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恋のカタマリ

恋のカタマリ-167

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朝の一番。堂本と甲谷が公園に入る。
制服警官と軽く敬礼を交わし、黄色いテープを潜り青いビニールシートでカバーした中に入る。
中に居た機捜に話を聞き、バトンタッチした後で手を合わせて仏さんを見る。

監察医が来るまでは触れることは出来ない。

事件性があるかどうか。
検死を待ってみないと判断が出来ないが、頭にべっとりと乾いた血液がこびり付いているため堂本達が呼ばれた。

「病死か事故か、殺人か……」

堂本が呟いた時、監察医が到着し臨場が始まった。



検死の際、病死だという見解で事件性は無しだと思われたが、念のため解剖に回される。

結果。
外傷は発作を起こした時に転倒した際に生じたモノで、死因では無かった。
免許証を持っていて身元も分かったから、住所の管轄の役所に連絡を入れ手順を踏み、身内へ連絡が取れた。

署に残っている連中と昼の出前を取って食ってから、堂本は一服しに喫煙所へ向かう。
喫煙所と言っても、署の車がズラリと並ぶ駐車場の外に灰皿が置いてあるだけだ。
そこで煙草を吸っていると、遅れて金田が来た。

「早川管理官、警視正に昇進だって噂だ」
「どんどん上行くねぇ……」
「お前も昇進試験の一次、パスしたろ?」
「あぁ」
「相当、やったな?」

金田が手でペンを持つ仕草をする。

あぁ、したさ。
大学時代の試験よりも、真面目に。
頑張ってる拓篤を思えば、自分も負けられないと思った。

「いつか、お前の班になったらどうしよう」
「バーカ。まだ二次、三次があるんだぞ?」

堂本が笑うと、金田が肩を竦めた。

俺は、足を使って事件を追う方が性に合ってる。
だから別に急いで昇進したい訳でもない。
合格率も低いし、忙しい管轄にいると勉強時間もままならない。

実際、昇進試験を受けない刑事もたくさんいるのだ。
目の前で煙草を吸っている金田も、その一人。



そこへ久坂と吾妻が出て来た。

目礼だけで、車に乗り込む。
車の中から軽く敬礼をして、そのまま走り去って行った。


金田と共に廊下を歩いていると、生活安全課の部屋の前で若い婦人警官が二人でキャッキャッと笑い合っている。

「緊張感ねぇなぁ」
金田が、ボソリと呟いた。

「こら。緊張感ねぇぞ」
堂本が二人の頭をポンポンと軽く叩いてすれ違えば、後ろで小さな歓声が聞こえる。

「ま~た……。モテちゃって、困るぞ~」
「モテても嬉しくなんかねぇよ」
「独身で三十代。お前のファン結構居るぞ」
「お前も、三十代独身だろ」
「俺はダメね。女に受けが悪い」
「厳しいんだよ、お前は。ただでさえ、顔が怖いのに」

