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恋のカタマリ

恋のカタマリ-190

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「そういえば、お前の名刺見たことないな」

堂本の言葉に拓篤が立ち上がり、ソファーに置いたアタッシュケースから名刺を取り出して見せた。

「うわ……。花の透かしか、これ。凝ってるな」
「会社にデザインする人が居て、作ってくれるんだ。水埜はカラーで、俺は百合をモチーフにしてもらってる」
「会社の皆?」
「フローリストとしての資格持ってるのは、俺と社長だけだから。後の皆は、薄いグレーで縁取った薔薇で統一」

へぇ……と、感心したように、名刺を裏返して眺める。

「そういえばさ……二回目に会った時、取り調べ室で最後に名刺くれたじゃん?あの時、頭撫でられてロックオンされたのかな」
「あれでか?」
「う~ん……わかんないけど。帰ってから、テーブルに置いて眺めたもん」

高宮へ電話をかけようとして、名刺を見ていた。
携帯に表示された高宮と堂本の名刺を比べていたっけ。

「お前、一匹狼みたいだったし。好戦的で危ない感じがしたからな」
「うん……だね」

その通りだ。
一人で孤独に酔って、バカなことをしていた。

「名刺なんか、警官が誰彼構わずに渡したりはしない」
「持ってるよ、まだ」
「え?」

目を剥く堂本に、拓篤が立ち上がって私物を入れた棚をごそごそとして戻ってきた。

「はい」

渡されたのは、ラミネートされた名刺だ。

「大学でこっそりラミネした」

堂本が自分の名刺を眺める。
何の変哲もない、あっさりとした名刺だ。

「嫌なことがある時、時々取り出して眺めてたんだ。堂本さんは、いつも居るべき場所に居る人だったから」
「居るべき場所?」
「表」

堂本が目の前に立つ拓篤の腰を抱き、後ろ向きの姿勢で膝の上で抱きしめる。

「ちゃんと、俺のところに来て偉いぞ」
「ストーカーでも?」

堂本が拓篤の背中に頬をすりつける。

「そんなに俺に会いたかったのか」

実感のこもった言い方に拓篤も茶化すことが出来ず、体を捻って堂本の首に両腕を回した。

「何があっても……絶対、そこに居るって。一度だって、疑ったことない」

拓篤がいつものように、堂本の首筋に鼻を摺り寄せる。

「疑ったことないって、凄いなぁ」

堂本が笑う振動が伝わる。

「なんかさ……不動の男みたいに思ってた。買い被り過ぎ?」
「いや、俺はこれからもそこに居る」

即答されて、拓篤の口元が緩む。

「堂本さんは、気負いなく誇りを持ってる」
「俺だけじゃないぞ。警官という仕事を選択した者は皆、そうだ」

それでも時には脱落してしまう人が居て、マスコミに曝け出される。

「俺達は法を犯した時点で警官ではなくなる。人間だから、なんて言い訳は通用しない仕事だ」

法を犯した時点で、警官としての誇りを棄てるってことか……。
あの時も道場で、未成年だからってハッキリと断られたっけ。

「うん……分かる。俺が誘ってもビクともしなかったし。こんなにエロいのに」
「エロいは余計だろ」
「事実」

拓篤が頬にブチュっとキスをして、膝の上から退いた。

*

二人で掃除をしてから家を出て、デパートに向かう。

その前に途中にある不動産屋に向かい、新しい物件を紹介してもらった。
男の二人暮らしを嫌がる不動産業者も多いが、警官という身元のためか何も言われない。

拓篤の荷物自体は増えていないが、リビングに仕事の本や雑誌、道具が入った籠が片隅に積まれているのが不憫で。
いつもごそごそとそこから出して来ては、最後にはきちんと片づけるから、散らかるという程ではないんだけど。

結局、前とあまり変わらず、二人で頭を下げて不動産屋を出て車に乗り込む。

「試験終わってからでいいってば。俺、堂本さんと一緒だったら、狭くても全然いいよ」

またそーいう可愛いことを、すんなりと。

……と思っていると、拓篤がさっさとエンジンをかけて車を出した。

*

デパートで紅茶と蜂蜜を買って、他に見る物はないのかと問えば首を振る。
拓篤は本当に、無駄遣いをしない。

欲しい物を決めて、買う。
いつもそういうスタンスだ。

持っている物は、ブランド物というより品質の良い物が多い。
物を丁寧に扱い、大事にする。


「ちょっと早いけど、ご飯食べて帰ろ?」
「いいよ。何食べる?」

時刻はまだ夕方の五時半だ。

「この近くにポルトガル料理があるんだ。そこでいい?」

堂本が頷くと、さっさと前を歩いて行く。

拓篤に連れられて行かれたのは、店構えは極普通の小さな店だった。
凄い高級な店かと思ったが、普通だ……と思って中に入る。

……が、中は年代を感じさせるものの、空気が違った。
どう違うのかと問われれば上手く言えないが、店主のプライドともいうべきものか拘りなのか……全てが統一されている。
気軽に入れる店ではないのだと、感じた。

