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恋のカタマリ

恋のカタマリ-111

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堂本の恐れていたことが現実になった。

二つの週刊誌に、拓篤の父のことが載ったのだ。

本来の事件の騒ぎが落ち着いて来た次の、ゴシップ。

先に発売されたのは「週刊ディスクローズ」
記事の内容は、暴力団K組と拓篤の父の関係から始まっている。
借金を残して逃げたこと、その返済に家宝を手離したこと。
巧妙に事実を入り混ぜた内容。
けど、まだマシだと思えたのは、拓篤の否定の言葉が一応は載っているからだ。

写真は人物ではなく、邸だった。

酷いのは次の日に発売された「週刊gate」の方だ。
こっちは元々、暴力団関係の記事が多いと聞く。

見出しは「堕ちた名家!転落の道のり」

半分は似たような内容であるが、こっちはそれこそ父親の金の遣い方まで。
置き去りにされた妻や子が、闇金から追われていることをドラマのように書いている。
女に狂った、鬼畜な父親として。

最後の数行が悪質だ。
父親の借金のために、名家のご令息が暴力団の男妾として飼われたかもしれない……と。
断定はしていないが、匂わせただけでも読者の想像力を掻き立てる。
名前は伏せてあるが、人目を引く美しき青年という外見まで書いてある。

小さくだが拓篤の写真まで入っていて、その横には高宮孝造が載っている。
一緒に写っている訳でもないし勿論目線入りだが、向かい合っていて意味深だ。

デタラメを堂々と書くことには、今更驚きもしない。

犯罪の被害者側の人間が、こうして表に出されて好奇の的になる。

被害者側の二次被害とも言うべきものだ。

理不尽なことは、いつの世にも存在する。

この一回で終わればいいが……。
部数が伸びたら、必ず次がある。
それに他にネタが無い時は、引っ張るだろう。

週刊誌の内容など、買う側だってそう信用などしてない。
信憑性云々を問う人は、まず買わないだろう。

告訴をした処で、民事だ。
勝った処で被害額は知れているし、それに費やす時間や報酬などで疲労することを思えば、泣き寝入りも多い。
訴えたことでまた矢面に立つことになる。それがどれだけの精神的な疲労になるか。
出版社も、充分にそれを分かってるのだ。

それに相手は暴力団。
今時の暴力団は、切った張ったの力技ではない。
組の運営に害が無いのなら、放置しておくことの方が多い。

分の悪さは、全て拓篤一人に向けられている。

「こりゃ、可哀想に」

堂本が週刊誌を広げていると、隣に金田が立って腕を組んで眺めている。

「最低だ」
「目立つからなぁ……こういうタイプって」
「あぁ……」
「本人は?」
「仕事行ってる」
「そっか。しっかりしてんな……って褒めてやりたいけど」

分かってるよ。
拓篤は、腹を立ててしまって意地になっている。
ここ数日は、あまり言うと放っておけと怒り出す。

「言っても、聞きやしない」
堂本が愚痴を零すと、金田が笑った。

「さすがのお前も、手を焼く程の子か」
「気が強いのなんの……」
「ははっ。まるで嫁のこと言ってるみたいに聞こえるぞ」

そうだよ……。同じようなもんだ。

「お前も来週から当分は本庁だってのに。可愛がってるヤツがこれじゃ、後ろ髪だな」
「そうなんだよ……こんな時にっ」

堂本が片手で髪を掻き毟るのを見て、金田が目を剥いた。

「めっずらしいな……。お前のそういうの、俺初めて見たわ」
「知るか」
「いつも人食ったようなお前がね」

ニッと笑って堂本の肩を叩き、自分のデスクに戻って行った。

堂本は胸くそ悪い記事を閉じ、ゴミ箱へ突っ込む。
内容が気になって、売上に貢献してしまった自分が腹立たしくて。

席を立ち、喫煙場所まで煙草を吸いに行く。
仕事中は滅多に吸わないが、イライラした気分を落ち着かせたい。

「お~イラついてんな。珍しい」

四班の栂野(トガノ)が煙草に火をつけながら、傍に来た。

ヤクザよりも、ヤクザに見える刑事。

「梶原の高宮が載ってる記事、見ましたか?」
「あ~あれね。チラッとな」

栂野がふっと、顔を歪める。

「高宮は、そんなことでビクともしねぇよ。毎度のことで、慣れてる」

高宮はそうだとしても、拓篤はまだ世間の波にも乗りきれてない。

「まぁ……俺の知ってる限り、一番恐ろしい男だ。組長も内心ビビってるよ。なんせ、あの頭の切れようったら」

栂野は高宮のことに興味があると思ったのか、話続ける。

「T大卒のヤクザなんか、小説みたいだろ?うちのキャリア達の同窓生だぞ?」

首を振りながら栂野が忌々しいとばかりに言う。

「生まれがヤクザじゃなければ、俺らの上司になってた可能性もありますね」
「あぁ……かなり上まで昇ったろうなぁ。皮肉なもんだ」

二人で煙草の煙を眺めながら話す。

「あの記事、ちょこっと真実ついてるとこがな……」
「え?」
「高宮は男もイケる。ま、本人が隠しもしてないがな。若い時は女も適当に侍らせてたようだが。あの多治見の息子は、高宮の好みだ。気の強そうなのが好きなんだよ」

