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片想いのこじらせ方

片想いのこじらせ方 2

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佐倉がバーに入ると、顔馴染みが声をかけてくる。

「サクラちゃん、今日もべっぴん~」
「うるさいよ」
「最近来すぎ」
「お前もな」

ここは普通のバーではあるが、ゲイも結構来る。
明らかにノンケ臭を放ってる相手は観賞用。

佐倉は真性のゲイではない。
俗にいう、バイセクシャル。

自分が男にも性的な欲望を感じるのだとハッキリと自覚したのは遅く、大学に入ってからだ。
まぁ、初恋は男だったんだけど。
幼くて性的な欲望も何もあったもんじゃない。


カウンターに座ってハイボールを頼めば、横に誰かが座った。
顔を見ると、勲(イサオ)だ。

「久しぶり」
「おぉ」
「婚約破棄した途端、解禁で復活だって?」
「……まぁな」

こういう話はすぐに広まる。
交際期間も二年も過ぎれば、年齢や流れ的にも結婚になる。
彼女から切り出され断る理由も無かったし、自然なことのように思えた。
……いや、思おうとしたのかもしれない。

双方の両親にも会って結納まで進んだ。
けど、いざとなると彼女の方がマリッジブルーに陥ったのだろう。
自分を本気で愛してるのかと真剣な目で聞かれ……俺は、答えられなかった。