軽口を叩きながら歩いていると、前から婦人警官のまとめ役の箭内(ヤナイ)が書類の束を持って歩いて来る。

「イイ男が二人。早く嫁さん貰いなさいよー」

すれ違い様、表情を変えずそう言われた。

「箭内さん、紹介するってシツコイんだよ」

金田が困った顔で言う。
俺も散々言われてるけどな。

「紹介してもらえよ」
「婦警はヤダ」
「理解あるぞ?」
「嫌だ」

子供みたいに首を振る。

「そんなこと言ってると、ずっと独身だぞ?」
「人のこと言えんのかよ」
「俺は、いいんだよ」

結婚出来るなら、とっくにしてるさ。
自分の元に帰って来るのを待ってりゃいいんだから。

「……あれ?もしかして、まだ失恋引きずってんの?しつこいね、お前」
「うるせぇよ」

***

シャルルドゴール空港から東京まで直行便で十二時間半。
そのまま、拓篤は乗り継ぎで広島へ向かう。

搭乗までの時間、空港の電話を使って先に帰国していた水埜へ広島へ向かう連絡を入れる。

事情は先に話してある。

「夜にはマンションに来るよね」
「はい」
「了解」



搭乗して出発までの時間、拓篤は目を閉じてシートにもたれる。


帰ってきた……。日本に。


俺の生まれた国に。

今日面会を終えたら、その足で東京へ戻る。
水埜の部屋でしばらく間借りして、部屋を探さないと。
仕事の段取りもあるし、やることはたくさん……。

日本を飛び立つ時にあった、被害妄想……。
誰もが自分を見てるのではないかと思っていたことは、もう今は薄れていた。
何処かでクスリと笑うことにさえ過敏になっていたあの頃の自分を思い出し、苦さが甦ってくる。



アナウンスが流れ、シートベルトを締め……。
拓篤は目を再び閉じた。

父を殺した相手に会いに行く自分が、一体何をしたいのか。
恭二の言うように、気持ちのケジメをつけたいのだろうか。

父の最後を、見ていた男。
一旦逃走して、戻ってきたのだと聞いた。

父の命が消えるまで……傍に居た男。

事件の概要は警察から聞いた。
裁判では、求刑十五年に対し判決は実刑十二年。

軽いのか、重いのか。

上告せずに刑の確定。

父の命を奪った男は、塀の中で生き。
年月が経てば「罪を償った」として、表に出てくるのだ。

もし、この世に……法がなければ。
人はどれだけの罪を犯すのだろうか。

犯した罪に更に復讐という大義名分が生まれ、正義の剣として振りかざした新たなる罪が生まれる。

法と秩序という、普段は当然のように思っていることが、腑に落ちてくる。


機体が動き出し窓から外を見る。
速度を増し、大地を離れ空を飛べば体に圧がかかって行く。
飛び放ち、気流に乗れば静かに……。

そんなことも、自分のこの二年間と重なる。

日本からフランスに飛び立つ時に置いてきた様々なことが、脳裏を掠める。
パリに居た頃よりもたくさんのことが、濁流のように流れてきた。

*

刑務所で手続きを済ませ、案内された部屋に入る。

会いに来るには親族で無い場合、審査が要る。
そして当然、受刑者が拒否すれば会えない。
だが、劉先賢児……本名、吉田健児は承諾したのだ。

自分が殺めた男の、息子からの面会の申し出を。


拓篤は椅子に座り、扉が開いて吉田が連れて来られるのを静かに見ていた。


アクリル板の向こうに、父を殺めた男が座った。


目の前にいる吉田は、三十半ば過ぎくらいのはずなのに老けて見えた。
あの頃、散々テレビに映っていた頃より随分と痩せている。

もっと凶悪な男だと思っていたのに。
目の前には、ごく普通の男が居た。

「……似てる」

何も言えずにいると、男がほんの少しだけ唇を綻ばせて言った。

「……え?」
「お父さんに」

優しいとも言える表情で目を細める吉田。
それだけの言葉に、何故か……父がもう本当にこの世に居ないのだということを感じた。


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~ Comment ~

叩かれたい…_(:3 ∠)_

堂本ったん、私もポンッてして~~

そうか、金田さんも人気あるのか。
金田さんは柔道でしたっけ?
彼は存在感がどでーんと安定性があるというか、私の中でそんな感じで。
イメージが『ド/カ/ベ/ン』なんですけど。アチラは野球ですが。
…って、なんか前にも同じこと言ったような気が。

ああそうだった。犯人はげーのー人だったっけ。
拓篤の家系とげーのー人という組み合わせが余計に過剰に騒がれたんだっけ。
上告無しというのは犯人の反省の意があったからだと思いたい。
しかし、帰国早々会いに行くなんて。
後回しにしたら、忙しくなって時間的に余裕が無くなるかもしれないけど。
明日は拓篤の正念場でしょうか。
穏やかな面会とはいかないだろうな…。ドキドキします~ヽ( ̄д ̄;)ノ