それだけじゃないだろう。
高宮は拓篤のあの独特な雰囲気に呑みこまれたのだと、今は思う。
本人を目の前にしなきゃ、伝わらないことだ。

「迷惑な話だ。見た目なんか、ほとんど遺伝だろうに……」

まぁ、俺も拓篤の見た目に最初やられましたけどね。……と、心でだけ呟く。

「そういや、明治の頃だったか?高宮の先祖は、多治見で遣われていたって、あそこの親父さんに聞いたことがある」

さすが栂野っち。やたらと詳しい。

「まぁ、もっと古い話になれば、多治見はこの一帯を治めていた大名だ。この地に根を張ってる家は、遡れば全て多治見の下に居たといっても過言じゃない」
「なるほど」
「あの子は、その最後の生き残りみたいなものだよ。遠い先祖から続く血統の重さなんて、本人にしか分からん。周りが何を言おうがな。そしていざとなれば、こうしてネタの材料にされる」

堂本は煙と共にため息を吐く。

「何をしたって、良くも悪くもそのレッテルは付いて回る。平和に生きるには、難しい血筋だな……」

そうだな……。
普通に生きていたって、こうやって何かの拍子に多治見が表に出てくる。

これから先も。

だったら……。
周りに潰されないように、拓篤自身が強くなるしかない。

俺が出来るのは、それを見守るだけだ。

拓篤は女じゃない。
守られるだけの自分など、望まないだろう。


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~ Comment ~

NoTitle

書いたな、ハブ男!ヽ(`Д´)ノ
そこへ直れぃ!手打ちに致す!
いや、ハブ酒に致す!!

二人の記者の記事の違いが出てますね~(←"の"が多い^^;)
同じヘビでも毒があるのとないのとでは違うんだな(てゆかヘビ違うし)
出版社もよくこんなの出すな!っていう雑誌がありますね。
ハブのとこのはそういうのなんだろうけど、ヘビのとこは意外と真っ当?

そういや美容室で"女性○○"なんていう週刊誌が置いてあるけど、
ファッション誌なんかを見終わった後、時間潰しに手に取って見るだけ。
記事も流し読み程度で、印象に残らないのが殆ど。
……拓篤のはどうなんだろ?
曲がり形にも腐女子ですから<( ̄- ̄)>エッヘン!、食いつきそうな気も…w

堂本もジレンマを感じてるようで。
出張だし、離れた場所にいるし、仕事は忙しい。
下手に行動して『名家の末裔と警官が!』なんて美味しいネタを提供するわけにもいかないし。
思うように動けないもどかしさ。
気持ちは傍にいて支えてやりたいんだろうに…

二人にとっての試練の時。
これを乗り越えたら最強、ですかね?

読者にとっても試練の時。
くぅ~~!!(;>ω<)


~本日の『流涎の館』会報~ "ぺたん"特集

http://fazmeutipo.tumblr.com/post/109571091707
http://b-o-y-s-boys.tumblr.com/post/110401165429
http://guyscandy.tumblr.com/post/112379878553/guyscandy

●エロい犬×猫。…あれ、同じ動画か?
https://twitter.com/Yakiimo_knla/status/568985179412414464
https://twitter.com/Yakiimo_knla/status/568985634016239616
●こりゃパキッと逝くな>https://twitter.com/__eatchan/status/571666551293681664/photo/1
デマかもしれないけど^^;
●父より>https://twitter.com/Noir_krtb/status/571691494693724161/photo/1

では、明日~┏○))ペコ

関係のない話ですみません。

本編と関係ない話ですみません。人( ̄ω ̄;) スマヌ

先日載せたコーヒーゼリーの続編の動画がアップされまして、
それがもったいないことに、食べたら下げるとかおっしゃってますので、
間に合うのならばと投稿させていただきました。
見たい方、どうぞ♪