「坊ちゃま」

店に入るなりコックコート姿の男が厨房から出てきて、コック帽を取るなり拓篤に抱きついた。

「よくぞ……ご無事で」
「ちょっ……平岡さん。戦争行ってた訳じゃないんだから」

拓篤が嫌がって、体を離す。

目を丸くしている堂本に、拓篤が互いを紹介した。

どうやら……祖父の代からの知り合いらしい。
目に涙まで溜めていて、かなり心配していた様子だ。

なのに拓篤はといえば、淡々とした態度。
その違いに平岡を気の毒にも思うが、いつものことなのだろう。

「全然お顔見せて下さらないから」
「うん。近所まで来たから」

そう言って、我が物顔でさっさと歩いて席に着く。

「堂本さん!!」

呼ばれて、慌てて席に座った。

「高飛車だな」
「え?そうかな……」

全く気付いていない。
きっと古巣のような場所や人には、自然と出るのだろう。

「いいんだ。お前にはお前の世界があって、相手がそれを不快に思わないんだったら」

「そうですよ」
自ら冷水を持ってきた平岡が、ニコニコしてテーブルに置く。

「今更、変えられては戸惑います。少なくとも、私にはそのままで居て下さい」
「もう、坊ちゃまって呼ぶのやめて。何回も言ってるのに」
「はい」
怒ったように言われて、頭を下げる。

「俺、もうすぐ二十六だよ?それにココは平岡さんのお店でしょ。多治見の邸じゃない」
「はい。何分……お小さい時から知っているので」

頭を掻いて苦笑いをする平岡が、堂本を見る。

「大学に入ってから何度か来て下さってたんですが、いつもお一人で。お連れ様を連れて来て戴くのは初めてでして……」
「要らないことは言わないで」
「はい」

拓篤にピシャリと言われて頭を下げ、堂本に微笑んで厨房に入って行った。

王子様を見ると、視線が合った途端ニッコリ。
自分の古巣のような店に一緒に来たのが、嬉しいのだろう。

……その態度の違いが可笑しくなって来るが、何とか笑わないように努めた。



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~ Comment ~

はぁ~おちつく(*´∀`)

今までは、拓篤が堂本さんのテリトリーをウロウロって感じだったのが、拓篤のテリトリーに堂本さんも入ってきたって感じですね~(*^^*)

相手が不快に感じないのなら今までの拓篤のままで…って言ってくれるとこが堂本さんらしいって思いました。

名刺をラミまでしちゃって(笑)
かわいいなぁ(笑)
運命の名刺だものね~(*^^*)

NoTitle

kiri様。

> またそーいう可愛いことを、すんなりと。
> ……と思っていると、拓篤がさっさとエンジンをかけて車を出した。

こーゆーところ、拓篤は男ですよね。女やと、ちょっと腕くんでみたりとか。。?!
あ、でもkiriさんも、サッサと次に進めてそう(笑)

堂本さん、自分の名刺、懐かしいやろね。
今は肩書も変わってるし。
そもそも、コレを大事に々に持ってるとか
もう、嬉しいやら愛しいやら訳わからないぐらい拓篤のこと可愛くて仕方ないよー。
( v_v)\(^-^ ) ←こんなんやった

Re: はぁ~おちつく(*´∀`)

ちぃこ様

そうです。今日は、拓篤のテリトリーへと連れて行きました。
…といっても、数年ぶりなんですがwそれも、近所だから来た(笑

皆、ほんと心配してくれてた。本人も、有る程度は分かってるんだろうけど…。
やはりココは若いもんで^^;感謝なんて、人に言われてするもんじゃない。色々気づいて行く!
それより、堂本さんが自分の古巣に居るのが嬉しい拓篤くんでした。

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

優様

拓篤、仔猫モード以外では淡々ww
そうやねー。女の子だったら、しなだれかかり…とかも可愛いですが、拓篤にはそんな頭無しw
あ、私も…あんまりそういうモードは取得してなかった…。関西人なので、はい次!

