女性向け創作サイトリンク集B-LOVERs★LINK 人気ブログランキングへ

「● 勇次と隼☆番外編」
牧村三兄弟

牧村三兄弟+α-2

 ←牧村三兄弟+α-1 →牧村三兄弟+α-3
父が母の顔を見て、優しい顔をしているのを見ながら隼は思う。

家の中のことは母親に全てを信頼して任せて、ただ外で家族のために寝る時間を削って働いて……。
子供のことを全て把握なんか出来る訳もないか。

ただでさえ、医者という仕事は人の命を預かってるんだ。
もう今の俺の年には、兄貴が生まれていたしな。
男として父として、祖父の代からの病院も守らなきゃいけないし。
……必死だったんだろうな。

祖父が亡くなったのは、まだ小さい頃であまり覚えてない。
けど、三十くらいでこの病院を継いだのだと思うと……。
考えたら、今の兄貴とそう変わらない。

スゲェな……親父。

隼は、今まで気づかなかった自分に驚く。

俺、何処見てたんだろう?

父親にも何か言うべきかと思うけど、照れくさくてとても言えそうにない。
二人だけならまだしも、母親もいるし。
それに、何を言えばいいのかさえ分からない。

「仕事、順調か?」
「あ……うん」
「ならいい」

短い会話。
昔から、こんな感じだ。

でも、昔と違うのは……父なりに心配してくれてることが伝わること。
多分、父が変わったのではなく俺の受け取り方が変わったんだろう。

「親父、心配しなくていいよ。そりゃ、それなりにストレスはあるけど、やりがいある仕事だし」

自分なりに今言えることだけを言っておこうと思った。

「そうか……」
「そう」
「ま、元気で仕事さえしてくれてたらそれでいい。もう、心配かけられることもないだろうしな」

親父の言葉を、昔の俺なら……歪んで取っていただろう。
でも、今は素直にそのままで受け取れる。

心配をしてくれていたのだ。

俺のことを、ちゃんと愛してくれている。

「大丈夫」

自信を持って答えた。

言わなければいけないことは他にもあるんだろうけど。
俺がちゃんと頑張ってることが伝わればいい。

だって親父の顔は嬉しそうだ。

隼は両親を見て思う。

俺は、この二人がいたから生まれてきたのだと。

孫を見せてやれないのは申し訳ないけど、それはもう兄貴や翔が果たしてくれると願うしかない。

母は言った。
俺が生きてるだけでいいと。

父も同じだ。
元気で仕事さえ……って言い方が、男だと思えるだけで。

「もう家へ帰りたい」

珍しく母が父に我儘を言っているのが聞こえる。

「もう子供らは大人になって世話かからないんだから、ゆっくりしなさい」
「でも、翔が……」
「飯くらい、自分で勝手に食える。いくつだと思ってるんだ」

本当に。
いい加減、翔だって飯くらい何処でだって食べられるようになればいいのに。

あいつは……。

「いい年した息子を、甘やかすな。末っ子でも、もう大人だぞ?こういう時くらい、自分の体を優先しなさい」
父に怒られて母が俯いた。

そこへ院内放送で院長の呼び出しがかかる。

「とにかく、俺がいいと言うまでは帰るな」
「主治医は柳先生よ?」
「……だから、柳には俺から聞く」

コクリと頷く母を見て、父が困った……という顔をして隼を見た。
隼も苦笑いして何度か小さく頷く。

そのまま父が部屋を出て行った。

「怒らなくても」
恨めし気な母に、隼が吹き出す。

「母さんが早く体完全に戻さないとさ、親父も困るんだよ。家のこと、全部任せっきりで何も出来ないんだから。仕事にだって支障きたすだろ?」

隼が言えば、母が目を丸くした。

「……あんたにそんな風に諭されるなんて」

そんなに驚くことか?
俺だってもういい年だっての。

実際自分が病気したら……勇次のことが気になる。
部屋散らかすだろうし、飯とか洗濯とか色々。
だから母親が家に帰りたがるのも分かる。

「翔は?」
「後で来ると思うけど。あの子、ほんともう……」
「彼女いたろ?」
「最近真っ直ぐ帰ってきてたから、別れたのかしらねぇ……」

翔は大学でサッカー連に入り、社会人でもリーグ戦などで飛び回っていたが、試合中の怪我で膝を故障してしまった。
地域ではそれなりに有名だったが、やはりプロの世界は厳しいことを翔なりに早くから分かっていたようだ。

