転がってますから(失礼)抑えられてまーす。

それでは~ヾ(^_^)マター

NoTitle

あっ。さすがお兄ちゃん「合わせている方が、楽だしな」ってそれ、痛い所を突いてるよ。もうこの一言が、彼の性格をずい分いい表しているようで。争うって本当に疲れるし、勝っても負けても、ある意味傷つくし、でも、そこには、戦ったものでしか味わえない気持ちもあるし。でも傍で見ていて回避する、すべを身に付ける事だって、兄弟が多いからこその体験。いいですね。兄弟が沢山いるって。羨ましいです。そんでもってお兄ちゃんの青春の一コマを知って。それいいヒント(爆)。

NoTitle

kiriさま

ユキ兄ちゃんの突然のカムアウト~~~!!!!(@_@)💦
北見くんは、身近な人からの爆弾発言でビックリしたでしょうが、「彼女より親友の方が心地いい」、この一言で、北見くんの佐倉ちゃんへの気持ちというか、心地よさが加速しそうな感じがします。腐っ腐っ腐~(´▽`*)
特にモヤモヤしている時って、心がホッとする、安心感がある、肩の力が抜けるという相手が、傍に一番いてくれるのがいいですものね。
これから、悩んだらユキ兄ちゃんに相談できそうねっ!!

トーヤさまの「相手に合わせて、流れに任せての結婚はダメよ! 」の一言に、大いに同感~!!を一票です💖
結婚て、縁と運とタイミングだと思うんですが、結婚を決める時は「この人と一生一緒にいれる!」と、確信が持てる位の気持ちがないと、難しいと思うのです。(後々もね)←もちろん、違うご意見もあると思いますけど・・・。

昨日の結婚記念日は、息子が不在なので、旦那が買ってきた「進撃の巨人」17巻&1巻(関西弁編)を、2人で読みながら、これまた旦那が買ってきてくれたケーキを食べてました~ww(≧▽≦)
前よりも旦那とのLOVEが多くなったのは、kiriさま作品の効果絶大でございますよ~、うふふ💕
kiriさまに、足を向けては寝られないみゃおでございます。
kiriさま、スペシャルサンクスです💕(´艸`*)

Re: /(^^)\アチャー

トーヤ様

同じように思われた方がいらっしゃいましたよー。
時々、あらぬところでリンクしたりしてるので…「もしや?」って思っちゃいますよね(;・∀・)
今回も何処かで何か出るか?(何が出るんだ

ゆっくり進むので…ゴロゴロ転がりながら、(。・w・。 )
見てて下さいませ。

Re: NoTitle

のあ様

そう、合わせてるのが一番楽なんですよね。。。
私もここのところは、もう流れに沿って抗わないなぁ…。←体力&気力の衰え

北見の場合、真ん中っ子であり、すぐ上とすぐ下が女の子ですもんね。
兄2人が喧嘩してるのをジッと見ながら、巻き込まれないように過ごしてきたようです。
そういう部分で周りを冷静に見る良い部分も培われたとも言えます。

兄の衝撃の思春期。ビックリしてましたね~。ほんと「今だから言える」ってヤツです。
あっさり振られたし、今も親友でいられてる♪

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

みゃお 様

思春期って、女の子同士でもよく嫉妬とかしますよね。
誰と誰が仲良くしてると、ムッとしたり。男の子の場合、それが本能的に強いとか?
ただ、女の子と違って男は直球らしくてすぐそっちに流れやすい…なーんて説が書いてありました。
すぐに触りたがるもんで(苦笑)

勇次も同じような感情持ってましたね。そこから始まったんですけど(´艸`*)
まぁ、手のかかる幼馴染が「勇次が1番」で背中ついてまわってたら、可愛いわね。

北見は結局は結婚について、そう深く考えてないんですよ。由利奈ちゃんは、真剣に考えてるのに。
頭では理解してるんだろうけどね。まだ自分のこと優先したい時期みたいだし。
でも、こういうのは有りがちなことなので、どっちが悪い訳でもない。
養子がピンと来ないのもあるけど、結婚に対する意識の差が大きいんだろうな。

うら若きw乙女なら「本当に好きなら云々…」って意見になるだろうけど、ココはさすがにそういう意見は出ませんね。一人娘が親を大事に思う気持ちも、ちゃんと分かってる方が多い。
さすが、みなさん大人だなぁ…と思います。←何気に失礼

>「進撃の巨人」17巻&1巻(関西弁編)←関西弁編??(そこに食いつく
色々考えるんだな…(゚д゚)

有難う御座いました☆

NoTitle

女は生まれた時から’女’だけど、男は人として生まれ’男’になっていく。
なんてどこかで見た覚えがあります。

まあね、「たまたま好きになった人が同性だった」 のはよくある(?)こと。


功英くん、お兄さんの話、よーく聞いて覚えておくんだよ。近い未来、そういう対象になる人がすぐ横にいるんだから♫
結婚もそう。 タイミングって大事(力説)。でないと、いつかケンカになるよー。
「あの時おまえが(あなたが)言ったから」
って。
そんで縺れたら・・・、修羅場の可能性も。。ひええ。

由利奈ちゃんの焦る気持ちも解るけど、こればっかりはね。
しかもBLだしーー!


男って追いかける生き物だから、追いかけられると逃げちゃうよ。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: NoTitle

ますみ様

生きて行く上で「男でしょう」と言われる回数は女の「女でしょう」と言われる回数の遥か数倍だそうです。
言われる度に、男だから…男なんだから。
そう自分に言い聞かせて男になって行くのかもしれませんね。

結婚は、周りを見てもタイミングだなーと思うこと多い。
何年付き合っても結婚しなかったのに、互いに「したい」タイミングが合わず…
で、次の人とスピード婚とかよくあったw

由利奈ちゃんは、養子の件を確認して欲しいだけなのよ…。でなきゃ、平行線。
ダメならダメで、また2人で考える。こっちの方がずっと理論的。
北見くんは結局聞かなかったね(;´Д`)

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

鍵コメc様

男性の方が、バイセクの比率がかなり高いってどこかのデータ―で読んだなぁ…。
女性との比率の差に、ビックリしたもん。ただ潜在意識に気づいてるか居ないかだけで。
日本の社会は閉鎖的なので、気付かないままの人が大多数だとも…。

まぁ、守る者(家族や仕事)があったら、中年になってからそれを壊してまでって余程ですよ。

かの有名はバンドの方(ボーカルで海外)途中で目覚めたそうですね。
オープンにされてたから、やはり海外は違うなーと思った。

有難う御座いました☆
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