薄々は気付いてたのだろう……俺が流されていたことに。

それまでは嬉々としていた彼女が、結納を済ませた途端じわりじわりと変化していった。

結局は、破談となった。

結婚しても、それなりに上手くやっていく気持ちはあった。
家庭を守って、頑張って働こうと思っていた。

……本当にそう思ってたんだ。

それなりの大手に勤める彼女はキャリアを大事にしていたし、野心もあった。
子供は向こうも要らないと言っていたし、俺はそれでも良かった。

後で聞いた話だと、若い頃の子宮の病で子供が出来難いのだ告げられた。

別れを切り出した後に、言うんだもんな。

彼女はきっと……子供が出来なかった時、愛情が二人を結びつけるためには必要だと思ったのだろう。
その相手から強い愛情を受けているとは思えず、不安に陥ったのだ。

俺は「それでもいいから、結婚しよう」と、言ってやることが出来なかった。

子供が出来ないのは、別に良かったんだ。
ただ……彼女をそれだけの強い愛情で包んでやれるだけの自信が持てなかった。

過ぎ去ってしまえば、残ったものは彼女への罪悪感。
それは向こうも同じだろう。
彼女から破談を申し入れてきたのだから。

互いに幸せになろうという言葉を交わし、別れた。

幸せ……か。

それがどんな形をしているのかなど、見えないものだ。



「彼氏は?」

隣の勲に聞けば、首を振る。

「去年別れたよ」

グラスの酒を見つめたまま苦笑いしている横顔に、指を頬に一本立てて軽く突いた。

「痛い」
「生きてりゃ色々だな」
「色々要らないんだけどなー。シンプルでいい」

勲が酒を口に運び、おどけるように首をゆらゆらと揺らした。

「ネコ同士で飲んでも、実りないよ」

後から顔を覗きこまれて、顔を上げれば由孝(ユタカ)だ。

「普通に飲みに来ちゃいけないのか」
「いやいや~。せっかくココに来てるんだし」
「お前は要らないよ」
「冷たいなぁ……。あんなに燃えたのに」

冷たい目で再び見上げてやれば、両手を広げて後ずさる。

「怖っわ」
「やめとけよ。普通に飲んでるだけなのに」

勲が由孝に言った。

「勲くんが相手してくれんの?」
「……いいよ」
「勲?」

立ち上がった勲に、佐倉が眉をしかめる。
肩を竦めて伝票を取り、腰を抱く由孝と共に店を出て行った。

まぁ……由孝は悪い奴じゃない。
勲の愚痴を聞いてやるには、最適かもな。

「こんばんは」

ハイボールの泡を眺めていると、勲が座っていた席に男が来た。
チラリと見ると、それなりにタイプ。
地味メンだけど、よく見ると結構良い男。

「こんばんは」
「隣いい?」
「もう、座ってんじゃん」

ココに居ると、学生時代のように砕けた口調になる。

男がクスッと笑って、持って来た酒をテーブルに置いた。

ここは男を漁りに来る場所じゃないけど、気分が乗れば別だ。

結婚が流れた件で、それなりに傷を負った。
解放されたという思いと共に……。

多分もうこれから先、結婚ということには臆病になるだろう。

俺は……女とSEXは出来ても、満足は出来ない。
残尿感のような……上手く言えないけど、そういうのが残る。

燻る体を持て余しても、男とSEXすれば逃げに走るような気がして。
この店も、彼女が居る時は寄り付かなかった。
俺は基本的に、浮気には抵抗がある。


彼女を、愛していたつもりだ。
けど、恋焦がれるような気持ちにはなれなかった。

結婚とはそういうモノだと、自分の中で折り合いをつけても結局はダメになった。
俺は自分が思う以上に、心の部分では割り切ることの出来ない人間なのだと学習した。

もし割り切れていれば、彼女を不安にさせなかったのだろうか……。

いや、違うな。
相手の熱は伝わる。

俺には、それが無かった。

*

ベッドの上で男に馬乗りになり、ネクタイに指をかけてを解く。

ゾクゾクする……この瞬間。

やっぱり、俺は男とのSEXが好きなのだと肝に落ちてくる瞬間だ。

ネクタイをスルリと抜き自分のシャツのボタンを外していけば、男が手を伸ばして肩から脱がせて行く。
その間に、佐倉は男のシャツのボタンを外し前を開けた。

平らな胸。
そこに口をつけて、硬い感触を味わう。

男の匂いが鼻腔を擽るだけで、股間が熱くなってくる。

体を掴んで反転させられて、首筋に鼻を埋めてくる男。

足を腰に回して、引き寄せる。

「先に、抜いて」
「オッケー」

*

事が終わって、佐倉がベッドで煙草をくゆらす。

「良かったよ……凄く」
「そりゃ、どーも」
「又、会えないかな」
「……やめとくわ」
「男とは付き合う気がない……ってこと?」

佐倉が黙って頷けば、男が肩を竦めた。

「残念……。じゃ、お先に」

男が手を上げるから、佐倉も手を上げた。

体だけの関係でいいとか、そこまで深く考えてもいない。
ただ体が欲す時に、楽しむだけ。

彼女との交際期間中に男とのSEXを妄想しては、いい年してマスばかりかいてた頃の自分を取り戻すかのように、このところ月に二回程度の頻度で男と寝ている。

煙草を消し、一人になったベッドで全裸のまま大の字になってみる。

やっぱり、SEXは気持ち良い……。

何処にも哀愁も虚しさもなく、スッキリした満足感。

けど、それは人生のほんの一部。

そんなことを思いながら。



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~ Comment ~

ふふっ。

Kiriさま。

サクラちゃん…遊んでる(//∇//)

会議中なので、失礼します。

…だって、我慢出来なかったんだもーん。

潤でした。

はじまりましたね^^

kiriさま、はじまりましたね。
わくわくしております。最後まで楽しみにしてますね^^
暑い日が続きますので、どうぞご自愛くださいませ。

Re: ふふっ。

潤様

サクラちゃん、遊んでますねぇ~。
もうフリーだもの…遊ぶよねぇ(笑

婚約破棄で、わりとハートブレイク中なんですがww頑張れ―!

近くにめっちゃタイプのノッポくん(古っ)が居るんだけど…。

有難う御座いました☆

Re: はじまりましたね^^

chippen 様

始まりました!
もう、見切り発車ですが(そういえば、いつも…w

ワクワクしてもらえて、嬉し…(*'-'*)エヘヘ

またよろしくお願いします!
有難う御座いました☆

あれ?

早くも障害が無くなってしまった・・。 つまりこの先、難敵が控えてるって事ですね?

佐倉くん、相手が押しかけ女房タイプなら流されてたかもしれないなー。
あの時代劇、「婿どの」 と呼ばれていたお方、奥方に、
「何で俺(と結婚)? 」
「顔で(選んだの)」
と答えられて複雑な顔してましたっけ(笑)。・・そんな感じでも良かったのに。

でも! そうなったらココにはいない。 ね? 佐倉くん。 腐腐

ベビーフェイスでも奔放系でも根は真面目。 彼女がいる間はお店に来てなかったんだ。
そうかー。そういうの、応援したくなるーー。
真っパで煙草、も割と好き♪
さて、会社の地味メンのっぽくんのこと、、思いだすのかな・・・。

Re: あれ?