高校の時に一度壊した膝が、もう限界だったのだとも言っていたから。

そういう話を一度したことがある。
好きでやめる切っ掛けが無かったから諦めもついたのだと、散々泣き腫らした顔で俺に言った。

今は地元のサッカークラブで、コーチをしている。
スポーツのマネジメントやトレーナーとして留学したいと言っていたが、そのまま会ってない。

この際良いタイミングだから、家に呼んで飯食わせてやろう。


そこへ扉が開いて入ってきたのは兄だった。

「隼……来てたのか」
「兄貴こそ。病院は?」

優はまだ、大学病院に勤務だ。
外科の世界は数をこなす……聞こえは悪いが、そうやっていくつも経験を積まないといけないらしい。

「病院から来たんだよ。明日は一応休みだから」

話ながら母親の傍に行き、瞳を覗きこんだり色々と……仕草が完全に医者そのものだ。

「うん。顔色も悪くない」
「兄貴。ここ親父の病院だろ」
「……そうだけど」

真面目な顔をして……相変わらずだ。

「今日は実家に帰るよ」

母に告げてる声は優しい。

「そう?」
やっぱりこういう時、長男だよなぁ……なんて思う。

母も頼っているのが、目に見えてわかるからだ。
俺や翔に、母はあんな顔しない。

兄貴には、親も病院も肩に乗っかってるような気がする。

いや……実際はそうだろう。
いずれこの病院も、兄貴が継ぐ。
母のような嫁を貰って、子供に跡を継がせるために父のようになって行くのだ。

この兄がそれを放棄したら……この兄が居なかったら、それは俺の役目になっていたのかもしれない。
病院は、別に医師がいれば続くものだろうけど。
祖父の思いが込められていることを思えば、そう簡単に割り切れない。

受け継ぐ……って、凄いよな。
護るって、凄い。
誰かの代で、いずれは壊れて行くものなのだろうけど。
時の流れや時代には、抗えない力がある。

「お前は帰るのか?」
「いや?別に急がないけど」
「翔がそろそろ来るから、久しぶりに三人で飯食いに行くか?」
「久しぶりって……大人になってから、まだ一回も無いよ?俺と翔はたまにあるけど、兄貴ずーーっと忙しいじゃん」

隼が笑えば、そうだな……と、親父と同じ口調で答えた。

それがヤケに可笑しくて、親父と顔はあまり似てないのに親子なんだと思ってくすっと笑った。


ランキング参加中。応援、有難う御座います!
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
人気ブログランキングへ
関連記事


総もくじ 3kaku_s_L.png お知らせ
総もくじ 3kaku_s_L.png 愛なんぞ、くそ喰らえ
総もくじ 3kaku_s_L.png ● 信史と秋也☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ● 勇次と隼☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ● 龍介と達也☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●洋平と明良☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●冬吾と澪☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●内野と浩太☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●堂本と拓篤☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png ●北見と佐倉☆番外編
総もくじ 3kaku_s_L.png シリーズモノ〈番外〉集
総もくじ 3kaku_s_L.png パラレル
総もくじ 3kaku_s_L.png 頂きモノ
もくじ  3kaku_s_L.png はじめまして
総もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
もくじ  3kaku_s_L.png 視線が追う先に
もくじ  3kaku_s_L.png 溢れる想い
もくじ  3kaku_s_L.png 逢いたくて
もくじ  3kaku_s_L.png 愛を、くれ。
もくじ  3kaku_s_L.png 蜜月
総もくじ  3kaku_s_L.png 愛なんぞ、くそ喰らえ
もくじ  3kaku_s_L.png 恋のカタマリ
総もくじ  3kaku_s_L.png ● 信史と秋也☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ● 勇次と隼☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ● 龍介と達也☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●洋平と明良☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●冬吾と澪☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●内野と浩太☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●堂本と拓篤☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png ●北見と佐倉☆番外編
総もくじ  3kaku_s_L.png シリーズモノ〈番外〉集
総もくじ  3kaku_s_L.png パラレル
総もくじ  3kaku_s_L.png 頂きモノ
  • 【牧村三兄弟+α-1】へ
  • 【牧村三兄弟+α-3】へ