~本日の『流涎の館』会報
●QAF ペンペン>http://comeherearmys.tumblr.com/post/105039405625
きゃっほー♪\(^^)/←拝めたので嬉しい
●カワユラシイ
http://wanna-bi.tumblr.com/post/117265221659
http://allthoseboys.tumblr.com/post/117386674204
●楽しい
https://twitter.com/train_wwww/status/592144813304066050
https://twitter.com/S1Amk/status/592122095947030528


11時頃覗いたらトップのカウンタが1830001でした。惜しかったー。
では、明日~┏○))ペコ

もてますね(^^)

kiriさん、最近はパトカーや警官を見るとゾクゾクしちゃいます(^_^;)
堂本さんはもてそうですよね〜‼️女性からも(^^)
そんな人が同じ職場なんて本当に羨ましい限りです…
拓篤くんも日本に帰ってきたのですね〜。
好き合って距離置いて…
私には経験なかったことですけど、きっとこれから先一生涯この期間のお陰で2人ともシワアセになれるんでしょうね〜🎵
ってすみません…ハッピーエンド重きに考えちゃうので先走ってます(汗)
終盤、楽しみと寂しさとをかみしめて妄想しながら読ませていただいてます。
いつもありがとうございます(^^)

聞き込み(ღ✪v✪)

拓篤くん、帰ってきましたねぇ~~。 早くライオンさんの所に会いに行ってね(*´∀`*) 二人のカタマリはますます大きくなっているんですもの。

ところで、今日の午前中刑事さん二人が聞き込みにきたんです!! 何年か前の事件の容疑者についてでしたが…警察手帳を開けて見せて、いろいろと聞いて行きました。小柄で細身の刑事さんとガタイのいい刑事さんの二人組…残念ながらイケメンではありませんでしたが(苦笑)
でも、私の脳内では当然のことながらライオン&クマさんでした(*゚▽゚*)…本当はういちろさんちのおまわりさんがいいんだけどな←あんな可愛いおまわりさんはいないか(笑)

二人のラブラブを早く見たいけど、終わっても欲しくないというそんな複雑な心境ですが、 ま kiri様の手のひらで転がっていますので気にしないで下さい~~(笑)

Re: 叩かれたい…_(:3 ∠)_

トーヤ様

婦警といえど、若い女の子。
たまには、キャッキャとしちゃう時もあると思うけど、こうやって戒め受けないとつい横行しちゃいそう。

そうです。金田は柔道の猛者。ガタイは良いイメージですね…私的にも。
堂本と同じ忙しい日々に、結婚を逃しておりますww
恋愛がねー続かないし、積極的じゃないようなので。面倒臭いんだろうなぁ…多分。

そして拓篤はそのまま広島へと。
うん、相手は元げーのー人。それが騒がれる切っ掛けになったんでした。

わざわざ会いに行かなくても。ほとんどの人がそう言うだろうし。
拓篤も、それは分かってるんだろうけど…。
会ったからって、何かが変わるとも限らないんしね。
でも、そうしたかったんだろうな…。理由なんか、どうでもいいんでしょう。

>上告無しというのは犯人の反省の意があったからだと思いたい。
犯行時はカッとなってるけど、冷静になってみて自分のしでかしたことを思い知る。
拓篤父に個人的な恨みがあるなら、まだしも…。


>●QAF ペンペン←こういうのが良いのよね~。仲良し!!萌えます…♥
ジャス、可愛いわ~。相変わらずの美尻だしww

え?カウンターがもう、そんなに?(゚д゚)!
私、キリ番とかも知らないんだよね…。…こんな管理人(爆

有難う御座いました☆

Re: もてますね(^^)

マム様

私も…。たまに見るパトカーとか、自転車乗ってる警官さんとかに、目が行くw
うちのすぐ傍に警察署があるんですが、たま~に刑事さんらしき人も出入りを見かけ…。
ヒャー(//∇//) ←無駄に、心でこんな風になってますw

ボソリとボヤく金田と、頭にポンと手を載せて軽く戒める堂本。
後者の方が女性ウケしますわね…。
自分でもモテると冒頭で(笑)初/体験は♀でしたしね…。

日本に帰って来ました!!再会まで、そう長くはかかりません♪
拓篤の「会いたい」時に、会いに行きます!妄想…よろしくお願いします(。v_v。)

有難う御座いました☆

Re: 聞き込み(ღ✪v✪)

yuki 様

はい。拓篤くん、日本へ帰国…。
しかし、足は堂本ではない方向へ向かいました!
少しだけ回り道…。そして、ライオンさんに会いに行って欲しいですね~!