そろそろ、肩書も変わるであろうし。まだ3次、4次残ってるけどw
大事に汚れないようにラミネ。表の世界に戻るって決めてたもんね…名刺見ながら。

色々あって、傍に居る。幸せだね(*゚▽゚*)

有難う御座いました☆

NoTitle

いつもの拓篤とはまた違った一面が見られて、堂本が喜んでる?
拓篤の“坊ちゃま”の態度がまた可愛らしいとか思ってるんだろうなあ。ふふ。^^

一緒に暮らすと分かる、自分と相手の違い。
拘りとか癖とか習慣とか?
合う・合わないありますよね~。
この二人は“そんなの些細なこと”って受け入れちゃうんだろな。
愛 が 大 き い か ら。ヾ(*・ω・)ノ ♪←スペースに意味は無いデスww

拓篤のシンプルなライフスタイルは憧れますわ~。
なんで枕元にBL漫画とか小説とか雑誌とか山積みなんだろう…Orz
地震が来たら、本に埋もれて死ぬ気がする。確実にする。


~本日の『流涎の館』会報
●ハァハァハァハァ…
http://lovehouse.tumblr.com/post/119279085203/lovehouse-lovehouse
http://jppejeje.tumblr.com/post/119282192610

●流行の口パク>https://www.youtube.com/watch?v=umDteq-g7XE
●パーカー欲しい>https://twitter.com/narinari1999/status/600450884129189889
●ランチパックのアレンジ>https://twitter.com/RocketNews24/status/600525142725361664
今日これ買った。卵が無くて残念(><;

●一人で昨夜の続き>http://jppejeje.tumblr.com/post/119282192610
毛の量次第でこのようにアレンジが可能です。なーんて?(。-∀-) ニヒ♪


では、明日~┏○))ペコ

NoTitle

拓篤が本来持っている・・・持っていた世界を少しのぞいた、のかな? 堂本サン。
でもどんな仔猫でも受け入れる度量があるライオンさん、平岡さんに同情してる(笑)。

二人で暮らし始めて、父性愛に磨きがかかって。
名刺に・・・ドッキューン!!
ラミネされた自分の名刺に、「よくやった!」とか思ったりしたかも。


ポルトガル料理?
探したら、日本の料理に似てる部分が多いんですねー。
塩漬けして干した鱈とか、鰯料理とか。パプリカ使っていたり。
そして平岡さんの腕で、絶対美味しいでしょう!


良い物を大切に、長く使う。  真似したいなー。
・・昔は体力もあったので、ブラウス1枚、靴1足にもお店を5・6軒回って平気だったのに。
今は、体がきつくない物を中心に探してマス。・・・・・はァ(ため息)。


ご飯終わるまで呼び出しがありませんように~~。
引っ越しするのに防音のしっかりした物件が見つかりますように~~(笑)。

Re: NoTitle

トーヤ様

拓篤さまに抱き付くなんて、よほど心配してたんだよね…平岡さん。
なのに、嫌がって離れましたw

平岡さんは、坊ちゃまが何をしても何を言っても、目を細めてそうです。
小さい時から知っていれば、そうなっちゃいますよね。

うん、あるある。
そりゃ今まで別々に生きてきたんだから、色んな食い違いある。
野菜の切り方一つにしても、違う。あ、これは主婦目線だw

この2人って堂本の方が合わせてるように見えて、実は拓篤が合わせて行ってるような気がする。
堂本のやること見て、一生懸命覚えて行く感じ?
拓篤にとって、堂本はそれこそ絶対的な人。
勿論、譲れない部分はそれぞれにあるでしょうけど(*゚ー゚*)

>なんで枕元にBL漫画とか小説とか雑誌とか山積みなんだろう
私も!私はBL漫画onlyです…。前は小説読んでたから、まだマシだったんだけど(BLじゃなく
漫画ってすぐ読めるから、どんどん増えて…どうしよう。
本屋行くとね、目当ての新刊だけ買えばいいのに…大人買いしてしまう癖を治したい。

男同士の睦み合いって、ほんと激しい(爆
まさに♂と♂だな~と思って、ニヤニヤしちゃいます。

口パク凄い!サヤカちゃん、さすが歌上手い!!(アナ雪観てない

ランチパックって買ったことないんだけど、ちょっと興味湧いたw

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

ますみ様

ヤンチャな仔猫が、どんどん元の姿に戻って行く。
一緒に暮して気付くこともたくさん。

王子(皇子?)のような部分も拓篤であって、そのまんま受け入れてますね。
そして、全然気おくれもしない堂本なのでしたw

拓篤が本当に自分を慕って、懐いてきたのを今になって実感してる感じかな~。
ラミネもストーカーも(笑
当時は、堂本にとっては「ヤンチャなガキ…でも、気になる」程度だったのにね。

あ~分かります。私も、今は服買うのも必要な時しか買わないし。
人の多い処に出ると、やたらと疲れるから嫌なんですよね…。同じく、はァ(ため息)

昔、マカオに行った時に(カジノではないですw)
あっちこっちにポルトガル料理屋があって美味しかったんですよー!!
あのFザビエルの教会もありました♪

有難う御座いました☆
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