~ Comment ~

だめだぁ。

kiri様。

家族と言うこの話題…ダメです(ToT)

隼が幸せだから私も泣けるのかなぁ?あの頃のやんちゃなへそ曲がって、歪んだ隼が大人になったなぁ。これも大きな愛のお陰かなぁ。勇ちゃんて偉大だ。

私がこの年で未だにへそが曲がってやんちゃなのは勇ちゃんみたいな人がいないからか?てへへ(^w^)まだ、公約のパンツ…脱げてないし…。

明日の三兄弟の会話…楽しみです。

カツ丼食いながら今日も涙ぐんでる潤でした。

あっ!トニー賞に輝いたの!レズものでしたね。はあーっ、渡辺謙さんよりそっちいっちゃった。

誰か?くそ食らえ…を映画撮ってくれないかなぁ?アカデミー賞にノミネートされたら食い下がって取材に行くのに…

配役難しいか?洋平?東出昌大さん?良くないですか?

明良は全然思い付かないけど…(*≧∀≦*)

私が宝くじ当たったら撮ろうかな?サマージャンボ…買います!

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

NoTitle

1話、2話と読んで、

『親の心子知らず』

正にこれだな~、と思いました。

kiriさん、読ませるなー (ノω・、`)グシグシ

明日は3兄弟の会話が聞けるのかな?どんな話題になるんだろ?楽しみです。←盗聴とも言うwww


それでは~┏○))ペコ

Re: だめだぁ。

潤様

家族の括りで見ると、それぞれのお家にカラーがありますね。

家庭的な母と、仕事人間の父。
典型的な、昔の日本の形…とも言える夫婦w

思春期に色々あって、一人でモヤモヤしすぎて、歪になっていた隼くんが大人になったねー。
一番手を焼かせた子が、子供を相手にする先生というお仕事に就いたのも感慨深いだろうな…。

うん。勇次の存在が、グルグルしやすい隼を包んでるのが見えますね。
足に地をつけて、勇次と共に太陽から目をそらさずに生きてます!

トニー賞!謙さん、活躍されてます…。まだ若くてそう売れてない時に「良い男」だな…と思ってら。
いつの間にか、大物になってました。やっぱり、光る素材って素人目にも感じるもんなんでしょうね。
堂本っちゃんが年取ったら、あんな感じかな…。

え?くそ喰らえですか?
明良の役する人、大変だよ…。女性からは、亨以上にブーイングが来そうです(笑

そう言ってもらえるだけで、嬉しいデス(*゚ー゚*)

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

トーヤ様

子供が大人になるまでは、親も色々葛藤するよね。
本気で腹も立つし、子供と一緒に感情をむき出しにすることだってあるもの。
お父さんも、言いすぎた自分を責めた時間あっただろうし。

隼の胸に刺さった言葉の刃は抜けないままだろうけど、それも抱えて生きるって言ってたもんね。

我が子を愛して心配する気持ちだけは、父も母も同じだよね。
隼はちゃんと見えてきたようです。。。

明日は翔も出ますよ~。うん、盗聴してて(笑

有難う御座いました☆

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: NoTitle

鍵コメe様

あ。題名ですよねww
アレ、「-」入れるかどうか迷ったんですよ。ギリギリまで。

牧村三兄弟+α 1 ←これにしようかな…って思って、でも隼が理数系なんで数式みたいな方がいい?…と思っちゃって。いつも入れてるしな~と。
ただの書き手の自己満です。紛らわしくてすいません!そんなに恐縮しないでー。
いやいや、ちょっと意図したのは事実なので的は掠ってます!誰も減ることも無いのでご安心を♪