うほー。刑事さんの聞き込み!!なんでかちょい興奮しちゃう…(不謹慎(^^;
私も若い頃、一回だけ…地取りの刑事さんに目撃してないか声かけられたな~。
警察手帳見て、固まってしまった(笑)今だったら、ガン見しそう。
捜査、頑張って頂きたい!
ういちろさんの、おまわりさん’sの聞き込み…。萌えてしまう…笑

はい。どうか、温かく見ていて下さい。よろしくお願いします!

有難う御座いました☆

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Re: NoTitle

鍵コメh様

あは~。面会は、短時間で終わらせます!
少なくとも、名執のような奴では無いとだけ…w
ああいうのに会わせたら、それこそサスペンスBLになってしまう(^^;

>東京レインボープライド
わ~!今日だったんですね。知らなかった。。。

>大学生風の♂♂カプ
もう、それだけで萌えます…充分に!!(//∇//)

それはそれは、エキサイティングな一日を!!イイなぁ~♥
え。そうだったの??私、全然察してない…(゚д゚)

インテリジェンスはもう、予約注文で手に入れて読みました♪
1巻の方のインパクトが強すぎましたけど。
全プレって応募したことないんですよね…私。どんなんでしょう。。。
同じく「い/と/し/の/猫/っ毛4」も届きました!!
猫っ毛はもう…可愛いです。泣きそうに可愛い…♥ホワホワ~で、ちょい切ない。

囀ずる~ はーー!!素敵♪間違いなく買いますが。ぎ/ゃ/く/た/いシーンだけはヤメテ…。
ストーリー的には重要なんですが、胸が痛すぎて辛いぃぃぃ。。。
アレのために、読み返せない私なのでした。←ヘタレ
でも、大事に取ってあるのw
BLでも、甘くなくて凄く男だなぁ…って部分を凄く感じるので、好きな世界なんです。

有難う御座いました☆

NoTitle

お巡りさんの現実を垣間見た感じデス(笑)。

そうですよねー、結婚相手に何を求めるかで違いますもの。
異業種か同業か意見の分かれるところ。 人生一緒に過ごすんですから。
そして昇級試験。
最近、TVでキャリアと叩き上げ組との格差について話しているのを聞きました。
「ここまでしか(上の階級に)行けない、って壁があると、やる気が無くなるんじゃないか」 って。
納得できます。 上司が判ってくれないと、’刑事のカン’ は説明出来ませんわ。

とにもかくにも、世のため人のためのお仕事、ご苦労さまですっ!


拓篤は、父の死を受け入れるための階段を上がってる。
対面したのは、普通で、あまりにも普通な男。 父のことが無ければ、すれ違っても違和感が無い相手。

こんな出会いじゃ無ければね・・・。 続きが、気になるなぁ。
拓篤、どうか取り乱す事のないように。。

Re: NoTitle

ますみ様

警官の奥さんは、大変だと思います。
やはり同業の方と、一緒になる方が多いそうで…。
女性警官でさえ、やはり友人との約束も守れないと何処かに書いてました。

でも、相手の性格にもよるんでしょうね。
浅井さんが最初の頃にそーいうことを言ってたかと…。

キャリアはもう官僚ですから。
恭二が落ちたⅠ種に合格して、そこから警察という「選択」をした方々。
地方公務員と国家公務員の違いは大きいですね。属する場所が違う。
上部が「日本国」ですもの。

拓篤は、ステップを踏めるかな?

有難う御座いました☆
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