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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 8

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二人で酒を飲んでいると、北見の携帯が鳴る。
画面をチラリと見て、佐倉に手を上げて席を離れた。


……彼女かよ。

佐倉は煙草に火を点け、時計を見る。
一体何分で戻って来るか……そんなことを計る。

何してんだ、俺。
普通、同僚が彼女の電話出たくらいで時間計るかって。

バカバカしいと思いながら、それでも時計をジッと見ていた。

「時間、急ぎますか?」

二十秒を回った処で、北見の声がして驚いた。

「いや、別に」
「時計見てるから」
「あ、何となく」

お前が女とどれだけ話すか計ってたなんて、言えるか。

「彼女?」
「まぁ」
「ふ~ん。……年は?」
「同じ年です」

相手の年を聞いて、じゃあそろそろ結婚の話題だって出てくるだろうと思う。

「結婚話とか出てんだろ」

佐倉が直球を投げれば、北見は苦い顔をした。

「どうした?」
「……親に挨拶? 先月、あれはしたんですけどね」

そうか。
もう、そこまで話は進んでるのか。

ちょうどいい。
これで、シャットアウト出来る。

「じゃ、もうあんまり飲みに行くのも出来なくなるな」
「そんなこと言わないで下さいよ」

眉を下げて言う北見に、佐倉の方が目を剥く。

「あれ? お前って、嫁さん大事にするタイプだろ」

だって俺、電車の中で見たんだよ。
お前が優しい奴だって思って……自分と比べて自己嫌悪したんだぞ。
その上で、ちょっとときめいたりもした。

「いや……もう、ぶっちゃけます」
「お……おぉ。何でもぶっちゃけて」

言えよ……聞いてやる。

「いきなり親との食事をセッティングされて。まぁ、それは良いんですよ。こそこそ付き合ってる訳じゃないし」

先月両親と食事をして家族のことを聞かれ、それに全部ちゃんと答えた。
そうしたら、次はもう結婚の話がすぐに出てきたのだと北見は言う。

「親に会うってことは、そうなるだろ」

俺も、似たようなもんだったしな。

「まぁ……結婚はいずれ、自然にそうなればいいかなとは思ってたんですけど」
「じゃ、何が問題?」
「……養子に来てくれって」

あぁ……成程。

「お前って長男?」
「三男です」

じゃ、そう大問題じゃないだろう。

「俺個人じゃなくて……三男坊ってのにやたらと食いつかれると、何だか萎えちゃって」

北見が顔を伏せて、力なく言った。

「結婚相手になるかどうか。そこからスタートしたと?」
「まぁ……今思うと、彼女に一番最初に聞かれたのが長男かどうか、兄弟は何人か、家は何をしてるのかとか。俺じゃなくて、俺の後ろにあるモノばかりだったなぁ……と」

佐倉はつい、自分と照らし合わせてしまう。

問題は……まず、相手をちゃんと好きかどうかだ。
だからこそ色んな問題を二人で乗り越えられるんじゃないかなんて、極当たり前のことを思う。

もちろん結婚というのは家同士の繋がりにもなるし、好きなだけで結婚出来るなんて思う程ガキでもない。

「こんな話、参考になるかどうかわかんないけど」
「何ですか?」
「俺は、去年結婚が破談になったんだ」

目を瞬かせる北見に、佐倉は苦笑いした。

式場の手配はまだだったから、招待状を出すまでは行ってなかった。
ただ結婚話が出ているっていうのは聞かれた時に言ったから、知っている連中も居る。
けど、別れたことはまだ部長にしか言っていない。
結納を交わした後に仲人の件を頼もうと思って、それとなく酒の席で話した後だったから。

「なぜ……ですか? あ、聞いちゃまずいか」

北見の言葉に佐倉は首を振った。

「ちゃんと好きなつもりだった。けど、本気で愛してるかと問われて……俺は答えることが出来なかったから」

複雑な顔をする北見。

そりゃ、複雑だろうよ。

その上、俺がバイセクシャルで男ともSEXが出来るなんて知ったら。
……お前は、どんな目で俺を見るんだろうか。
偏見があるようには見えないが、そこまで深く北見を知っている訳じゃない。

こうやって気軽に酒に誘ってくれたりは……なくなるかな。

そう思えば、また過去のことを思い出してチクリとする。

「何となく……分かります」
「え?」
「いえ、何となくですけど。人の気持ちのデリケートな部分って言うんですか? 普段そういうのあんまり考えないじゃないですか」

佐倉は黙って頷く。

そうなんだよ、毎日そんな深い部分なんか考えて生きていない。
何かの拍子に浮いてきて、自分の内面を見直してみる。

「こういう時に、自分の気持ちとか改めて見るんですよね。俺の家は兄弟も多いし、別に俺が本気で養子に行くと言い切れば反対はされないとは思うんです。だから、結局は俺が決めることなんだけど」
「だから余計にか」
「自分のアイデンティティ―っていうんですか? それが、しっくり来ないっていうのか……まだよく分からないままです」