そうなの。隼はやっぱり先生なのよね。
でも自分のことになると、案外客観視できてない部分もあったりするし。
父親の愛情なんて、普段分かり難い…。結構話好きな方なら伝えるでしょうが、隼父は言葉も少ない。
今は離れて暮らしてるから余計に機会も無いしね。

そう、優はまだ未婚。お家も出て、医者の道をただ突き進んでおります…。
嫁募集したら、是非!!隼の義姉=勇次の義姉。キャー(//∇//)

次男、長男と続き、明日は末っ子が参加です…ww

有難う御座いました☆

NoTitle

男家族に母一人。
みんなして取り合いすることもあったのでしょうね~。
だけど、そのに何かあったら一致団結!!甘やかされてる末っ子だって頑張ってくれることとo(`^´*)

おかあさん、幸せですねっ!

そして隼目線で見る牧村家の風景。
微妙な嫉妬も混じりつつ、今だから分かることもたくさん♪

父の不器用な愛も分かって…。

さて、ご飯はどこに行くのかな?
信濃だったらC.Cとあえるかもよー!

人はだれでもだれかのこども

こんにちは。kiriさま、ファミリーのみなさま。

始まりましたね~新連載~\(^o^)/
家族物語・・恋愛・エチ重視ではもはや満足できないツワモノ揃いの皆さまの狂喜乱舞が目に映るようです(^^)/
こうしてキャラを掘り下げていただくと、より魅力が増すというもの。
SSならではの凝縮感。とっても楽しみ~♡

ミケリは子供を持てなかったので、いつまでたっても子供目線・立場。
隼の気持ちが痛いほど分かります。それはもう・・悲しいほどに。

子供にとって「親」というものは、とっても大きくすごく完璧に見えるものです。絶対に間違えない、正しい存在なんですよね。
でもおかしいな~と思い始めると・・その思いを否定してしまうか、反抗するかに分かれるような気がします。

いつ頃からかな~親だって完璧じゃない、成長過程なんだって分かるようになったのは。親が子供を持った歳に、自分が到達した頃かな・・。
隼・・キミの両親もきっと思ってる。自分たちもヒトの子供で生まれ育ち、そうやって成長してきた、同じだよ・・それでいいんだよ・・って。

それではまたきます~
今日の一言・・・親への恩返しは、心配させない生き方をすることでなんとか・・なってるのかな・・?天国のちちはまだ心配だろ~な~すまぬ・・ちち。

Re: NoTitle

ますみ様

小さい時って、親の取り合いとかするもんね。
一人っ子だと、そこらへんの闘いは知らないと思うんですが…。

母はお家を守ってくれてる存在。
息子達は外に出て、お家に帰ったら母の作ってくれたご飯食べて大きく成りました。

お父さんも、十年前じゃまだ若いもんね。
それに仕事人間でカタブツだったから、表現があまりにも未熟でした。
でも今は息子が幸せそうに平和にしてることが何より。

あー信濃は遠い。。。ザンネン!

有難う御座いました☆

Re: 人はだれでもだれかのこども

ミケリ様

SSってエピソード的な一つだから、書く方も読む方も程良く脱力出来ますねw

>子供にとって「親」というものは、とっても大きくすごく完璧に見えるものです。
うん…分かるな~。
え、ヤダ。…なんてとこもあって、それが自分が大人になってきたら「あれ?似てる」って笑える部分だったり。
年取ると知らずに親に似てきてる自分やきょうだい達(笑

くすって笑える時、大人になって許容範囲が少しは広がってるのかもしれません。

今じゃ、反抗期というか…そういうのも無い子も増えてるようです。
その分、自分を確立する自己主張が薄い草食さんが増えてるとも聞きますが。
どっちがイイのかは、分かりませんね。

そう。ほんとね、子供居たらそりゃ色々期待もしてしまうんですよ、きっと。
でも、最終的には心配かけずに元気でいてくれたら…と思うんだろうな。

有難う御座いました☆
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【牧村三兄弟+α-1】へ
  • 【牧村三兄弟+α-3】へ
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