●続・魅惑のコーヒーゼリー>https://twitter.com/kovkov/status/571967389975248896/video/1

失礼致しました~m(_)m

Re: NoTitle

トーヤ様

>書いたな、ハブ男!ヽ(`Д´)ノ←笑

はい、書きやがりました。

>同じヘビでも毒があるのとないのとでは違うんだな

拓篤自身に惹かれてしまった人と、そうでない人との違いとも言います。。。ね。

どっちも、ゴシップ路線の雑誌でありその差は大きくはない…。
例え、下仲と1対1で拓篤が対峙しても、彼には血の威厳とかには興味無しなので…。
同じだったかもしれない。税法?何だそれ?と、呆れてましたもんね。
大人なら誰でも知ってることですから、彼だって知らないハズもなし。

うん。私も美容院で女性週刊誌はたまに手に取る。
流し読みだなぁ~。ふ~ん…で終わってます、いつも(^^;
ヤクザ×名家…なんてみたら、腐女子なのでしっかり読んでそうです(汗

>名家の末裔と警官が!』なんて美味しいネタを提供するわけにもいかないし
そう。堂本は、下手に動けないですね。自らエサを作れば、更に拓篤を傷つける(> <。)

>読者にとっても試練の時。←耐えてーー

エロいワンコ、ニャンコ。動かないと可愛いのに…。
動画はダメ…。ちょっとゲスくなって萌えない、コレ(゜-゜)

7のネタのタイトルだけどっかで見たけど、デマにしろ…薄っ!!
友人の6プラス、バコッっと逝ったよ…。

ゼリーw 程よく硬そうな感じが…w

有難う御座いました☆

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NoTitle

あああー、出てしまった。。
記者の人格や、会社の方針ががそのまま出ている記事ですね。
それに・・・、こんな所で憂さ晴らしするんじゃないっ!!

きっとブン屋下仲は人の足を踏むことに無頓着で、ちょっと足がぶつかったら大騒ぎする人種なんだろう(当たり屋?)。


拓篤、こんな時こそ、゜疾風に勁草を知る(困難に遭ってはじめてその人間の本当の価値、本当の強さが分かる)’ よ!
つよくなれr~~!
あ、私は物見高いお客じゃないからっ。 花屋の売り上げに貢献しに行くだけよー。 信じてね・・♡


堂本さんも尻尾を齧りつつ我慢。。
こんな時は仕事があるのが救い。 男でも、女でも。

さあ、ゴールはあるからあとは目指して走り続けるのみ!


ト―ヤさま。
コーヒーゼリー、あの角度が絶妙でしたね(ムフ)。

Re: NoTitle

鍵コメe様

>ホントにホントにっっっ。あのやつーーーっ。←毎回(笑)
>おまえなんか高宮にやられてしまえばいいんだっっ。
同じことを思った方、多いかと…。

しかーし。高宮は高見の見物(シャレみたい
ピクリともしない男で御座います。自分はしょっちゅう書かれてるから何とも思わないw

むしろ「強くなるチャンスじゃないか?拓篤」くらいに思ってるかと。
学べ…と言っていたように、高宮は逆境をどう乗り越えるかお手並み拝見でしょう。
そういう場所に生まれた拓篤だってことを、最初から分かってる人でしたので。

堂本はそりゃもう……夜中にひとりで部屋にいる仔猫を思えば、辛い(>_<)
しかし、自分が自らエサになる訳にも行かない。

拓篤は何も悪くない。じゃ、多治見という生まれが悪いのか?
父が悪いのか?堂本が刑事だから?男同士で恋愛してるから?

>拓篤はここを乗り越えて強くなるしかないんですね。
結局突き詰めれば、そこに…。弱って迷って跪いて、立ち上がる日はいつ…(誰かもあったな…(^^;

>洗濯機が。。。壊れました。なんてこったー。←わかるww
電化製品って、突然。えぇぇぇΣΣ(゚д゚lll)な衝撃ですよね。そりゃいつかは壊れるんだけどさ…。

有難う御座いました☆

Re: NoTitle

ますみ様

うん。多分、雑誌社自体は、そう大きく変わらないんでしょう。
棚秦は最初に拓篤を見た時から、ちょいボーッとなっちゃってww
「参ったな」なんて最後にも言ってましたもん。
拓篤の気位を、棚秦はプラスに取り、下仲はマイナスに。

人ってこういうところありますよね。その典型…。
どっちもゴシップには違いないんで、拓篤にすれば同じく腹立つことだけど。

お花屋さんの売り上げ貢献して頂き…。水埜が喜んでいるかと←
あ、拓篤も何とか接客の時はスマイルで。社会人のお勉強…頑張れ。

堂本は本庁行きで、更に忙しい。。。
いつものことだし、どっちにしろ会えないんだけど。
こういう時は距離が離れてるのがお互いに辛いね。

有難う御座いました☆
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