ますみ様

> つまりこの先、難敵が控えてるって事ですね?←ナゼ(笑

今回はそう入り組んだ話ではないので、本当に淡々と…。
女性を対象と出来る2人なので、全くないのも不自然だしw

佐倉さん、あまりにも熱が低かったのかも。
そりゃ、彼女も不安になるよねー。うら若き乙女だもの。。。

そう、佐倉くんは根は真面目ですよ~。

眼鏡の地味メンくんは今のところ「好みのタイプ」ってダケですが…どうなるか。フフ腐

有難う御座いました☆

NoTitle

kiri様 新連載おめでとうございます~  ちょっと遅れたけど。
更新はチェックしてたので、連載始まってから読んでたんですが、月末月初は曜日に関係なく、忙しいので、コメもできず、今になっちゃいました。

リーマン同士の物語、大好きです。
BLに嵌り出した頃に読んだ小説が、同じ銀行の超やり手営業マン(受け)と後輩営業マンの物語でした。
やり手なのにストレスで病気になっちゃうくらい、無理するんですぅ。
その話をちょっと思い出しました。
私のリーマン好きの原点だったので・・・
あ、一番好きなのは、高校生なんですけどね~
隼とか隼とか隼とかwww

今回はゆるやかなお話しということで、安心して読ませてもらいますね。
ちょっとじれじれしながらなんだろうけど(笑)
あんまり先読みしないように、素直に楽しませてもらいます。

いつもありがとうございます。

みゃお様グッズをまたういちろ様のところで買っちゃいました。
ばねポーチなんですが、生地を選んで、中にはんこを押して貰ったんです。
中だから、人前でも安心して使えるし、ニヤニヤもできるし(笑)
好きなものは2個買いするので、前回1個、今回2個。
かなり気に入ってます。
私の小さい手でも片手で開けられるし、使いやすいし、懐かしい・・・
隼をいつも眺めてます♪

kiri様に報告できて、よかった~

Re: NoTitle

蝶丸様

>更新はチェックしてたので←うおー有難う御座います!
そういうのをね、チラチラと感じて…ヤらにゃいかん!!と思って、何とか…。

リーマン同士のお話なので、お仕事のシーンもちょこちょこ出ます。
。。。が、かなり削除しました(涙
やっぱりね、ブログで1日1ページだと仕事のシーンが延々と続くのもね。
本とか完結したのを読むのとはまた違うので、凄くやり難い部分もあります…正直。
でも、頑張りますねー。

>あんまり先読みしないように、素直に楽しませてもらいます。
そう!もうコレが一番、書き手としては有難いのです。
ミステリー小説じゃないので先読みは簡単だと思うので、そこを言われるとめっちゃ困る(笑

あ。みゃお様グッズ…。
手作り感が凄く温かいですよね…。大事に使おう!と思えるし♪

>隼とか隼とか隼とかwww ←笑

高校生モノも、久々に書こうかな…と思いつつ。このところ遠ざかり過ぎて、思い出せない。
またいずれ…♥

有難う御座いました☆

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Re: NoTitle

鍵コメk様

珍しく早起きしたkiriです(いつも遅いw

お久しぶりですねー。

>THE 炙り出しBL! どんなだ!(笑)←えぇ…新ジャンルをば(オィ

わ、背の高いメガネSEが好み?バッチコイ!!なキャラですよ。。。
中身はどうだろ…(苦笑

この中途半端さ満載の年代。地に足をドッシリつけて行くにはもう少し!
そんな感じで、見守って下さい♪

またよろしくお願いしますね。
有難う御座いました☆

Re: NoTitle

鍵コメy様

お久しぶりですー。いえ、ちょっとサボっておりましたの…。
タイミング良かったですww

わーん!有難う御座います(≧▽≦)ウレシー
たまたまですが、早起きしたかいがありました!!

是非…。是非に。

よろしくお願いしますm(__)m

あ、ノンケ系や10代絡み+ほんわか系…ってことは、やはり「ここに~」がピッタリだったかなー。
一つでも好みがあったら、書き手は嬉しいものです♪
今回も、序章で…( *´艸`)嬉

忙しいようですが、また覗きに来て下さいね!
有難う御座いました☆
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