中途半端な自分を持て余しちゃってんだ。
そりゃそうだって……北見。
結婚は一生の問題だ。

「分からないまま答え出さない方がいいぞ。俺みたいになると、互いに傷が深くなる」

当たり障りのない言葉だと思いながら佐倉が言えば、北見が眉を上げた。

「佐倉さん、傷ついたんですね」

優しい言い方に、また胸がトクン……。

「そりゃ、平気じゃないよ。親には散々文句言われるし、次の恋愛には臆病にだってなる」
「……ですよね」

視線を落として感慨深げに言う北見を横目にビールをお代りした。

「うわ~。俺、何やってんだろ」

北見がいきなり髪を片手でガシガシと掻いて呟くから、何事かと思う。

「俺、今日は佐倉さんの仕事の愚痴でもあったら……と思って誘ったのに。結局、自分の愚痴言ってる」
「は? 俺の仕事の愚痴?」
「だって、煙草吸いながら疲れてるように見えたんで」

あぁ……そうだったのか。

お前、ほんと優しいな。

「いや、大丈夫。仕事は部下を怒鳴って、その場で発散してるから」
「そうなんですか?」
「でも、キツい時は聞いてもらおうかな」

ほら、お前が優しいから……。
俺はこんな風に、甘えたくもなるってんだ。

年下で後輩のお前に。

「いつでもイイですよ。俺、佐倉さんとこうやって飲みに来るの好きなんで」

……なんたる殺し文句。

大した意味もないくせに、そういうことを言うなよ。

俺なんかな、お前を知る度に惹かれて行く自分に戸惑ってるんだよ。

最初に廊下ですれ違った後から、極たまに社内でお前を見かけてた。
あまり関らないように思っていたのに、結局は自分から誘ったりして。

ノンケに恋して、辛い思い出の一つだって持ってるのに。
分かっていても、優しい言葉に触れると嬉しいんだよな。

「そっか。俺も、お前と居る時間……好きだな」

ここまでが精いっぱいだ。



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<お知らせ>
ゆにせら様より、2人のイラストを頂きました!
始まってすぐに頂いてたんですが、バタバタしておりまして…(北見、髪をカットする前w)
時間のある時にUPするつもりですので、よろしくお願いしますー。
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kiri様!覚えていてくれたんですね。感激です。そうです、ヒマワリ最盛期で忙しくって。でも拓篤君が市場で「このヒマワリ綺麗だな」って仕入れてくれるかなぁって思いながら頑張ってます!
新連載の序章で「片想いは手を伸ばさなければ続くのだ」って読んだとき確かにそうだけどスゴく切なさを感じました。バイセクだから選択肢が多いって訳でも無いんですね。
佐倉くんの片想いも始まったばかりで「手を伸ばす」まできっと焦らされるんでしょうねー。でもでもそれでこそ妄想も膨らみますっ!腐っ腐っ腐っ(*≧∀≦*)
どんどん北見君のこと好きになっちゃって、どうするー?佐倉さん。
悩め悩め。どんなに悩んだところで好きな気持ちは止められないですよねぇ(;´д`)

それでも愛さずにいられない。

こんにちは。kiriさま、ファミリーのみなさま。

あぁ・・電車の件・・「それでも~」とリンクしますね。
あの場面の出○くんの、何とも言えない表情(自分の気持ちに蓋をした)が思い出されて。
そうか、佐倉くんももしかしたらこんな・・と思うと妄想で泣ける(/_;)

伝えることはおろか、悟られることすら憚られる関係。
玉砕覚悟でコクるなんて、やっぱりどこか可能性を信じてなけりゃできませんもんね。傷つくことも、信頼を失うことも社会人には恐ろしいことですし。
ましてや同じ職場。忘れたくても目に入るんだな・・これが。
だがしかし!その切なさが愛しいyo\(^o^)/←鬼

ちっとも地味には思えませぬなぁ・・やっぱりkiriさまですわ♡
お仕事男子っぷりも萌えドキ♡♡公私あっての人となりです。
佐倉くんの顔と声・・ついに降臨!~ミケリに降りてキター!ヽ(^。^)ノ

それではまたきます~
今日の一言・・・とにかく暑い!kiriさま、みなさまご自愛くださいませ~

Re: タイトルなし

鍵コメi様

ここにおいで~ から、久々のコメント、有難う御座います~。
内野と浩太がどうしてるか…恋カタを楽しみながらも、思いを馳せて頂いて嬉しいです!

そうなんです。濃い~の後の、割と薄味。こっちを好む方もいらっしゃるんですよね。
書き手としては、濃い方が書き易いんですよ(実は)笑
薄味はもう淡々と進むので「中だるみ」とか言われがちなんですが、それも有りってことで頑張りますね~!

