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恋のカタマリ

恋のカタマリ-193

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何がそんなにおかしいのか、自分達にも分からず。
ただ相手が笑う声がまた可笑しくて、治まらない。
昔、こんな風に笑い合ったことを思い出して、少しばかりの切なさを感じながらも笑った。


ひとしきり笑って、顔がまだニヤけたまま大成が向き直る。


「ホントにいいのか?あの刑事で」
「うん……あの刑事がいい」

拓篤もまだ口元を綻ばせたまま、答えた。

「……そういう顔するんだ」

そういう顔?拓篤は、大成をキョトンと見る。

「満たされた顔ってヤツ」
「……そうだな。俺、満たされてる」

大成に言われて、本当にそうだと思えた。

「ならいいけどさ」
「心配するな、大成」

拓篤が真面目な顔に戻る。

「ん?」
「俺、あの人には結構頼ってる」
「……そっか」

小さく何度も頷いて、大成が口元を引き締めた。
その顔が少し苦みを含んでいるように見えるのは、気のせいだろうか。

……そうだ。
大成はあの頃、俺を守ってくれているつもりだったんだったな。

目の前の大成の目が一旦ギュッと閉じられて、拓篤を見る。

「……力が無くて、悔しかった。勝手に勘違いして、お前に当たって……ガキだったよな」
「俺も、お前に酷いことを言った。同じだ」


無言で目を合わせ、少し照れくさくなって目を逸らした。


二人で言い合いになった時のことを同時に思い出し、また目を合わせる。
言わなくていいことまで言葉にして、互いに傷つけ合った日の苦さを共有して。

大学で大成に掴みかかって殴り合って……その日に、堂本と再会したことも思い出す。

お前と喧嘩してなかったら、クラブに行こうなんて気にならなかっただろう。
あの時、燃え尽きた残骸のようになっていた俺に、お前が火種を点けたようなものだ。

二人でしばらくの間、過去に思いを馳せるように沈黙が流れる。
大成も帰ろうとしないし、拓篤も店に戻るとは言わない。

十八で抉れた俺達が、今年二十六になる。
空白の八年の間も、何度もぶつかった。

たくさん話したいことがある。
大成と、色んな話を……。


「小夜子ちゃんは元気か?」

沈黙を破ったのは、大成だった。

「会ってないよ。……てか、今はまだ拒否られてる最中かな。時間かけるよ」

大成の目が瞬く。

「小夜子ちゃん、キツいもんな……」
「うん。俺の妹だし」

大成は小さい笑みだけを浮かべ、何も言わなかった。
下手な慰めより、黙ってくれているのが有難い。

大成のこういう処が、好きだったんだ。

そう。今じゃなくてもいいんだ。
これで最後じゃない。

「なぁ……今度、飲みに行こう」
「いいのか?あのオッサン、ウザそう」
「ダチと飲みに行くだけだ」
「……ダチか」

大成が嬉しそうな顔をするから、拓篤も嬉しくなった。

「けどさ……俺だと絶対良い顔しないぜ?」
「あ……うん」
「何か男同士って、そういうの面倒だな」

ハッキリと言われて、拓篤も苦笑い。

でも、好きなんだよ……どうしても。
面倒でも何でも、好きなんだ。

「ちゃんと断り入れてから、連絡する」
「わかった。絶対な?」
「うん」
「仕事中に悪かったよ」

拓篤が首を振れば、ニッコリと笑ったまま手を上げて帰って行った。

その後ろ姿を見ながら、拓篤は嬉しさで胸がいっぱいになって行った。

*

キッチンで夕食の用意をしていると、玄関が開いて堂本が帰って来た。

「お帰りなさい」
「ただいま」
「もうすぐ出来るよ」

拓篤が下味をつけた鶏肉を焼いていると、堂本が背中から抱き付いてきて後頭部に額をグリグリとしてくる。

「浮気現場見ちゃって……今日の俺は、ハートブレイク」
「何のことだよ」
「店の前で堂々と、イチャついてた」
「大成?」
「他に誰がいるんだ」

拓篤が手を止め、振り返って堂本にチュッとキスをした。

「あ……何てことをっ」
「お帰りのキス」

後は無視して、肉をひっくり返して行く。

「拓篤く~~ん」
「アレを浮気とか言われたら、誰とも喋れないだろ」
「あいつは別だ」
「心狭いなぁ……近平くん」
「は?誰が?あの男が何をしたかっ」
「も~~煩いっ。後で!今、肉焼いてんだよ」

拓篤に邪険にされても、堂本はうなじに鼻をすり寄せて離れない。

「オッサン、着替えろ。今、サカって何かしたら肉が焦げる」

低い声で言われて、堂本は口をへの字にして渋々と離れた。

*

一緒にご飯を食べながらビールを開けるが、まだ堂本がちょっと拗ねてる。

「オッサン、拗ねるなよ……いい年して」
「あの軟禁魔」
「それヤメろ。可哀想だろ?」
「は??おまっ……あいつには、甘いっ」

拓篤がため息をついて、堂本を見る。

必死で探してくれていたことを思えば、堂本が何かしら思うのも仕方ない。
でも……俺は、大成ともう一度友達としてやり直したい。

「大成のこと、まだ怒ってるんだ」
「怒らない男がいたら、見てみたいもんだ」

そうだよな……。

「俺、一緒にご飯食べたり飲みに行ったりしたいんだけど……ダメ?」

拓篤が単刀直入に聞いてみた。

自分は、堂本には克哉と二人で会うなと言っておいて。
そこを突かれたら、互いに譲り合うべきだってことも。

分かってるんだ。
お互いに、どうこうなる訳じゃないのも。
ただ、気に入らないっていうだけの感情。

堂本は顔をジッと見て苦々しい顔をする。

「行きたいのか?」
「行きたい」
「……しょうがないな」
「え?いいの?」
「あぁ、いいよ」

あっさりとOKを貰って、拓篤が目を輝かせる。

「俺は克哉さんと二人で会っちゃ駄目だって言ってるのに?」

堂本がそこで、くっと笑った。

「お前は……黙ってりゃいいのに」
「でもっ。堂本さんと克哉さんは、元恋人で……何回も寝てる」

どうだとばかりの拓篤の理屈に、堂本が首を振る。

「プラトニックな程、性質(タチ)が悪いって知ってるか?」
「……え?」

堂本が拓篤を見つめて、微笑む。

「まぁ、いい。お前を見てれば、分かるしな」
「何が?」
「嘘ついたり誤魔化したりしたら、すぐバレると思っとけ」

「俺、浮気しないよ!!」

拓篤が怒ったように言えば、堂本が眉を上げる。

「信用してないのかよっ。…………あっ、ちょっとしたけど」

水埜とのことを思い出して俯くと、堂本が小さく笑った。

「ちょっと?」
「……最後まではしてない」
「そんなことだろうと思った」
「…………」

墓穴を掘ったような心境になり、拓篤が言葉に詰まって黙り込んだ。


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愛情確認

Kiri様

嫉妬って愛情確認的なところありますよね。強い束縛は問題ありだけど、好きなら嫉妬してしまうし嫉妬して欲しい!
コレって男性同士でも同じかな?

疑うみたいなかんじではないけど、『俺だけ!』みたいに思って欲しいし特別な相手だからかこそ好きの確認してしまう。

堂本さんは細かいことには拘らないしそこが大人な感じで、でも愛情表現は怠らない。そう感じてます♪
ドンピシャのタイプだわ~。
今日もありがとうございます。

Re: お久しぶりです

鍵コメT様

お久しぶりです^^

あ、ほんとだ(゚д゚)

37でも何でも、見つけたらいつでもどこでも教えて下さい~。
そこの記事から拍コメでも何でも(厚
結構、読者様がこっそりといつも教えてくれるんですよ(過去作)

有難う御座いました☆

Re: 愛情確認

ふらわー様

嫉妬はちょっとしたスパイスですよね。
勝手にヤキモチ妬いて、呆れながらも愛情確認♪

男同士でも、そこは同じだと思いますよ。
っていうか、大成じゃないけど同性ってこういう場合、ほんと面倒というか大変。

堂本は大成にダケは、ちょっと面白くないのね。それでも「いいよ」って(渋々でもw
拓篤の態度や口ぶりが「特別」だってことを表わしてるから。隠せない…仔猫(笑
でも、こんな風に信頼されたら大成だって、二度と傷つけるなんて出来ないよねー。

有難う御座いました☆

NoTitle

今は少し成長したから、だから笑って話ができたんでしょうか。
振り返ってみると当時の自分達は若かった、って?
お互いに『どうして分かってくれないんだ』って感じでしたものね。
ああ、私も振り返ってみると…(・・。)ゞ ポリポリ