このリーマンの日常、心地良いですか?こんな感じで、彼らの日常を綴りつつ…進んで行きます。
特別悪い人も出ないし、気軽に読んで下さいね♪

>作品ごとに、これ同じ人書いてる?!←わー嬉しい!褒め言葉として受け取ります!!(´A`*)・゚。

有難う御座いました☆

Re: タイトルなし

おみち様

はい、覚えてました♪拓篤、市場で元気なヒマワリを仕入れてるはず(*^^*)

そう。今回は、バイセクに焦点当ててみました!
ゲイだったら「諦め」をつけて行くことを、いつまでも望んでしまう部分。
普通に生きる(結婚・子供)方を選択する人がほとんどでしょう。
手を伸ばせば、手に入るモノたち。恋愛よりも大事なモノが見えてもくる年齢。
そういう部分がね、チラホラ…と。

佐倉は男に恋をしても「恋愛」する気はありません(今、現在)
どこがどうなって行くのか…。好きだったら、色々欲が出ちゃいますよねww
まだその取っ掛かり的な部分ですが、グルグルを見ててあげて下さい^^

有難う御座いました☆

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Re: それでも愛さずにいられない。

ミケリ 様

そうです。そのビジュアルを見て、過去にお蔵入りしたのを引っ張りだしてきました!
設定はもう王道ですし、こっちはバイなんでちょっと違うんですけどね。

佐倉は、男との恋愛は望んでいないんです。やっぱり普通の道を歩きたい。
その気があったら、遊んでる相手とそれとなくでもお付き合いしてたと思うんで。。。
なので、好きになっても「伝える」という頭も無いんですよね。
やっぱり社会的なことを考える年齢だし。

好き=眺める相手

佐倉の中の固定観念が、どう変化していくのか。
北見がさっさと結婚したら、それはそれでOKなんですよ…今は。
まだ本気で恋してる訳じゃなく、ただ好きなタイプ。でも…その優しい気質に少しずつ惹かれ始めてる。

出○くんで、佐倉を動かしてねww声は、BLCDからですよね^^

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

鍵コメno様

あぁ、その漫画有名ですよね。私はアニメも普通のコミックも一切読まないヤツなんですが、タイトルは知ってます!
そういえば、ドラマもチラリと見たことあるなぁ…。

男だけでなく、女だって好きな人と結ばれるとは限りませんものね。
冬澪に出て来た、冬吾を好きだった美鈴ちゃんもそうでした。
お家を守ることをずっと幼少の頃から教えられて来たってことの大きさ、重さ。

この北見くんの彼女だって、たぶん女性読者さんには嫌なタイプでしょうが私は好きです。
ハッキリと自分の意思で突き進む、逞しさ。男の方が優柔不断なんですよね…わりと。
それに、ちゃんと北見を好きなんだと思います。←ココ大事w

色んなドラマや漫画やお話で、色んな想いを味わえる。それも醍醐味ですよね(*^^*)

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

鍵コメe様

佐倉さん、気になるんだね(笑)時計で時間のチェック♪

北見くんの彼女は同じ年。=女にとっては適齢期。
のんびりモードの彼氏を持つと、女の方が積極的ですよww
私の周りも、こういう感じで結婚したカプが結構います(親に会わせるセッティングしてそのまま…)
今も幸せにしてますしね、別に悪いことじゃない。
但し!本人が「納得」した上でなら。北見はしっくりきてないようですけど。

こういう場が女同士だと、文句になっちゃいそうですが。男って言わないんですよね。
男と女の会話の違いって、噂話に同調するか否かの回数なんですって…。女はボロカスだからな(爆

そして、邪気なく先輩に優しい言葉をかける後輩。
先輩は…先輩は、心が波打ち始めてんだぞー!無自覚ノンケ…恐るべしw

有難う御座いました☆

NoTitle

身に覚えがあるとどうしても身構えちゃいますよ。
けど、それを押しのけても’気になる’。  いーですねェ、振り回されそうな予感っ♪

佐倉さん、北見くんの言葉に一々反応。
今日は トクン、が何回あったの??  なんだか一升瓶にお猪口で「好き」というお酒を注いでるみたい。  トクン・トクン・・・・。
一杯になったら重いし(思いし?(笑))傾けたら溢れるし。

お互いのプライベートを一欠片ずつ胸に保存。
ファイルがだんだん分厚くなっていきますからー。

で、佐倉さん、まさか酔っぱらう??

Re: NoTitle

ますみ様

自覚し始めたんだけど…どうにかしたいとは思わない佐倉。

自己保身が先にも来るよね…狡い大人になってきてるもの。
そういう点では、ゲイであり……まだ若くて純粋な部分を持っていた隼とは違いますね。

少しずつ距離が縮まって…先輩、後輩、同僚……に、友人的なモノもプラスされて行く。

そんな2人を、ウハウハして見てて下さい…腐

有難う御座いました☆
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