堂本ったん、拗ねる拗ねるwwww
そういや龍介さんが言ってましたっけ。拗ねると面倒だって。(。・w・。 ) ププッ
拓っくん、アナタの愛があれば大丈夫よ、きっと(笑


~本日の『流涎の館』会報
●すとりっぷ>http://u555u.info/ld0I
密かにロン毛祭り♪( *´艸`)ムフ
http://mansexfashion.tumblr.com/post/119436760417/man-sex-fashion-follow-me-on-instagram
●猫の挨拶>http://gayinhighschool.tumblr.com/post/118906605642/lovehouse-o-l-o-v-e-h-o-u-s-e-o

●認証>http://omocoro.jp/kiji/55859/
●パナップ懐かしい>https://twitter.com/cook_labo/status/567881127421063168
●大人だけどうぞ>https://twitter.com/myonnii/status/601720289651658752

では、明日~┏○))ペコ

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Re: NoTitle

トーヤ様

まぁ、誰にでも青い時代はありますから。
私の仕事仲間に「今の知恵のままで10代に戻れたら、すっごい大人になれる」が口癖…。
ンなもん、誰だってそうでしょ…と、心で呟く私です(爆

そう。後輩くんの言う通り。
堂本ったんは、時に面倒臭いのです。
しかし、わりとすぐに機嫌も直るので扱いはそう難しくないw
そういう後輩くんも、嫁に「扱いさえ間違わなければ単純」と言われてましたっけ…。
やっぱ、似てる部分あるのかも?w

●認証> たま~に、え?何これ?って認証があります。老眼キてるな…と凹
●大人だけどうぞ> 完全にアウトーーー!!

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

鍵コメs様

そうね。拓篤、やっぱり大事に育てられたボンボン(笑
こういうとこに出ますね…。

色々あったけど、捻くれてないし。
基本的には素直なんですよ。懐いた人間にはもう、好意丸出しww
それ以外は淡々なので、その差がデカいんですけどね。
大成もまだ青い頃は、それを何処かでラブの方向に変換しかけたようですが…。
拓篤も気づいたもんね。本当の欲望とは違うって。
それに次に何かあれば、拓篤との関係は終わる。手なんか出せませんて…怖くてw

次はどうかな…。この1か月以上、全く何も書いてないぞ…。
改稿のみ!!←堂々と言うな…(;´∀`)
なんかね、書く気が今ちょっと無くて…。別に何もなく、のほほん。ヤバ

有難う御座いました☆

振り返れば過去。

そうよー、今朝のことだって、堂本ったんの出現だってもう過去。それが積み重なっていくのよ。
まるで着ない服がタンスの肥やしになるように・・・・(怖っ)。

大声で笑い合って、少しだけ和解して。それでもすぐ「飲みに行こう」って言えるのは若さのせいかもね―。二人ともまだ20代!!
拓篤の数少ないオトモダチの立ち位置、死守してね? 大成。


堂本さんはきっと、大成の名字を忘れたふりして言い続けるんだろうなあ。
「よう、(軟禁魔)大成」って。
刑事のしつこさに、恋人としての狭量さが加味されてるから・・・。
けど、仔猫のお目々キラキラは、可愛い。
ま、ベッドで「思い知らせて」る、から、見て見ぬふりするのかも(笑)。
頑張れ、’俺のヒーロー’ 、近平くんっ!

さーて、拓篤先生のお花教室、開講はいつかな~~~。
毎日、水埜社長のホムペ―ジやブログ見て待ってます♪

Re: 振り返れば過去。

ますみ様

大成に8年分、聞きたいことがあるように、大成にもあるでしょうね。
小夜子ちゃんのこと知っていて、サラッと聞いたり…。
拓篤が妹を大事に思ってるのは知っていたし。
でも、不必要なことも、諭すことも言わない。あ、うんの呼吸…。

やっぱり、友達って「特別」だと思います。
恋愛とは別の場所もちゃんと持っておくことが望ましい…。
仕事柄、接するのは女性相手が多いだろうし、大人になるにつけ友達って簡単には出来ない。
学生時代の友人は、肩書も何もなく素の自分でいられる存在!

そして年上の恋人としては…「ダメ?」と聞かれた日には、頷くしかない…笑
キラキラのお目々で、嬉しそうにされちゃうとね~…。

お花の教室は、そろそろかな~。でも、講師は週に2回くらいだから、ゲットしないと!!

有難う御座いました☆
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